yoshihiko&tooru&you01

 * 少しBL要素入ってます。 亨は椎凪LOVEなので2人のお話にはつきもの…
   苦手な方&椎凪のそんなの見たく無いと言う方…ご遠慮下さい。 
   でも椎凪が詰め寄られてるのが見れます。 
   『慶彦と僕。03』を読むとこの2人の関係が分かる…かも。(思わず誘導…)*




「ねぇ。ちょっと話し聞いてよ。」
「本当…いい加減にして下さい…」
「君なら絶対稼げるって。ね!」

困った…さっきからいくら断ってもしつこく話し かけてくる…
だんだん詰め寄られて…オレ…このままじゃ動けなくなる…
うー…椎凪…
…家までの帰り道しつこい勧誘に捕まっちゃた…

「ね!話だけでも いいだろ?店すぐそこだからさ。」
肩を抱え込まれた…
「やっ…」
身体が固まる…怖い…

「僕の連れにいい加減やめてくれないかな。」

「は?」
え…誰…この声って…
「あんまりしつこいと警察呼ぶよ。」
「! 真鍋さん!?」


やっと男の人が諦めて離れて行った。
「ありがとうございます。よかった…オレあのままだったらどうなってたか…」
「気にしないでいいよ。
見過ごしたら慶彦に怒られそうだから声かけただけだから。」
「はあ…」
「でも家の近くまで送るよ。関わりついでに。」
「は…い…ありがとうございます…」

初めて真鍋さんと二人っきりになった…
椎凪の親がわりで…椎凪を…愛してる人…

『僕が欲しかった。慶彦が欲しかった。でも手に入らなかった。
なのに手に入る君が何で慶彦を拒むの?』

椎凪と付き合う前に真鍋さんから言われた言葉…
確か椎凪が中学生の時からの付き合いなんだよな…
「何?」
チラチラと真鍋さんを見上げてるのに気がついた みたいだ…
「え…あ…椎凪の中学の頃って…どんなだったのかなぁって…」
「可愛かったよ。」
「は?可愛い?」
「そう。チビでキャシャで…なのに一人で 全部抱え込んで…一人で頑張ってて…
それが馬鹿みたいで…可愛かった。」
真鍋さんがその頃を思い出しながら優しく笑った…
「そう…なんですか…」
「すぐ僕の事避けだしたけど結局こうやってずっと付き合ってる…
本当素直じゃあ無いんだから。」
「………」
オレは黙ってしまった…これ以上は聞いちゃ いけない気がしたから…
きっと真鍋さんと椎凪だけの思い出なんだ…


「もうここまで来れば大丈夫だろ。」
マンションは目の前だった。
「じゃあ慶彦によろしく。」
「あっ…あのっ!」
「ん?」
「寄って行って下さい。椎凪ももうすぐ帰って来るし…たまには良いですよね?」
勇気を出して 帰ろうとする真鍋さんに声を掛けた。


「ただいま耀くん」
「お帰り。椎凪。」
ちゅっ。ただいまとお帰りのキスをした。

「お帰り。慶彦。」
亨が耀くんの後ろからワザと時間差で現れた。

「でっ!!とっ…亨?」

うわっ!!ビックリっ!!白昼夢かっ!!??生霊かっ!!!???

「しつこい勧誘に捕まってたのを真鍋さんが助けてくれたんだ。
それに家まで送ってくれたからたまにはどうぞって上がってもらったの。」
耀くんがニッコリ笑って 説明する。
なんだ…本物?ホッとしたけど本当にホッとしていいのか?オレ…??
「そ…そうなんだ…初めてで…びっくりしたよ…ありがと。亨…」
思いっきり顔が引き攣る…亨にバレバレ。
「どう致しまして。慶!僕にただいまのキスは?」

ニッコリと微笑んで当然とでも言うように亨が言った。
「え?」
耀くんが反応して振り返る。

ギ ク ッ !

阿保かっ!!オレは慌てて亨を耀くんから離した。
「なっ…何でも無い…よ…はは…」
「そ?」

耀くんが先にリビングに戻る。

「バカっ!耀くんの前で変な事言うなよっ!」
「変な事?帰って来たらただいまのキスって教えたの僕だろ?
何? あの子には出来て僕には出来ないの?
感謝の気持ちも無いのか…まったく…僕はそんなふうに躾た覚えは無いのに…」
わざとらしく肩をつぼめる。
躾けられた 憶えも無いが…仕方ない…
「あーわかった…わかったよ…ただいま亨。」
とにかくサッサと終わらせちまえ!オレは目を瞑って亨に近付いた。
「お帰り慶彦。 チュッ」
こっそり亨とただいまとお帰りのキスをした…
はー疲れる…ん?なっ…
亨がいきなりオレの両腕をがっちりと掴んで壁に押さえ付けた。

「…んーーっっ!!」

この馬鹿っ!!…何考えて…思いっきり舌絡ませやがって…

「…ちょっ…亨…んっ……」
しまった…油断した…コイツ久しぶりだった… ってか…嫌がらせか?
耀くん来たら…どうすんだっつーの…でも…相変わらずキスが上手い…
頭の片隅に耀くんが引っ込んじゃったぞ…頑張れオレっ!!

「はぁ 久しぶりだった…気分いいな。」
大分経ってやっと満足気にオレから離れた。
「ゼェ…ゼェ…亨…お前…」
オレは散々貪られて息も絶え絶えで亨を 睨んだ。
当の亨は何か文句でも?と言う顔をした。

クソっ…やっぱ勝てねぇ…この変態野郎っ!!


「夕飯食べてくだろ?亨。たまにはオレの料理食べて けよ。」
心の広いオレはさっきの横暴な行為を棚に上げてやって亨に食事を勧めた。
「そうだね…久しぶりに慶の手料理ご馳走になろうかな…」
「亨麺類好きだろ?パスタでいいか?」
「任せるよ。」
「オレ手伝う!」
耀くんがイスから立ち上がりながら言う。
「うん。じゃあ一緒に作ろう。」
「うん!」

二人がキッチンに仲良く入って 行く。
なんだか…やっぱり余り気分のいいもんじゃ無い…
ガタリとイスから立つと僕も2人に続いてキッチンに向かった。
「僕が作るよ。」
「うわっ!! 何だよっ!!いきなり後ろから声掛けんなよ…ビックリするじゃんか…」
イチャイチャと絡んでる2人の間に割って入った。
「…お…おい…」
メチャクチャ ワザとじゃねーかっ…!!
「………」
耀くんがビックリして引いてんぞ…分かってやってやがんな…亨……
「君は料理が出来るまで休んでいたまえ。僕と慶彦で 作るから。」
「あ…はい…」
耀くんがビビリながらキッチンを後にした。
「お前…いい加減にしろよなぁ!!何でそんな態度するんだよっ!!」

「はぁ?何で?」

「…うっ…!!」
もの凄い目付きで睨まれた。

「理由なんて決まってるだろ?あの子は僕から慶彦を奪った子なんだよ。
この位で済んで良かったと思いなよ。」

「何言って…」
「はあぁ??何?僕に文句でも言うつもり?あの子の事イジメたっていいんだよ?慶…」
「………うっ……」

強制的に黙らされた…
クソぉ…ゴメンネ…耀くん…不甲斐ないオレで…
チクショウ…なんでオレまで落ち込ませられなきゃなんないんだ…

ホント…このサドの変態野郎が…

気を取り直して2人で料理に取り掛かる。
亨もなかなかの料理の腕だ。
2人で掛かればオカズの3・4品なんてあっと いう間だ。
「こんなもんか?」
味噌汁の味見を小皿でして目線で亨を見た。
「どれ?」
そう言うから持ってた小皿を亨に…って
「…うぐっ!!」
また油断した!小皿なんか目もくれずついさっき味見したオレに
キスしたかと思うとアッサリと舌を絡ませられた…
「ぶ…ブッワカッッ!!何すんだ!!」
「バカは慶だよ。そんな大きな声出すとあの子に気付かれるよ。」
「だったら舌絡ませんなっ!!」
「ちょっと濃くないか?」
人の話を聞けっ!!亨がペロリと 唇を舐めた…ワザとか?
「いつもこんなもんだよ…」
いい加減オレもイジケるぞ…
チクリチクリといたぶりやがって…そんなに愉しいか??ああ??
「フン…あの子の好みか。」

亨がオレをワザと見もせずに吐き捨てる様に呟いた。

この針のむしろはいつまで続くんだ…頑張れ…オレ…