侠哉 高校生編 01
「真由〜〜〜 ♪ 」
「きょうちゃ ♪ 」
バイトが終って帰ったオレはリビングを入った途端オレ目掛けて走って来る
目の中に入れても痛くないもうすぐ3歳の最愛の妹を抱き上げる。
「ただいま〜 ♪ 良かった〜もう寝ちゃったかと思ったよ〜」
「きゃはは ♪ 」
抱き上げた真由の首筋にオレの顔をスリスリするとくすぐったがる。
オレと同じシャンプーとボディシャンプーを使ってるはずなのに
何で真由からする匂いはこんなにいい匂いなんだよ〜〜 ♪
「真由〜 ♪ ちゅっ ♪ ちゅっ ♪ 」
真由のマショマロみたいなホッペにちゅっちゅっとキスをする。
幸せ〜 ♪
「お兄ちゃんそれ危ないからやめなって〜」
もう1人の妹にとんでもなく呆れた眼差しで見られた。
「うるさい…」
オレの名前は 「 楠 侠哉(kusunoki kyoya) 」16歳の高校2年生だ。
「完璧な 「 シスコン 」 だよ。それとも 「 ロリコン 」?」
5歳違いのもう1人の妹が生意気にそんな事を言う。
顔はオレと同じ親父似で可愛いと言うより綺麗と言う顔…小5のクセに…
「オレは 「 シスコン 」 !別に小さな子供なんて興味無い。真由が可愛いの ♪ 」
本当は愛してる ♪ もちろん妹ととして…
「ああ!お兄ちゃんマザコンだもんね!真由お母さん似だし〜」
「黙れ!」
確かにオレはマザコンだったかもしれない…
と言うかきっと親父があんまりにも母さんを好きなもんだから親父に負けまいとして
対抗意識を燃やしたのは事実で…
それで 「 マザコン 」 と言われても仕方ないかも…とは思う。
初めて真由を見た時は皺くちゃで真っ赤で…
どこが母さんに似てて可愛いんだろうなんて思ったけど…
日増しに人間らしくなって行って…首がすわる頃には可愛さ爆発な真由が目の前にいた。
目の中に入れても痛くないなんて言葉は祖父さん祖母さんや親の為の言葉じゃない!
兄妹にだって通じる言葉なんだよ〜 ♪
「あら侠哉お帰りなさい。先にお風呂入っちゃいなさい。その間に夕飯の支度しておくから。」
オレの母さん…40代には見えなくて…
化粧もそんなにしてるとは思わないのに…いつも綺麗…
ただぱっと見は地味に見えるけど本当はすごく綺麗だってオレは知ってる。
「うん…オレが出るまで真由起きてるかな?」
「どうかしら?眠そうではないけど…もうすぐ寝る時間だし…」
「じゃあソッコー早く出よう ♪ 真由!侠ちゃん戻るまで待っててな ♪ 」
コクンと頷いて…両方のマショマロのホッペがプルンと揺れる…
クラッ…同時に送られて来た上目使いのそのキラキラな眼差しにオレは悩殺される。
「お兄ちゃんせっかくモテるのに昔はマザコンで今はシスコンなんて…可哀相〜」
リビングを出たオレの後ろ姿に向かって由香理がそんな事を言ってたらしい。
「マザ…?シス…?」
「あーもーママは考えなくてもいいから!」
「………そ…そう?」
ママは世間的にちょっと「ウトイ」所があるからね…
そんな事を小学生の娘に思われているなんて当の由貴は気付かず……
相変わらずな由貴…
「 ♪ ♪ ♪ ♪ 」
鼻歌交じりでシャワーを浴びる。
風呂から出たら真由を膝に乗せながらご飯食べようかな〜
おねだりされて「あ〜ん」て真由の口にオレの箸で食べさせてあげて…
あの口の動きが堪らなく可愛いんだよな〜 ♪
自分でもわかってる…ここまであんな小さな妹が可愛いと思うなんて…
「シスコン」と言われても仕方ないって…
由香理の時はオレもまだ小さかったからなんとも思わなかったけど…
同年の女の子には興味は無い。
小学校の頃から親父のせいもあってオレは注目の的だった。
見た目も親父に似てたから女の子にもきゃあきゃあ騒がれてたし…
中学に入学する前から騒がれてて入学したらやたらと話し掛けられ告られて…
大体が興味本位と 「 楠 惇哉 」 の息子だからで…彼氏にしたら自慢出来るから…
だから誰とも付き合った事もない…付き合いたいとも思わなかった…
『 気軽に遊べばいいのに 』
なんて親父は言う…自分は相当上手く女の子達と遊んでたらしいけど…
レンジさんが親父の若い頃の話を時々してくれた。
親父は悪びれる事もごまかす事もしないで素直に遊んでた事を認めた。
でもそれは母さんに出会う前までで母さんと知り合ってからは誰とも付き合わなかったって…
レンジさんも親父が急に付き合いが悪くなったと思ったら隣に母さんが
引っ越して来たからだって言ってた…
『 由貴と結婚するのは大変だったんだぞ〜 』 って親父は良く言う。
どこがどう大変だったかは母さんの口止めが厳しくて教えてもらってないけど…
「真由〜 ♪ 」
ソッコー風呂から出てリビングに飛び込む。
「真由〜 ♪ ただいま ♪ ちゅっ ♪ 」
「なっ!!」
いきなり親父と真由の「ただいまお帰りちゅう」がオレの目に飛び込んで来た!
しかも口ちゅうだっ!!
「止めろ!親父っ!」
「ん?」
「真由がけがれる!!」
「はあ?何で父親が娘とキスして真由がけがれるんだよ!」
クソッ!親父は娘溺愛だった!
「真由〜 ♪ 侠ちゃんの所においで〜 ♪ 」
「………」
真由がオレと親父を見比べる。
「真由…コショコショ…」
「!!」
親父が真由の耳元に何か囁いた。
その途端…
「パァパ ♪ 」
って叫んで親父に更に抱き着く!
「あーー汚いぞ!親父!!真由に何吹き込んだっ!」
「えー?愛してるって言っただけ ♪ 」
「ウソだ!真由がそんな言葉の意味わかるわけないだろ!」
「わかるよ…オレが囁いたんだから…」
カッチーーン!!自信満々の顔と人を見下した眼差しにブチ切れる!!
「もういい加減にしなよパパもお兄ちゃんも…真由オモチャにしてるとまたママに怒られるよ。」
「 「 !! 」 」
別にオモチャにしてるわけじゃないが…はっきり言って母さんに怒られるのは避けたい…
それは親父も同じらしい…
「風呂入るんだろ…真由おいで。」
「………」
親父も仕方なくオレに真由を渡す。
「仕方ないちょっとだけ預からせてやるよ。」
「そりゃどうも。」
お互い引き攣り顔だ。
フン!親父が出て来る前に真由を寝かしつけてやる!
本当はもっと真由と遊びたかったけど親父に取られるくらいなら真由を寝かす!
オレと親父は昔から顔と好みが似てるらしい…性格は全く似てない!断じて似てないっ!
一度レンジさんに 「 惇の野郎にそっくりだな ♪ 」 って言われた時は倒れるかと思った。
「はあ…」
全く冗談じゃない…
「……ふぁ〜〜〜」
真由を寝かすにはちょっとコツがあって暗い部屋で絶妙な揺れと背中トントンと
真由の頭に自分の頭を乗せた調度いい重さと…それで完璧!
「あら?侠哉は?」
「真由寝かしつけてる。」
「え?眠そうだったのかしら…」
「醜い男同士の嫉妬。」
「え!?お…男同士の嫉妬?」
「ママはいいから!ママが言っても無駄だから。」
「そう?」
「うん。」
「………由香理ってしっかりしてるわね…」
「そう?」
「ええ…」
「まああのパパとお兄ちゃんの面倒みなきゃいけないからねー
そっか!やっぱり私はママの子供だから?」
「あら…それってどう言う意味?」
「やっぱりしっかり者?って事かな?」
そう言ってにっこり笑った由香理の顔は惇哉さんソックリ…ふふ…
微笑んで由香里の頭を何度か撫でた。
「母さん。」
「ん?」
「真由オレの部屋に寝かせたから。」
「え…大丈夫なの?」
「全然大丈夫。はあ〜腹減った…」
オレは大満足で一仕事終わらせた気分だった。
風呂から出て来た時の親父の顔が見モノだ!ふふん ♪