naisyonohanasi





これは慶彦には絶対内緒。
僕だけの心の中に大事にしまっておくんだ…

今日は慶彦を呼び出した。
何度か転勤をして今まで全然会えなかったけど…やっと 今までで一番僕の近くに配属になった…
嬉しくて僕の命令で会いに来させた。
まったく…今までだって会いに来てくれてもいいだろうに…本当に手がかかる。

「おめでとう。慶彦!やっと僕の傍に帰って来たね。」
「帰って来てないよ。結構時間かかるんだからさ。ここまで来んのに…」
ブツブツと文句を言い続けてる… でもそんな事気にしない。
「いいから。今日はお祝いなんだから飲んで飲んで。」
「いいって…オレあんま酒飲めないから…」
そんな事知ってるよ…でも今日は もっと飲んでもらうんだから…ふふ…
「慶彦の為にこの店選んだんだよ。どう?料理の腕上がった?」
「ご心配なく。着実に上がってるから。最近特に腕上げな きゃって思ってるんで。」
そう何だか最近もっと料理の腕上げなきゃなんて脅迫観念にも似た感情がある…
自分でも不思議なんだけど…
「ここのお店の料理 評判なんだって。参考になるかと思ってさ。」
「素朴な味だけど美味しいな…今度作ってみる…」
「だろ?慶彦に気に入ってもらえると思ってたんだ。」
なんてそんなのはお酒を飲ませる口実。
慶彦はお酒が弱いから…飲ませて酔い潰せば記憶が残らないんだよね。ふふ…
「この料理…お酒に合うよ。飲んでみなよ。」
「…コク。ホントだ…うまっ!」

そうやって…この料理にはこのお酒が合う…この料理には…なんて慶彦にお酒を勧めた…作戦通り…

ガチャッ
「ほら…しっかりしなよ。慶彦。」
「……う…ん…はふ…」
予想通り酔い潰れた慶彦を寝室のベッドに運んだ。
慶彦はずっと目を閉じたまま眠ってる…
本当甘いよね…慶彦は…でも慶彦が悪いんだよ…僕の事放っておくから…
時々でも僕に会いに来てくれればこんな事しなかったのに…9年ぶりだ…
僕はそっと慶彦のシャツのボタンを外した。
こんな無防備な慶彦を襲うなんて簡単な事だ…
自分のシャツを脱ぎながら酔って仄かに赤い顔をした慶彦を見下ろして いた…
相変わらず…可愛い…そっとキスをする…キスなんて久しぶりだ…身体が…ゾクゾク反応する…
「好きだよ…慶彦……ちゅ…」
舌を絡めると…久しぶりの この感触…慶彦…
「…ん…」
慶彦がトロンとした目で僕を見てる…目が覚めたのか?
「…亨…何してんの?…」
「気持ち良い事してあげるよ…慶彦…」
「んー…気持ち…いい…事?本当…?」
言いながらもう目を瞑って寝る体勢だ。
「ああ…ちゅっ…」
酔ってる慶彦…ホント可愛い…
僕は舌を使って慶彦の 成長した身体を確かめた…
あの時はあんなにキャシャだった慶彦が…今日は余裕で僕の相手…出来るよね…
「…んっ…」
慶彦の身体がピクンと動く… 感じやすい所は変わらないらしい…
「う…んっ…」
慶彦の伸ばした手をギュッと握って押さえつけた…
「ん…あ…」

一体何人の女を相手にしてきたん だろうね…慶彦は…
まったく…そんなに人肌恋しいなら…僕が相手してあげるのにさ…

「うっ…」
ちょっとムッとして…強引に慶彦を攻めた…
慶彦は目を閉じたまま…でもあの時と同じ様に敏感に僕を感じてくれる…
「慶…好きだよ…愛してる…ずっと昔から…変わらずに…」
慶彦を攻めつつキスをしながら囁いた…
慶彦には聞えるはず無い事わかってて…

「あっ…あっ…」
ベッドの軋む音が激しくなる度に慶彦の声が心地良く僕の耳に届く…
攻めれば攻めるだけ慶彦は僕に聞かせてくれるんだ…最高に…いい声を…


「…ん?…」
ムクっとベッドの上で起き上がった…ここ…何処?ああ…亨の部屋…ん?
「なぁ亨?何でオレ裸なんだ?」
コーヒーを運ぶ亨に声を掛けた。
オレは何も 着ていなかったから…
「自分で脱いだんだよ。覚えてないの?」
「全然…まぁオレ普段裸で寝てっからかな?」
「そーかもね。」
何だか…素っ気ないな… 亨の奴…
「お酒弱いんだから気をつけないとダメだよ。」
「うーん…頭痛て…」
「薬飲む?」
「いや…いい…」
「そう…おはよう。慶彦。ちゅっ」
「おはよう…亨。」
いつもの朝のキス…オレは起き上がってコーヒーを飲んだ…
「はー…」
ダイニングテーブルの椅子に腰掛けて溜息をつく。
「二日酔いのせいか身体が…重い…」
「そうかもね。」
「亨…オレに何かしたろ?」
「何で?」
「お前が無防備なオレ放っとく筈が無い!」
「え?そーなの?なんだ手出して良かったんだ。失敗した。良い人なんてならなきゃ良かった。」
「……本当かよ…?」

慶彦が疑いの眼差しを向けたけど そんな事気にしない。

    君は知らなくていい事…僕だけの…秘め事…だから大切に…僕の中にしまっておくんだ…