妊娠&例え話編 01





* 今回軽〜いR15のお話があります。ご注意を…



「本当に…ここにいるよな…」

「いるに決まってるでしょ…もう何言い出すのよ…」

「だって…ペッチャンコで…動かないし…」
「まだ3ヶ月なんだから当たり前でしょ。」

こんな会話を私はソファで座って惇哉さんがそんな私の膝に
お腹の方を向いて膝枕で寝転んでる…

そしてお腹に向かってそんな事を言う…

私の妊娠が発覚して約1ヶ月…
惇哉さんはこっちが引いちゃうくらい心配して…
暇さえあればこうやってお腹に向かって話し掛ける…

「おーい…元気か?」

そう言ってお腹を擦る。

「もう…くすぐったいし何か赤ちゃんに良くない気がするからやめて!」
「どう良くないんだよ!」

ちょっとムッとした顔で下から見上げられた。
でも起き様とはしない…

「何だか…お腹の中で「うるさい」って言ってそう…」

どう見ても「胎教」とは言えないんじゃないかと思うけど…

ただ単にお腹の赤ちゃんを構いたくって仕方ないのかも…
それと私の膝枕狙いらしい…

「なんかさ…」
「なに?」
「子供出来たのは嬉しいんだけどさ……」
「だけど?」
「きっと生まれたら…由貴子供に掛かりっきりだよな…」
「当たり前でしょ…」
「………」

惇哉さんが私の腰に腕を廻して私の身体に顔を押し付ける。
あの惇哉さんの「無言のごめんなさいポーズ」に似てるけど…

「惇哉さん?」

「なんか……寂しいな…」

「え?」
「だってそしたらオレの事なんて二の次だろ?」
「何言ってるのよ!そんなの当たり前でしょ!」
「だよな…」
「惇哉さんにだって面倒見てもらいますからね!そしたらそんな事言ってられないわよ!」
「そうだけどさ…ああ…由貴がもう1人いればいいのに…」
「何怖い事言ってるのよ!もう…先が思いやられるわ…」
「そんな事は無い!」
「何が?」
「良い父親になる自信はある!」
「そう…期待してる…」
「何その諦めモードは?」
「だって…さっきの今で信用度0よ!」
「そう?でさ…由貴…」
「何?」
「気分良い?」
「ええ…別に普通だけど…?」
「じゃあさ…ちょっとあ・そ・ぼ ♪ 」
「 !! 」
「 フフ ♪ 」

そんな時だけ素早く起き上がる。

「……乱暴に…しないでよ…」
「しないよ…優しく…優〜〜〜しく抱く ♪ 」
「長い時間…しないでよ……」
「しない…由貴に無理はさせないから……」
「じゃあ……少し…ね…」
「うん…少し……」
「ここじゃ…嫌…って言うか身体に負担掛かりすぎる…」

ソファは狭いから変に身体に力が入っちゃうし…
自分1人の身体の時は無理出来きたけど今はそんな事したくない……

「わかってる ♪ 」
「あっ…」

グンッ!っと身体が浮いてお姫様抱っこで抱き上げられた。

「久しぶりだな…」
「そう?」
「そうだよ…」
「じゃあ…本当に大丈夫?」
「大丈夫だって…そこまでオレもバカじゃ無いから…」

そう言って惇哉さんはにっこりと笑うけど…ちょっと不安は残る…

それに妊娠がわかってから初めての事で…
どんな風なのか私にもわからなくて……

「本当に優しくね?」
「わかってるって…信用して!オレだって赤ちゃん大事なんだから。」
「じゃあしなきゃいいのに…」
「オレだって由貴に癒されたいの……」
「…………」

私を抱き上げながら惇哉さんが器用に寝室のドアを開けて…

そっとベッドに私を下ろしてくれた……





「うん…大丈夫よ…わかった気をつけて帰るから…着いたらちゃんとメールするから…はい。
じゃ撮影頑張ってね………ふぅ…」

最後は溜息で電話を切った。

「大変ね〜愛されてるのも。」
「え?」
「惇哉君マメに電話掛けてくるから…」
「前はほとんど掛けて来なかったんですけどね…」

私からも滅多に掛けなかったから…

「まあ楠さん1度倒れて入院したから余計心配なんじゃない?」
「今は全然平気なんですけどね…それに妊娠しながら働いてる人たくさんいるんですから…
普通の事なんですけど…」
「そりゃ楠さんは普通かもしれないけど彼は普通じゃないからじゃない?」
「え?」
「奥さん溺愛だから。」
「溺愛って…?」
「社長…惇哉君に物凄い脅されたらしいから…」
「え?」

「 『 由貴の事お願いします!』 って超真剣にお願いしたらしいわよ。」

「もう…やだ…」
「まあ惇哉君だから許されるんでしょうけど。一番の稼ぎ頭だもんね。」

「でもさまだ楠さん一般人だから惇哉君も大人しいけどこれがもし楠さんが
モデルとか女優だったら大変なんじゃない?」

「え?」

「ラブシーンなんて卒倒モノじゃない?」

「そんな…だって自分だって散々そんなシーンやってるんですよ。
それに仕事なら割り切るって言ってるし仕事にプライベートも持ち込まないって…」
「甘いわね〜楠さん!」
「はい?」

ズイッと近付かれた。

「男はねズルイんだから!男は良くても女はダメとか思ってんのよ〜
しかも相手は惇哉君なんだから!それは楠さんの方がよ〜くわかってるんじゃない?」

「………」


もう皆…好き勝手な事言って…




「え?」

「だから私がもしモデルや女優だったら惇哉さんどうするって聞いたの。」

家に帰って仕事から戻って来た惇哉さんに今日事務所で話した事を聞いてみた。

「由貴がモデルが女優?」

「そう…」

「んー…」



*******

「惇哉君ちょっといいかな。」
「ん?」

事務所で時間潰してたら社長に呼ばれた。

「今度ウチで預かる事になったモデルの娘を紹介したいんだけど。」
「モデル?」
「そう。今まで読者モデルで仕事してたんだけど今度本格的にウチで始める事になったから。」
「ふーん…」
「追い追い役者の仕事にも進んで貰おうと思ってるんだけどね。」
「なんて娘?」
「 『 柊木由貴 』 って娘なんだけど年は惇哉君と同じだから。」
「え?じゃあ22?」
「そう大学卒業したばっかりなんだ。」
「ふーん…」

「柊木君惇哉君連れて来たよ。」

「あ…はい…」

社長室に入ると既に立ち上がって頭を下げてたから相手の顔が見えなかった…

オレはモデルはたまにしかやった事ないしやっぱりメインは役者だから
モデルの事はあんまり詳しくない。

だから 『 柊木由貴 』 と言う名前も聞いた事は無かった…

「柊木由貴です。これから宜しくお願いします。」

「………」

馬鹿丁寧に言われて思わずこっちも頭を下げる。

「あ…よろしく…」

!!!

顔を上げた彼女で見て…一瞬オレの時間が止まった…

だって…だって…だって………超ーー綺麗ーーーー!!

「あの…何か?」
「えっ!?あっ…いや…」
「見とれちゃったのかい?惇哉君。」
「いや…」
「柊木君綺麗だから。」
「そんな…お化粧してるからです…」
「またまたご謙遜を…柊木君はもう少し自分に自信持った方がいいよ。」
「いえ…」
「………」

確かに化粧はしてるだろうけど…
どこかにいる女優の様な化粧で化けてるってわけじゃない…

どう見ても薄化粧と言えるくらいの化粧じゃん…なのに…

「柊木君あの 『 柊木満知子 』 さんの娘さんなんだよ。」
「え?あのエステ界でトップクラスの?」
「そう。彼女自慢の娘さんなんだ。彼女にも宜しくって言われてるから宜しく頼むね惇哉君。」
「え…ああ…まあ…」


そんな社長の言葉もオレは上の空で返事をしてた…

だって…もしかして…もしかしなくても…オレは彼女に一目惚れかもしれない……




* * * * * *


「くすっ…」

「なに?」

「いや…きっと由貴の事紹介された時にオレ由貴に一目惚れするなーって思って。」
「ウソばっかり!きっとそんな時も色んな女の人と遊んでるに決まってるわよ。」
「そんな事無い…と思うけど…え?もしかして由貴ヤキモチ妬いてくれてるの?」
「なっ…なんで惇哉さんの想像の中の事で私がヤキモチ妬かなくちゃいけないのよ!」
「まあ…そう言う事にしとこうか?」
「もう…自分に都合良く考えちゃってるんだから!
きっと私はそんな簡単に惇哉さんになびいたりしませんからね!」


* * * * * *


「いつの間に…」

あの後社長に教えてもらった事は由貴がオレの部屋の隣に住んでるって事…
いつの間に引っ越したのか…オレは全然気付かなかった。

何の気なしに普通に玄関のチャイムを押した。

同じ事務所でオレは先輩で社長に色々頼まれてるんだから別に構わないだろ?

何に遠慮する事がある。

下心があったか無かったか…それは今は問題じゃ無い。
本当に住んでるのか確かめたかった。

『はい?』
「オレ…楠だけど…由貴?」
『……はい…そうですけど…何の御用ですか?』

何?この思いっきりの警戒と迷惑そうな声は?

「いや…社長に隣に住んでるって聞いて…ちょっと話しない?」
『………私は別にお話なんてありませんけど…』
「…………」

マジか??マジで言ってんのか?
このオレの… 「 楠 惇哉 」 の訪問を断ると?

「事務所の先輩命令!!今すぐこのドア開けろ!」
『………どうしてもですか?』
「どうしてもだ!!由貴!」
『どうして呼び捨てなんですか?』
「オレがそう呼びたいから!!いいから早く開けろ!」
『………はあ〜〜〜わかりました…』

オイオイ!思いっきり溜息聞えてんですけど!!

ガチャリ!と音かしてやっと玄関のドアが開いた。

「一体どんな話でしょう?」

「あのな………!?」

玄関を開けて出て来たのは…

真っ黒な髪の毛を後で一つで束ねて…化粧っけ無しの顔に黒縁メガネの女が現われた。

「だ…誰?」

「は?柊木ですけど?」


* * * * * *


「ぷははははは!!!」

「なっ…!?いきなりどうしたの?」

キッチンでコーヒーを淹れてた由貴がオレの笑い声に驚いて顔を出した。

「くっ……くっくっ…いや…ちょっと…ぷぷ…」

オレはソファで笑い転げてる。

「やあね…思い出し笑い?」
「まあそんなとこ…くっ…」
「また変な想像して笑ってるの?」
「そうじゃ無いけど…」

確かに由貴って化粧しないだけで印象が大分違うからな…




* * * * * *

「はいどうぞ。」

「どうも。」

由貴に部屋に入れてもらって出されたコーヒーを受け取る…
そんな間もずっと由貴を観察してた。

「そんなに人の顔見ないで!失礼でしょ!」
「だって本当に由貴なのか未だに信じられなくて…」
「どうせお化粧しない顔は見れたもんじゃありませんよ。」
「誰もそんな事言って無いじゃん…」

「 !!! 」

ソファで向かい合って座ってる由貴の顔に手を伸ばして頬に触れた。

「ちゃんと見ればいつもの由貴だよ…化粧してなくても綺麗。」

「なっ!!!ちょっと止めて!!!セクハラよ!」
「そんなに慌てるとコーヒー溢すよ。」
「あ…あなたが急にそんな事するからでしょ!!それに最初呆気に取られてたじゃない!!」
「まあ最初はビックリしたけど…今はもう由貴だってわかる…さっきはごめん…」
「………やっぱり…遊んでる人は違うわね…」
「は?」
「そうやって言葉巧みに女の人を丸め込んでるんでしょ?色々噂伺ってますから。」
「まああんなの本当半分嘘半分だから。」
「半分は本当の事何じゃない!」
「そりゃオレだって女の人と付き合う事だってある。
由貴だって今まで誰かと付き合った事あるんだろ?」
「……ノーコメント!」
「え?」
「あなたに話す義務は無いわよ!」
「もしかして…1度も無い…とか?」
「だからノーコメント!!って言ってるでしょ!!」
「由貴……」
「何よ!」
「わかりやすい……」


* * * * * *


「ふふ…」
「今度はなに?」

由貴がオレにコーヒーを渡しながら不思議そうな顔で隣に座る。

「え…いや…由貴があんまり他の男と付き合ってなくて良かったな〜って…」
「え?」
「由貴の事知ってる男がたくさんいたら嫌だなって思っただけだよ…」
「惇哉さんだって色々知ってる人何人かいるんでしょ?」
「まあ何人かは付き合ったしね…それは自然なことだから仕方ないじゃん…
由貴と知り合う前だったし…」
「そうだけど…」
「やっぱりヤキモチ?」
「……違います!!」
「そう?」
「ねえ…」
「ん?」

「仕事なら…私が仕事で誰かとキスしても惇哉さん許してくれる?」

「は?」

「今日事務所で言われたのよね…いくら仕事でも惇哉さんは私が他の人と
そう言う事になったらきっと大変だろうって…でもいつも言ってるものね?
仕事だって割り切ってるって…仕事にプライベートは持ち込まないって。」

「…………」

急に由貴にそんな事を言われて考える…

確かに自分だったらそうだろう…
仕事だって割り切れるし…本気の感情の入ってないただの芝居のキスだから…

でも……

「ん?」
「…………」

思わず由貴の顔を…唇をじっと見つめる…


* * * * * *


「え?キスシーン?」

「そう…」

「なんでモデルの仕事でキスシーンがあるんだよ!」
「だって…CMの撮影でそうなりそうなんですもん。」
「どう言う設定だよ。」
「え?ああ…もちろん恋人同士で…口紅のCM。」
「それでキスか…」
「多分……本当にするかはわからないけど…頭には入れておいてくれって…言われたから…」
「由貴はそれでいいのか?」
「いいのかって…それが仕事だもの…仕方ないじゃない。」
「…………」
「惇哉さんだって何度もそう言うシーン撮った事あるでしょ?」

由貴がうちの事務所に入って半年…
オレは由貴の部屋に入り浸る様になってやっと由貴に名前で呼んでもらえる様になったところだ。

今まで手を握った事も…キスなんてした事も無い。

こんなに由貴の事が好きなのに……

なのになんでオレより先に他の誰かが由貴の唇を奪う?

「ゴネろ!」
「は?」
「ゴネて無しにする様に仕向ければいい。」
「なっ…何言ってるの?プロの言う事じゃ無いわよ…」
「………」
「何?」

じっと惇哉さんが私を見つめる…って言うより睨んでる??なんで??

「じゃあ練習台になってやる…」
「え?なっ…ちょっ……」

いきなり座ってたソファで肩を組まれて…引き寄せられて…
顔を強引に惇哉さんの方に向かされて…唇を押し付けられた……

「んんっっ!!!!」

どんなに抵抗してもギュッと抱きしめられてビクともしない…!!!

「んーーーんんっっ!!んっ!んっ!!…………ふぅ……」

息が詰まるくらい長い間キスされて…舌を絡められて……

頭の中真っ白……

「……ん……はぁ……」

「…………」

「なんて事……するのよ……」
「練習に付き合ってやったんだろ…」
「頼んでないじゃない……強引なんだから…人の…ファーストキスを…」
「わぁお ♪ マジ?」
「本当よ!!もう!!」

結局…そのCMではキスシーンは行われず…
どうやらうちの事務所からクレームが入りギリギリの所でと言う事で撮影になった。


* * * * * *


「出来ればゴネて無しにして欲しいな…由貴…」
「でもそれがダメだったら?」
「事務所からクレーム出して止めさせる!」
「そりゃ最初はそれで通るかもしれないけど…いつまでもそれじゃ無理でしょ?
いつかどうにもならなくってやっぱりやる事になるんじゃないかしら…」

「…………仕事なら……割り切るかもしれない……」

「本当?」

「仕方なくだぞ!本当に仕方なく!!
だからそのシーンの前と後にはオレがこれでもかってくらい由貴にキスする!!」

「………それで大丈夫なの?」

「大丈夫なわけないろっ!!本当はそんなシーンカットさせたい位だってのに…
でも…仕事って言われると…何とも…我慢するしか…」

「へー」
「何だよ…」
「ちょっと意外だったかな…って…」
「じゃあ由貴はどうなんだ?オレ以外の奴とキスして何とも思わない?」

「……うーん」

由貴がしばらく考え込んでる。

「自分がそう言う仕事でずっとやって行こうと思ってたらやっぱり仕事だし受け入れると思うけど…」

「けど?」

「それはあくまでも想像で…今の私はモデルでも女優でもないから…」

「………だから?」

「やっぱり惇哉さん以外の人とのキスは嫌かも…ううん…嫌!」

そう言って由貴がにっこり笑う。

「由貴…」

「でもそんな風に惇哉さんの立場を自分の立場に置き換えると
仕事って言ってもそう言うシーンってやっぱり相手に気を使うわよね…」

「まあ…な…」

「惇哉さん私に気なんて使ってるの?」
「は?何?急に?」
「だって全然気にして無さそうだから…」
「そんな事無いって!気にしてるんだぞ!これでも!!」
「そう?何だかいつもケロッとしてたじゃない。」
「だからオレは仕事って割り切ってるって言っただろ?演技の1つだから…
でも流石にベッドシーンの時は由貴にスッゴイ気を使ったつもりなんだけどな…」
「そうよね…私の初めてそれで奪ったんだから。」
「あのな…そう言う言い方無しだろ?確かにあの時はそうなったけど
あくまでもあれはキッカケに過ぎないの!いつ由貴とそう言う関係になろうか
ずっと考えてたんだからな…」
「惇哉さんが遠慮してたって事?」
「そう!由貴の事ちゃんと大事に思ってたんだからな…あれでも…」
「本当強引だったわよね…」

「でも無理矢理じゃなかったろ?ちゃんと…優しく…大事に由貴の事抱いたよ…」

「あ…」

「ちゅっ…」

触れるだけのキスを由貴にした…

ああ…やっぱり由貴って最高…

「由貴……好きだからな…ずっと…いつまでも…」

「うん……」

「だから子供が生まれてもオレの事もかまって…」
「うん…大丈夫よ…ちゃんとかまってあげる。」
「あのな…かまうのとコキ使うのは違うんだからな!」
「わかってるわよ。」
「本当かな?」
「本当よ。」

「愛してる…由貴……」

「うん……」

「由貴も…言って……」

「………今度ね…」
「は?」

「さて!お風呂に入っちゃおう ♪ 」

そう言ってサッサと由貴はソファから立ち上がる。

「……じゃあオレも一緒に入ろうっと ♪ 」
「いやらしい事しないでよ!だったら一緒に入ってもいいけど…」
「どんな事がいやらしい事なのかオレにはわかりませんけど?」

「………いつもお風呂の中で惇哉さんがやってる事よ!!」




「もしかして…こう言う事?」

「あっ……もう…惇哉さんのバカ!!!あっ!あっ!」

お風呂で立ったまま由貴を攻めてる…
だっていつも2人で入る時はそうしてるから ♪ 

オレにしっかりと抱きついて密着してる由貴の身体が気持ちいい ♪

「赤ちゃん…はぁ…はぁ…いるんだから…あっ!んんっ!!」

「わかってるって…いつも言ってるだろ?オレだって赤ちゃん大事だって…
ちゃんと加減してるだろ?こんなに優しいじゃん ♪ 」

「…んっ……そうだけど……あっ…」

「由貴……愛してるって言ってよ…そしたらもっと優しくする…」
「本当?」
「本当 ♪ 」

「…………」

「由貴……」

「…………」

「くすっ…じゃあ一緒に言おうか?」
「一緒に?」
「そしたら言えるだろ?」
「………じゃあ…一緒に…」

「あ…」 「あ…」

「いしてる…!!!」

「ありがと ♪ 由貴 ♪ 」

「もっ!!惇哉さんズルイ!!最初だけじゃない!!ウソつきっ!!!」

「だって由貴ってばなかなか言ってくれないからさ〜〜〜作戦勝ち ♪ 」

「ホント…ズ…あんっ!!」



怒ってる由貴を軽く押し上げて黙らせた。

すぐ騙される由貴…そんな由貴が面白くて可愛くて…愛おしくて…愛してる…


数ヵ月後には生まれるオレ達の子供…

今おなかの中でこんなオレ達の会話をどんな風に聞いてるのか…



生まれてきたら…聞いてみようか…

ねえ由貴…