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「惇哉さん…」
「ん?」
シャワーを浴びてソファで寛いでる惇哉さんに声を掛けた。
時間はもう11時を過ぎてる…
「これから仕事が早目に終わる日ある?」
「え?早く終わる日?んーこの前休み1日貰っちゃったからな…
最初に言われてたんだ…その後は撮影ハードになるって…」
「そう…」
「何で?」
「え?」
どうしよう…前もって惇哉さんに言っておいた方がいいかしら…
でも…どうせならお父さんに会ってもらう時に話したいから…
「ううん…どうなのかな…って思って…」
「え?何?由貴〜〜〜 ♪ 」
「な…何よ…」
惇哉さんがニッコリと笑って私に近付いて来る…
「そんなにオレと一緒にいたい?」
「え?」
「だってオレの帰る時間そんなに気にするなんて珍しいじゃん…
もしかしてオレが帰る時間見計らって何かオレを驚かしてくれる事してくれるのかな?」
「何でそうなるの?誰もそんな事言ってない…で…しょ…」
リビングの壁際に追い詰められた…
「あの…惇哉さん…?」
「何?」
「あ…あの…」
触れるか触れないかで首筋に惇哉さんの唇が…
「こうやって…お奥さんを壁に捕まえるのは…どうかと思うけど…?」
由貴が上目遣いでオレを見上げる…
しかも何気に恥ずかしがってるから潤んだ瞳で余計その気になる…
由貴ってそう言う所に自分で気づいてないんだよな…
どれだけオレがそれでそそられてるか…だから余計に可愛い♪
「何で?……由貴…チュツ…」
「ン……ぁ…だって…ンン……」
下から押し上げる様に由貴の口を塞いで唇を攻める…
唇を攻められるのが弱い由貴はすぐに白旗を揚げる…それも自分じゃ気づいてない。
「由貴……」
「すぐ…こうやって……チョッカイ…出さないで…やぁ…あっ…」
パジャマの上から胸を揉まれて…閉じてた両足は惇哉さんの片足にあっさりと割り込まれた。
「だって新婚だもん ♪ 」
「何…その理…由…って…ちょっと…まっ…まさかここで?」
「たまにはしてみる?リビングで立ったまま…」
「だだだだだだ…だめ!!!って言うかイヤ!!!!」
「そう?じゃあ我慢する…」
「………随分…素直ね…」
「明日朝早いんだ…だから楽しみはゆっくりと出来る日にとっておく ♪ 」
「………とっておいても実行なんて出来ないわよ…」
「いや…きっと出来る ♪ 」
「何で?」
「オレが由貴をその気にさせてみせるから ♪ それに風呂場と同じだと思うけど?」
「全然違う!!リビングよ!リビング!!」
「燃えるよね?由貴……」
「………」
「由貴……」
「キス……だけよ…今は…」
「わかってる……チュウ〜 ♪ 」
「あ!ダメ!!そこに付けたら…見えちゃう!!」
首筋に近い部分でチクッとする。
「ちゃんと隠せば平気だって…」
「ウソ!この前見られたもの!」
「誰に?」
「……智匱君に…」
「ふーん……」
「何?」
「いや……羨ましがられた?」
「仲が良いんだなって…冷やかされたわよ!もう恥ずかしいから!!」
「だから新婚なんだから恥ずかしくないって ♪ 」
「余計恥ずかしい!!何だか皆に知られてる気がする!!」
「そりゃわかるんじゃない?皆だってそう思ってるよ。」
「じゃあ本当に嫌!!しばらく何もしないでね!惇哉さん!!」
「はあ?言ってる意味がわかんない?」
「皆がそう思ってるなんて思いながらそんな事出来ないって言ってるの!」
「それとこれとは話が違うだろ?」
「違わないです!ほら!明日早いんでしょ?もう寝た方が良いわよ。」
「………何もナシで?」
「何もナシで!お休みなさい。」
「…………」
本当は納得行かなかったけど…確かに明日の朝は早くて…
最近の無理がたたってちょっと眠さもピークだったから…
その日の夜は大人しく眠った……
まあ由貴の抱き枕でだけど…結構暴れられて…でも何とか大人しくしてもらって朝まで熟睡できた。
「ふぁ…おはよう…」
早朝のオフィス街…
人の集まる前の撮影で立ち話してるレンジとメイク担当の女の子を見付けて話し掛けた。
「おはようございます。」
「オス!何だまた寝不足か?」
「ん〜〜そう言うわけじゃないけど…寝たりない気分…抱き枕は最高だったんだけどな…」
「は?」
「ううん……」
「楠さんの所は新婚さんだから良いですね〜浮気なんて心配した事無いですよね…」
「当然!」
「それにコイツメガネちゃんに浮気なんてされたら相手の男呪い殺すんじゃね?
そんでメガネちゃんは一生部屋から出してもらえないな。」
「な…何ですか?その恐ろしい発言は?」
「そうだよ!いくらなんでもそんな事するか!まあ由貴は外出禁止だけどな。
そんでその相手とは絶対2度と会わせないし引き離して忘れさせる!!」
「………うわっ…恐っ!!」
「バカが!引かれてんぞ!」
「痛っ!!」
頭を後頭部から叩かれて前にツンのめった!!
「目も覚めたか?変態野郎!」
「変態じゃ無い!愛情だって!愛情表現!!」
「歪んでるぞ…思いっきり!!」
「何?浮気でもされたの?」
後頭部を擦りながら本来の話しに戻した。
「そうなんですよ〜最近私の帰りの時間を気にする様になったんです。」
「………え?」
「何時ごろ終わるっていつも聞いてくるから最初はその時間に
彼も帰って来てくれるのかと思って喜んでたんです〜
だから帰る時に電話したりメール入れたりしてたんですけど…そしたら…」
「そし…たら?」
「彼私が帰る時間聞いといてギリギリまで他の女と浮気してたんですよ〜!!
しかも私の部屋でもですよーーー!!もう信じられない!!
もしかしたら今までその帰って行く女の人とすれ違ってたかもしれないんですよ〜〜!!」
「で?何でバレたの?」
「教えた帰宅時間より早目に帰ったんだってよ。」
「撮影が早く終わって驚かしてやろうと思って彼の部屋に行ったら……」
「行ったら?」
「しっかりちゃっかり「アノ」真っ最中だったんですーーーーっっ!」
「………へ…へえ…それは…最悪…」
「ですよね?」
「で?そんな野郎に1発くらいお見舞いしてやったのか?」
「はい!直ぐ横にあったゴミ箱をベッドの2人に叩き付けてやりましたっ!!」
「よし!でかした!」
グッ!とメイクの女の子がレンジに向かって親指を立ててウィンクする。
お前等どんな関係だ?戦友か?
でも…そう言えば由貴も昨夜は珍しくオレの帰る時間気にしてたな……
まさか…まさか…な?
由貴がそんな……なあ?
チラリと由貴と智匱のツーショットの姿が頭に浮かんだ……
直ぐに自分の中で否定はしたけど……
でも一度芽生えた疑心暗鬼な想いは消える事が無くて…
オレの胸の中でくすぶってて……
撮影が終わっても…消える事が無かった……