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由貴が社長にエスコートされて真っ直ぐオレに向かって歩いて来る…

エスコートしてる社長はもう一杯一杯らしく笑えるほど緊張してるのがわかる…
でも笑うわけにはいかないから堪えるけど…

祭壇の前でオレにバトンタッチだ…

顔はベールに包まれてるけど…歩いてる間も由貴は綺麗で…抜群のプロポーションで…
さっきも胸元が素敵過ぎてクラクラした…

そんな事由貴に言うと怒られて呆れられそうだから言わなかったけど…
あのパーティーの時に目を奪われた由貴の胸は健在だった。


目の前で牧師が話す事を黙って2人で聞いてる…
そんな間も横に立つ由貴を視界に納めつつ…オレはもう嬉しくて嬉しくて堪らない!!
  
ついに…ここまで来たんだ…
ついに…ついに……やったよな!頑張ったよな!!オレ!!

「汝、楠惇哉はこの女、柊木由貴を妻とし良き時も悪しき時も…」

何処かで聞いたことのある言葉が今…目の前の牧師から語られる…

ドラマの…セリフでもシーンでも無いんだよな…

今…オレと由貴に為に語られてるんだよな……


「神聖なる婚姻の契約の元に誓いますか?」


オレの心臓がトクン!と波打つ……

セリフを喋る時なんて…声が震えた事なんて無いのに…震えそうになる…

「 誓います。 」

言えた……

「汝、柊木由貴はこの男、楠惇哉を夫とし良き時も悪しき時も…」

また同じ言葉が語り始める…

「神聖なる婚姻の契約の元に誓いますか?」

オレはまた心臓がトクン!となる…

まさか…誓えません!なんて言わないよな?何か由貴って言いそうで怖いんですけど……


「 誓います。 」


はわぁ〜〜〜〜〜!!!!オレはあまりの嬉しさとホッとしたので腰が抜けそうだった。

やったよ!!ついにこの時が来たよ〜〜〜!!

今…由貴 「 誓います。 」 って言ったよな!?うん!言った!

嬉い〜〜〜〜!!

オレは心の中でガッツポーズだ!!


「では指輪の交換を…」

目の前にケースから出されたペアのリングがちゃんとあった。
オレはまたホッとする…これで無かったら泣くぞ…オレ…

『 緊張して指輪落とすなよ。 』

今頃兄貴のセリフが頭の中でよぎった!

「…………」

手が…震える…?

何とか指輪を掴んで由貴の指に嵌めた…

「はあ……」

またホッと一息…

そんなオレとは反対に由貴はいとも簡単に指輪を掴んでオレの指に嵌めた。
少しは緊張しろよな…由貴…


「では誓いのキスを。」


ふわぁ〜〜〜やっとだ…ホンとやっとこの時が来たよぉーーー!!


由貴の顔に掛かるベールを軽く摘んで後ろにめくる…
ちょっと潤んだ由貴の瞳がオレを見上げてる…

ああ…なんて色っぽくて…綺麗で…悩ましいんだよ…由貴……

いつもより…ちょっと紅い唇にそっと触れる…

本当ならオレの気持ち入りまくりの…濃厚なキスを延々としたかったけど…
そんな事したら周りは引くだろうし…何より後で由貴の雷が落ちるの間違いなし!だし…

結婚早々怒られたくはないから…ここは我慢して…至って普通のキスで我慢した。


「…………由貴…」


離れた後…小さな声で由貴の名前を呼ぶ…

由貴は黙ってニッコリと笑うと…涙が一滴…頬を伝って落ちた…



オレ… 「 楠 惇哉 」 と 「 柊木 由貴 」 は今日晴れて…夫婦になりましたっっ!!




その時の由貴のブーケは今…

満知子さんに手渡され…大事に保管されてる…