由貴ヤキモチ編 09





* 今回R15のお話です。隠してませんのでご注意を…



「おいで由貴…」

「…え……?」


私はクラクラする頭で惇哉さんに手を引かれるまま歩き出した。




「あ…」

部屋のドアを背に押し付けられて身体が揺れる……
何度も何度も力強く押し上げられてのけ反りそうな身体を更にドアに押し付けられる…
だから惇哉さんの背中に廻した両手はさっきから洋服が破けるくらい握り締めてる。

手を引かれて連れて来られたのは駅の近くのラブホテル…
気付いて文句を言おうとしたら部屋に入った途端にドアに押し付けられて
またさっきと同じキスをされた…

そっちに気を取られてたらいつの間にか必要最低限脱がされていきなり片脚を
抱きかかえ上げられたと思ったら強引に押し上げられて身体が持って行かれた…


「あっ…あっ…あ…」

あっという間惇哉さんに翻弄されていく…揺れる視界の先にベッドが見えた…

「はぁはぁ……惇哉さ……あ…」
「由貴……」
「ンア!」
「由貴…」

耳元に何度も名前を囁かれて…そんな優しい声とは裏腹に身体は激しく攻められる…

「あ…どう…して…」

惇哉さんに必死にしがみつきながらやっと喋れた。

「由貴が……可愛い事してくれたから…嬉しくて…家まで我慢出来なかった…
今すぐ由貴を抱きたくて…ベッドまでもたなかった…」

確かに嬉しい気分で…全力で走ったせいか酔いも廻ってるらしい…
何だか頭の中がポワンとなってるし…
身体中がウキウキしてるみたいでそれを由貴に伝えたくてしょうがない…

「もう……何よ…それ…」
「ヤキモチ妬いてくれたから…」
「だから妬いてなんか…ないって…言ってる…のに…」

そんな会話をしながらも身体は小さく揺れ動いてる…

「そのウソがもっと可愛い ♪ 」
「アン!!」

また力強く押し上げられた。

「由貴……」
「………」
「あの高校生となんかあった?」
「ううん…ちょっと…話してた…だけ…」
「本当?」
「本当よ…」
「そう………由貴…」
「?」

「もっとヤキモチ妬いていいよ……」

「え……?」

「それで浮気は許さないけど…由貴のヤキモチでオレを縛って……」

「………」

「オレを独占して……由貴……」

「惇哉さん…」

「遠慮なんてしなくていいから…オレは由貴を裏切ったりしないけど…
ヤキモチ妬かれるのって嬉しい…」


由貴は普段オレを好きな事をなかなか表に出してくれないから…

そんな事でオレは自分が好かれているんだと確信できる…


「………」

惇哉さんが色々言ってくれてるけど…
散々攻められ続けてる私はもう頭の中が何も考えられなくなってきてて…

このままじゃ……


「や……惇哉さん…ぁ…」

ギュッと惇哉さんの服を握り締めてる手に更に力が入る…

「由貴…」

「あっ!あっ…」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

まさにもう少しって場面でオレの携帯が鳴った。

しばらくシカトしてたけどしつこく鳴り続けるから仕方なくポケットから取り出して
相手を確かめた。

「レンジ…」
「…え…?」
「ったくこんな時に……はい?」

『 馬鹿野郎!!今どこにいやがるっ!!! 』

「!!!痛っつーー!!」

とんでもない大声で鼓膜が破れるかと思った。

「ホテル」
『はぁ?』
「だからラブホテルだって。」
『 このボケっ!!こっちはお前が待ってろって言うから皆して待ってんだぞっ! 』
「あ!」

そう言えば…

「…ふぅう……」
「ん?」

見れば由貴が両手で自分の口を押さえて声を我慢してる。
ああ…そっか…後ちょっとだったんだ…

「…うふっ!!!」
「フフ…」

ワザと一度押し上げたら由貴がびっくりした顔でオレを睨む。

その顔がまた何とも言えなくて…


『この捕まえた坊主もどうするんだよ。』
「ああ…もういいよ…こっちは誤解が解けたから…」
『それでホテルかよ…ったく!』
「悪いレンジ七瀬さんには上手く言っといて…」
『仕方ねーな…後でしっかり感謝してもらうからな!』

「…ふぅっ!!」
「頑張るね由貴…」
「………」

潤んだ瞳で睨まれると余計気持ちが高ぶる ♪

『おい!惇?』
「じゃ宜しくなレンジ ♪ 」

何だかまだ何か言ってたみたいだけど気にせず電話を切ってポケットにしまう。


「…あ…もう…信じられない……」
「そう?………由貴…」
「ン……」

今更触れるだけのキスを繰り返した…

「由貴……」
「……ンァ…」

また由貴の腕がオレの身体に廻される…だからオレも力を込めて由貴の事を抱きしめる…

「由貴…」
「………」
「どうしよう……」
「?」

「由貴の事が好きすぎて…どうにかなりそう……」

「惇哉さん……」


由貴の耳元にそう囁いたら…
オレの身体に廻された腕に力が篭って由貴がオレを抱きしめてくれた…


「由貴…次はベッドでちゃんと抱くから……」


そう言うと由貴は黙ってオレにキスをしてくれた……



その日はそのまま気の済むまで由貴と愛し合って…明け方2人で歩いて帰った…

勿論しっかりと手を繋いで…


ヤキモチでオレを縛ってって言ったのに…

それからの由貴はヤキモチなんて妬くこともなく……

由貴の性格から言ってありえない事じゃなかったのに…
言って失敗だったのか?と後から後悔した…


追い打ちを掛けるようにその日の撮影でレンジには散々イヤミを言われ小突かれて…

七瀬さん家族からは某人気テーマパークの入場券の家族分のプレゼントを請求された。


まあ…そんな事を差し引いても…

オレにとっては 「 由貴がヤキモチを妬いてくれた 」 貴重な体験が出来て満足なんだけどね…