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* 今回R15のお話です。隠してませんのでご注意を…



新婚旅行3日目からはとにかく島を満喫する内容のツアーばかりだった。

ヘリコプターで島を上空から眺めたり島の中心の村に車で出向いたり…

モーレアならではの風景や名産の食べ物も楽しんだ。

島のあちこちに民芸品のお土産屋もあってオレと由貴は買って帰るお土産の
あまりの多さにゲンナリしたほどだ…

それでも夜はどこもかしこもロマンチックな風景で毎日の様に何軒かのバーで
由貴とお酒を楽しんだ。

あっという間の7日間だった……

「もう明日は帰るのね……」

オレの腕枕で大人しくベッドに横になってる由貴が名残惜しそうにそんな事を言う。

「ああ…きっとあっという間に現実に戻されるぞ。」
「そうね…ここって都会を感じるものが何も無いから…そんな雰囲気忘れてた…」
「由貴……」
「惇哉さん……」

腕枕にしてる右腕を引き上げて由貴をオレの方に抱き寄せた。
左手で由貴の頬に手を当てて上を向かせてそっと唇を重ねる…

「……ん……ふぅ……ン…」

最初は啄ばむ様にしてたキスもいつの間にかお互いを求めるキスに変わる…

いつまでもいつまでも舌を絡めて…相手を追いかけて…また絡めあう…

「…ン……はぁ……」

いつもと同じ様に由貴は息継ぎが下手だから離れた瞬間大きく息を吸う…

「由貴……好きだよ……」

「……うん…」

耳元にそっと囁いてそのまま首筋に顔をうずめた…

胸まで引き上げてた上掛けを掴んで引き下げると由貴の裸の胸が露わになる…

とっくに2人共シャワーを浴びて裸のままベッドに潜り込んでたから…

なんせタヒチの最後の夜だから……もう当分来れないかもしれない…

「また…来れるかしら…」

そんな事を思ってるオレの顔に密着してる由貴の潤んだ瞳が
オレを見上げながらそんな事を聞いて来る…

「由貴が望むならまた来よう…直ぐにとはいかないかもしれないけど…」
「そうね……いつかまた来ましょうね…」
「ああ……」

由貴を抱きしめながらオデコに…瞼…頬に…鼻の頭に…

触れるだけのキスを繰り返した…

「くすぐったい…」
「オレは気持ち良い…」
「これが?くすっ……」
「これが…んーーーーチュッ ♪ 」

頬にふざけて押し付ける様なキスをした。

「フフ……」

そんな会話しながらオレと由貴はお互いを抱きしめたまま
ベッドの上で寝返りをうつ…

コロコロと何度か2人で廻って…由貴がオレの下に来た時に廻るのを止めた。

「由貴……」
「はい……」
「…こんな事言うのもなんだけどさ…」
「ん?」
「由貴には悪いけど由貴の元彼があんな奴で良かった…」
「え?何で?」

由貴がちょっと納得いかない顔でオレを睨む。

「だってさ…もしアイツがあんな奴じゃ無くて真面目な奴だったら
由貴はアイツと別れずにずっと付き合ってたと思うんだ…」
「……そうかしら…」
「だって由貴真面目だから絶対別れたりしないと思うんだよね…
そしたらいくら満知子さんがオレのファンだからって
由貴をオレの世話係になんてさせなかったと思うし…」

確かに惇哉さんの言う通りで…
真面目に付き合ってたら絶対母の言う事でも聞けなかったと思う…

「そしたら由貴ともなんの接点も無くてただのお隣りさんだった…」

多分冷ややかな眼差しで見られてたんじゃないかと思う。

「でも話くらいはしたかもよ。」

「かもな…でもそうしたらオレ由貴の事好きになったかな…」

「え?」

「オレ人のモノ取ったりしないから…付き合ってる相手がいる人に手を出したりしない…」

「…………」

「……何?その何とも言えな眼差しは?」
「え…ううん…惇哉さんって遊んでたって言う割には結構真面目なんだなぁって…」
「は?」
「手当たり次第に女の人と遊んでたのかと思ってたから…」
「なっ…!どんな風にオレの事見てたわけ?」
「色々な情報を組み合わせてと惇哉さんが自分で話してくれたのと…」
「……ロクな情報源じゃないな…そりゃ誰とも付き合ってない時は軽い気持ちで遊んだ事もあったけど…
オレ誰かと付き合ってた時は浮気なんてした事無いんだからな!ちゃんと付き合ってる相手一筋だったんだから。」

まあ…真剣さと相手を想う気持ちの深さって言われたら…
あんまり大きな顔はできないけど…

浮気した事は無い。

「そうなんだ…」
「だから浮気はしないから安心していい…由貴…」
「うん……」
「何だか頼りない返事だな…」
「え?あ…惇哉さんが浮気って…何だか想像出来なかったから…」
「へ〜由貴そんなにオレの事信用しててくれてるんだ。」
「え?んーって言うか人の事いつもあれだけ束縛してヤキモチ妬いて心配しすぎるくらい
心配してるからそれで浮気なんてしてないかなって…」
「は?」
「それで浮気なんてしたら許さないわよ。呆れちゃうわね…きっと。」
「………しないから…関係ない…」
「そうね…」

「……でも…由貴だったら…人のモノだってわかってても…オレ手を出しちゃったかな…」

「ん?」
「でも由貴はきっと相手を裏切らないからオレの片思いで終わりかな…」
「さあ…どうかしら…」
「え?」
「現実にそうなってみないとわからないわよ…もしかして惇哉さんを選んだかもしれない…」
「……それってさ…」
「ん?」
「今でも同じ条件って事?」
「え?」
「もし今後他に誰か由貴の事が好きだって奴が現れたらオレと別れる可能性があるって事?」
「…惇哉さん…」
「そっちの男が良くなったら…」
「その時惇哉さんが私の事を好きじゃなかったら…考えちゃうかも…」
「え”っ!?」

「だって好かれても愛されてもいなかったら一緒にいれないでしょ?」

「……オレがそうなると思ってる?」

自分から話をふっといて何だか変な事になって来たかと焦りだす…
心臓もちょっとドキドキ言い出したし…

「ううん。」

「 ! 」

なんの間も空けずに由貴が否定した。

「きっとそんな事にはならないわ…」
「由貴…」
「私達は大丈夫…でしょ?」

今度は逆に由貴に聞き返された。

「……うん…大丈夫…」

そんなオレの言葉に由貴がニッコリと笑う…


そう…由貴の言う通りオレ達は大丈夫だ…

オレは由貴を裏切ったりしないし由貴を手放したりしない…

ずっと好きでいる…これからだってずっと由貴を愛してる…

オレがそう思ってる限り由貴はオレの傍からいなくなったりしない…





「ンア……」


由貴の身体がゆっくりと反り返る…

片手はオレの肩に…もう片方の手はシーツをぎゅっと握り締めてる…

「……あ…ぁん……」

今は由貴の顔をじっくり眺めながらゆっくりと由貴を攻めてる…

オレが押し上げるたびに由貴の身体がゆっくりと上下に揺れてシーツの上の
真っ黒な由貴の髪もちょっとずつ揺れて形を変えていく…

由貴の身体を跨ぐ様に肘をついて由貴の髪と顔に両手で優しく触れる…

ずっと嬉しい気持ちに任せて強引に…激しく攻めてたけど…

今はゆっくりと由貴の身体を堪能したい気分だ…

「由貴……」


思わず由貴を攻めながら頬擦りをした…

「愛おしい…」と言う気持ちがさっきから自分の中で込み上げて…どうにもならない…

きっとさっき由貴がオレを安心させてくれたからか…?


「惇…哉さん……」
「ん?」
「なん…で?」
「ん?」
「優しい……」
「たまには…ね…だから由貴の全部を観察する…」
「え?」
「どう攻めればどんな顔見せてくれてどんな声を聞かせてくれるかって…」
「……やだ……恥ずかしいじゃない……んっ……」

そんな会話をしながらも由貴はどんどん色っぽい顔と瞳でオレを見上げて来る…

淡いピンク色に染まった頬にしっとりと濡れてきた身体に…
ちょっと開いた唇から漏れる由貴の甘い声…

全部オレのものだ…オレだけのもの……


「…ふぁ……あ…や…」

いつもよりゆっくりに由貴を攻めてたから由貴も何気に堪えてたみたいだけど
流石にそろそろ限界が来たらしい…

オレの肩といつの間にかシーツからオレの腕を掴んでた由貴の手に
ギュッと力が篭り出した…

「由貴……」
「惇哉…さん……あっ…ふぅっ…」

それでも優しく押し上げながら由貴の口を塞いで舌を絡ませるキスをする…

由貴は自分の身体とオレとのキスできっと一杯一杯だろう…知っててキスを止めない…


「ふあっ!……あ…あっ…」

強引にオレから逃げて由貴が大きく息をする…

「由貴……」

「んっ……ああっっ!!!」


やっぱりオレも最後まで優しくなんて出来なくて…

結局最後はいつもと同じ様に由貴を激しく攻めた。



何度も何度もオレに攻められてクッタリとなってる由貴…

浅い息を繰り返して…軽く瞑った瞼はさっきから1度も開かない…

しっとり濡れてた由貴の身体はもうオレの汗なのか由貴の汗なのかわからないくらいだ…

「由貴……後で一緒にシャワー浴びよう…」

耳元に囁くと僅かに頷いた…良かった起きてた…
疲れて眠ったかと思った…


由貴が動ける様になるまで最初と同じ様にオレの腕枕で由貴を抱きしめる…


オレは由貴を裏切ったりしないし由貴を手放したりしない…

ずっと好きでいる…これからだってずっと由貴を愛してる…

オレがそう思ってる限り由貴はオレの傍からいなくなったりしない…


だからもしも由貴がオレの傍からいなくなる時は…きっとオレのせい…

オレが由貴を傷つけたり裏切ったりしたせい…


でもオレは由貴にそんな事はしないから…

これからもずっと大切に…大事にするから……

だからオレの傍から…いなくなったりしないでずっと傍にいて……由貴……


「ずっと…愛してるよ…由貴…」


何となく寝息が聞こえなくもない由貴に向かってそう囁いた…


なんの反応も無いけどオレは別に構わない…

同じセリフをオレはいつでもどこでも由貴に言える……

だから何度だって…何百回だって何千回だって言うから……


そう言えば一番感謝しなくちゃいけないのは…

オレと由貴を引き合わせてくれた満知子さんだな…なんて事を思いながら…


どうやら眠ってしまったらしい由貴の身体をオレは両腕でギュッと抱きしめて…

静かな夜の…無数の星が煌く夜空を窓越しに眺めながら…


新婚旅行最後のタヒチの夜を満喫する……