06
「…………ん?」
心地いい眠りから目が覚めると…ここは濯匡のベッドの中……
ああ夢じゃ無かったんだ……人ってあんなに激しく抱き合えるものなんだと初めて知った。
「濯匡?」
ベッドにアイツがいない…ああ…シャワーの音がする。
「フニャ……」
また布団に潜り込んで目を瞑った。
アイツがシャワーから出たら…あたしも浴びて……そしたら…帰ろう…
こんな事は…昨日一晩だけ…
きっとこれでアイツは満足で……あたしの事なんて見向きもしなくなるだろう…
アイツにとってあたしはただ寝ただけの女になる……
だってあたしは別に恋人になってくれって…言われてたわけじゃ無いし…
最初っからアイツは 『 お前としたい。 』 って言ってたもの……
だからそれは達成してるんだから…もうあたしを追い駆ける理由なんて無いものね…
寝たからって…あたしだって恋人面するつもりなんか無い…
大体あんな男と付き合ったら身体もたないし…それに…
絶対!!!!浮気するに決まってる!!!
そんな男こっちから願い下げだもんっっ!!!!
だから…これでいいんだ……ただ…もう少しだけ……
こんな恋人みたいな事してたって……いいよね……だって…何年ぶり……
「ん?」
気配がして目を明けた。
「おはよう。ウサギちゃん ♪ 濯匡いるなか?」
「 !!!!! 」
いつの間にか目の前に……中年の男が1人!!!
裸のままベッドで寝てるあたしを覗き込んでたっっ!!!
「 きゃあああああああああ!!!!! 」
「わぁ!!」
「 !!! 」
あたしは慌てて掛け布団を身体に巻き付けてベッドを飛び降りた!
そのまま浴室に…濯匡がいる浴室に飛び込んだ!!
「?」
「あ…あ…あ…あ…あ…………」
「何だよ?一緒に浴びんのか?」
「え?」
シャワーを浴びてる途中の濯匡が湯気の向こうから笑ってあたしを見てる。
全裸で!!!って当たり前なんだけど!!!
「きゃーーーーー!!!バカ!!少しは隠せ!!!」
「お前が勝手に入って来たんだろうが!何だよ?」
「だだだだ…誰か来た!!!」
「ああ?」
「ちゅ…ちゅ…中年の親父!!!」
「中年の親父?………ああ……」
「え?知ってるの?」
「ああ…仕方なく…な。」
「…え?何?」
「お前には関係ない。」
「まあ…いいわ…じゃあ知り合いなのね??」
「ああ…」
「なんだ…もう…びっくりした…目明けたら目の前で覗き込まれてたから…」
「はあ?お前身体見られて無いだろうな?」
「……多分…直ぐに隠したから…」
「………ふーん…」
バッ!!!
「うわっ!!きゃっ!!」
身体に巻いてた掛け布団を引っ張られて剥ぎ取られて…遠くへ放り投げられた!!
だから今のあたしは……
その場にしゃがみ込んだらアイツがあたしに近付いて来る…
って…丁度視線の高さにアイツの………
「だっ…だから隠しなさいって!!!!」
「ついでだから一緒に浴びちまえ。」
「は?」
「どうせ後で浴びるつもりだったんだろ?」
「そ…そうだけど…後で1人で…って…ちょっ…」
腕をグイッと引っ張られてシャワーのお湯の下に連れてかれた。
「ホント…やめ…うあっ……あっ…や…」
後ろから持ち上げる様に胸をアイツの掌で掴まれて…思いっきり揉まれた!!!
「…あっ!!やっ…やだってば…人…いる…人がいるっ!!!!あんっ!!」
10本の指が別々に動いて…その全部の指で攻められた。
「や…あ……」
言葉ではそんな事を言ってるけどあたしはコイツを拒んだりしてない…
きっとコイツはそれを分かってる……
「!!」
クルンと身体が廻されて正面で向き合った。
「………」
やだな…あたしどんな顔してるんだろう……
「わっ!!」
ガシッっとアイツの腕であたしの片足が持ち上げられた。
「ンッ…アアッ…!!!」
一度も躊躇する事も止まる事もしないで一気に押し上げられる。
「はぁ…はぁ…あ……」
身体から力が…抜ける……
「相変わらずキツイな……」
「知る…か!!」
何とか突っ張って見せるけど…ちょっとでも動かれたら勝負はあっという間に決まる。
「……アウッ!!あっ!!」
一度押し上げられただけで身体中が痺れた…だからすぐにアイツに掴まった…
「顔上げろ。」
「……あ…嫌…」
「顔上げろって。」
「嫌だってば……」
「上げろ。」
「…………」
流石に3度目は顔を上げた…絶対瞳がウルウルしてるよ…
「…ん!…ンン……」
顔を上げた途端思いっきりディープなキスされた!!
湯気と汗とシャワーの滴と押し上げられる反動をいっぺんに受け止めて息が出来ない……
「……ぷはっ!!もう…息出来な……あっ!!!」
言い終わる前に押し上げるなっ!!
人の話は最後まで聞けっつーの!!!この……この……
「……もうちょっと……優しく…してよ……」
何言っちゃってんの???あたし!!!
「仕方ねーな……」
確かに…多少優しくなった気はするけど……
そのお陰で攻められる時間が長くなった……失敗した……
「 はぁ…はぁ… 」
結局また掛け布団に包まれてベッドに戻された…
ちゃんとアイツはベッドまであたしをお姫様抱っこで運んでくれた…
悔しい事に…ちょっとドキドキした……
「何の用だよ?勝手に入ってくんなって言ってんだろう。」
「お前が金払えって言うから持って来てやったんだろうが。」
「朝一でくんじゃねーよ!バカ親父!!」
え?親父??
「息子がちゃんと生活してるかたまには観察に来ないとな。」
え?息子??
「今更父親面すんじゃねーよ!」
「25にもなって未だに反抗期か?餓鬼だな……」
25?反抗期???仲悪いの???
あたしはベッドの中であれこれ思案中……
あの2人は親子なのね…イマイチ仲の悪い……
アイツに…父親…ねぇ…
「それから…お前以前ヤクの売人捕まえただろ?その仲間が動いてるらしいぞ。」
「別にオレが捕まえたわけじゃねぇ…知り合いの刑事に話しただけだ。」
「同じ事だろうが。まあ大丈夫だとは思うが気をつけろよ。」
「そんな事ワザワザ言いに来たのかよ?こんな朝早く?」
「ふふ…嫌がらせに決まってんだろ?しっかり朝からいいモン見せてもらったよ ♪
左胸のホクロがなかなかセクシーだった。じゃあね ♪ 彼女 ♪ 」
そう言ってサッサと帰って行った。
「 !!!! 」
なぁにぃ〜〜〜〜〜!!!あのエロ親父っ!!!!いつの間に…
「え?なに?」
アイツがやって来ていきなり布団をめくった。
「チッ…見られてんじゃんかよ……」
「え?」
自分でも知らなかったけど左胸のちょうどあたしからは死角の所に
確かにホクロがある!らしい…
「あのエロ親父……」
アイツがタバコを咥えながらボソリと呟いた………
ってお前が言うなっっ!!!!