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* 今回R15のお話があります。隠してませんのでご注意を…



「もう本当呆れちゃうのよ!!挨拶もちゃんと出来ないし…しかも最初から遅刻して行こうとするし!」

由貴がさっきからあの 「 羽柴 智匱 」 の話ばかりする。
どうやら余程由貴を不愉快にさせたらしく…相当なご立腹!

「だからオレが言っただろ?生意気なガキだって。」
「演技はね…ちゃんとするはするけど…でもどこかいい加減さが漂うのよね…
真剣じゃ無いって言うか…でも監督はちゃんとOK出すんだからいいのかななんて思うし…」

「あのさ…由貴…」

「え?」

「仕事熱心は良いんだけど…今どんな状況かわかってる?」

「え?……あ…ごめんなさい……」

今…オレと由貴はどんな状況下と言うと先に寝てた由貴のパジャマを途中まで
脱がせてオアズケ状態…

「それに由貴の口から他の男の話なんて聞きたくないし…」
「でも…仕事の話でしょ?俳優の方では惇哉さんの方が色々意見聞けるし…」
「とりあえず後9日間面倒見れば良い事なんだから…そんなにムキにならなくてもさ…」

「……あ…」

惇哉さんの手の平がまだ脱がされていないパジャマの開いた胸元から
胸の膨らみにそって優しく…撫でながら下りて来る……

そのまま下から持ち上げられて惇哉さんの唇が肌に触れる……

惇哉さんの暖かい舌が…胸の上で行ったり来たりする……

「……ふぁ……あっ…や…」

キュッと胸の先を何度も何度も吸われて…舌で舐められて…

身体がビクン!と跳ねる……


「由貴……」
「はぁ……はぁ……ん?」

もう息が上がっちゃう……やだ…

「ちゃんとオレの事想ってくれてる…?」
「え?」
「他の男と一緒にいても…ちゃんとオレの事…」
「他の男って…相手は15歳よ?それに仕事絡みだし…」
「もう15なら立派な男だろ…やろうと思えば女だって抱ける…」
「惇哉さん!?」
「由貴は気が強いくせに隙だらけだから…気をつけろよ……」
「あ……そんな事……無いから……大丈…夫……んっ…」

惇哉さんの舌と手の平が…私の身体を確かめていく……

「変わった所なんて……無いでしょ?」

「……ああ……オレだけの由貴だ……ちゅっ…」


私は惇哉さんの身体に自分の腕を廻して絡ませる……

男らしい身体で…あったかくて……
人の肌と触れ合う事がこんなにも気持ち良いことなんて初めて知った…

でも…それは相手が惇哉さんだから?


「……惇哉さん……」
「ん?」
「優しく…して…ね…昨夜みたいに乱暴にしないで…」
「わかった…」

昨夜は自分を納得させる事が出来なくて…
つい由貴に八つ当たりをした…由貴のせいじゃないのに…

でも…由貴が仕事とは言え…他のしかも若い男とずっと一緒にいるのかと思ったら
我慢出来なくて…

強引に…乱暴に由貴を抱いてた……

その後は自己嫌悪だったけど……由貴は怒ってなくて…ホッとした…

「今日は由貴を癒すつもりで抱く……」
「本当?」
「その代わり気持ち良いからって寝るなよ。」
「どんな事するの?」
「気持ちイイ事 ♪ 」
「惇哉さんが?」
「由貴が!!」
「……わかった…寝ない様に頑張る…」
「うん…」



「は……あぁ…」

俯せの身体を惇哉さんの唇が優しく触れていく……

身体に触れる指先も優しく触れて…でもちゃんと私が震えて感じる場所を知ってる……

「や……あっ…」

乱暴でも強引でも無いのに背中がのけ反る…

「ンッ……うぁ…」

後ろからゆっくりと惇哉さんが私を押し上げてくる…
背中に惇哉さんの重みと温度を感じて余計のけ反る…

「由貴……ちゅう……」
「……ンクッ!」

髪の毛を持ち上げられて項にキスを何度も何度もされて身体中がゾクリと痺れる…

「あっ!あっ!」

ゆっくりと惇哉さんが動く度に身体が揺れて声が洩れる……

私の身体に惇哉さんの腕が廻されて引き寄せられた…
だから身体の奥で惇哉さんを感じて余計に声が洩れる…

「あっ!あっ!あっ…惇…哉さ……」

「由貴……」

「ハッ…ハッ……んあっ!!」


大きくのけ反っても惇哉さんの腕が私の身体をしっかりと支えてた…

力一杯握り締めて掴んでたシーツが手の中から逃げていく…

力の入らない私の身体を…惇哉さんはまた自分の方に引き寄せた……


「由貴……」

「…はぁはぁ…ん……?」

「ちゃんとオレだけを見てて…由貴…他の男なんて見なくていいから……」

言いながら…惇哉さんが後ろから私を抱きしめてくれる…
強くもなく……弱くもなく……

「……わかって…る…から……惇哉さん……大丈夫だから……」

「…………」


私にはそんな年下の男の子に何が不安なのか…良く分からないけど…

惇哉さんがそれで納得するならと思って…そう言った……





「…………」


次の日の撮影で…私は遂に堪忍袋の緒が切れたっ!!

本当は10日間の事と…大目に見て目を瞑るつもりだった…

まだ若いし…演技もこれからだと思うし…

何より…惇哉さんと比べたらいけないと心に決めてたけど……


「ちょっとあなたっ!!いい加減にしなさいっ!!」

「は?」

控え室で休憩中に我慢出来ずに怒鳴ってしまった。

「は?じゃ無いでしょ?何なの?さっきのあの態度!!」
「だってどう見ても俺の方が今の位置上でしょ?」
「だからって目上の人に向かって失礼でしょっ!!」


出演者の中に昔一世を風靡した芸人の人がいた。
その頃は羽振りも良くて色々な事業に手を出して…でも失敗して…

今はその借金をネタにしてる様な所もあるけど…

確かにチョイ役で…昔の彼を知ってればちょっと今の状態は彼にとって
良い状態とは言えないけど…



「それでもあなたより芸暦は10年以上向こうの方が上でしょ?
それなのに何なの?あの失礼な発言は!」

「別に本当の事言っただけだろ?こんなチョイ役で借金返せるんですか?って。
それに俺だけじゃないぜそんな事思ってるの。」

「思ってても言う事じゃ無いでしょっ!あの人だって真面目にこのドラマに取り組んでるわ!」

そう…演技はいつも真剣で…
短いセリフも一生懸命言ってるし…ちょっとの出番だって一生懸命やってるのに…

「はいはい…もう言いませんよ〜」

ム ッ!!

「ったく何だよイチイチうるせぇな…俺はちゃんとやってるっての…
まだ前田の方が良かったよ…文句言わねぇし…あーあ…早く復帰しねぇかな〜」

カ チ ン !!

「………こ……」

「ああ?」

「 こ ・ の ・ お バ カ ー ー ー ー っっ !!! 」


  ば っ ち ー ー ー ー ん っ っ !!!


「いってぇ!!!」

思い切り頭を平手打ちしてやった!!もう我慢できない!!

「何すんだっ!!」

「自分の立場を良く考えなさいよっ!!
そこそこ人気が出始めたからって調子に乗るんじゃ無いわよっ!!
あなたより売れてなくたって一生懸命やってる人も演技の上手な人も
この仕事が好きな人も沢山いるんですからねっ!!!」

「…………」

「あなたはたまたま運が良かっただけなのよ!それだって自分1人の力じゃ無いでしょ!
そこまで育ててくれた劇団の人だってこの仕事を取って来てくれた事務所の人だっているのよっ!
それにどんな役の人だってその人がいなければドラマは撮れないしスタッフの人がいるから
撮影だって出来るんでしょ!それを…いかにも自分だけの力で此処まで来た様な顔しないでっ!!
そんなあなたの事応援してくれてる人だっているでしょう?その人達に今の自分見せられるの?
その人達の前でも今と同じセリフ言えるの?少しは周りの事見たら!!」

「……………」

その時何故か杏華の顔が浮かんだ…

「………だからって…殴る事ないだろっ!!自分トコの俳優を!」
「顔を殴られなかっただけでもありがたいと思いなさいよっ!
でも次は顔面行きますからねっ!!反省してないって事で!!」
「この凶暴女っ!!!」
「なっ……!!失礼ね!」
「大体マネージャーのくせに俳優殴るかよ…」
「だから私はあなたのマネージャーじゃないって言ってるでしょ!!ただの付添い人!」
「はいはいわかりましたよ。ったく…」

「 「 はい 」 は1回っ!!って…」

ハ ッ !!!

気付けば後ろに固まってる他の共演者の人達が…
皆智匱君と同じ年代の男の子がジッと私を見てる……

そうだ…4人部屋って忘れてた…
惇哉さんの時は1人部屋だったから…その感覚で……

「あ…ごめんなさい…その…あの……」

もう私はしどろもどろ…ああ…そんな彼等のマネージャーさん達まで…
そんな目で見ないで〜〜〜!!!

「あ…あの…」

「は…はいっ!!」

その中の1人が遠慮がちに声を掛けて来た。

「あの…もしかして…… 「 柊木 由貴 」 さんですか?」
「えっ!?」

なっ…何で知って…

「あの公開プロポーズ見ましたよ ♪ 」
「!!!」

そんな……こんな時にそんな事思い出さなくても…

「ああ!オレもあれ見た見た!インターネットでなら未だに動画で見れるし。」

なっ…なんですって!!!そんな!!

「って事は……旦那さんあの 「 楠 惇哉 」 さんですよね?」
「は…はい…そうですけど…」
「オレこの前の映画観てファンになったんです!!あんな難しい役も出来んだなって!
いつも2枚目のモテる役が多かったから…」
「あ…ありがとうございます……」
「やっぱ旦那さんが俳優やってると奥さんも考え方がしっかりしてんスね!」
「いえ…そんな……」

何でこんな時に…こんな処で…

私の事知ってる人に会っちゃうのーーー!!!



「ぷっ!!!あはははは…おかしいーーー!!!」

「もう!!笑い事じゃ無いでしょ!!どれだけ恥ずかしかったか…」

帰って来た惇哉さんに今日の一部始終を話したら大笑いされた…

「由貴らしいな…くっくっ…」
「何涙流してまで笑ってるのよ!」
「ごめ…オレも見たかったな…きっと見事な平手打ちだろうな…くっ……」
「惇哉さん!!!!」
「はは…ゴメンゴメン…でも…」
「ん?」

ソファに2人で座ってる惇哉さんの腕が私の身体に廻されて…抱き寄せられた…

「由貴の言った事は間違ってない…」

「惇哉さん…」

「時々いるからな…高飛車な奴ってさ…自分1人で撮影が成り立ってると思ってる。
昔良くレンジがそんな相手ともめてたな…」
「惇哉さんは?」
「オレ?オレはそんな真正面から行かないよ…こっそり撮影でアドリブ入れたりリハーサルとは
違う事して慌てさせたり…可愛いもんだろ?まあ最近はこっそり耳元でお説教言ったりするけど…
出だしの頃はそんな事言いたくても言えなかったからな…やっぱ先輩は先輩だから…
今はオレも中堅クラスになったからちょっとは言える。」
「色々上下関係難しいのね…この世界って…」
「それにコネもモノを言うからな…実力無くても上との繋がりで仕事取ったりするから…
まあ実力が伴えば別に構わないけど…どう見ても役に負けてるって奴が多いけどね…」
「そう……」
「まあ色々あるって…でも少しはそいつも考えるきっかけになったんじゃないの?」
「うん…何だか帰る時ちょっと大人しかったかも…」
「だろ?あ!それとも頭殴られて脳内出血?」
「女の人の平手打ちでそんな事あるわけ無いでしょ!もう!」
「冗談だよ…由貴……ちゅっ ♪ 」
「ん……」

しばらくソファで甘い甘いキスを由貴と繰り返す…

「明日早く帰れそうだから…由貴も早く帰れたら久しぶりに外で食事しよう。」
「本当?」
「ああ…多分大丈夫だと思うんだ…」




そんな約束通り…次の日の撮影はいつもより早めに終わって…
オレはルンルンで帰ったのに……

「由っ貴っ〜〜〜♪ ただい……」

「ああ…お帰り!」

「は?」


これは…夢か?

玄関に入ると…オレを出迎えたのは…オレの愛する由貴じゃ無い!!


なんで?なんでコイツが此処に…オレの家にいる??


「お邪魔してる。」



何でオレの家に…あの… 「 羽柴 智匱 」 が…


しっかり! ちゃっかり!! いるんだよーーーーっっ!!