yuusuketokeitai





朝目が覚めてコーヒーを淹れた…オレは朝が苦手だ…なかなか目が覚めねー…
しばらくボーっと過ごす…シャワーでも浴びて目を覚ます事にした。
出る頃には コーヒーも出来上がってるだろう…

シャワーを浴びてタオルで髪を拭きながらリビングに戻ると…携帯が鳴ってる…
と言ってもバイブになってるからソファの上で ブルブルと震えてるんだが…
なんだ…何故か嫌な予感がする…不吉に思いながらも携帯を手に取った…
メールだった…あけて見る…
「げっ!!やっぱクソジジィ!!」
毎朝…不規則な時間に送られてくる…オレにとっては不幸の手紙並みの不快さだ…
いつも同じ様な内容…どんだけ今自分が居る場所がいい所か絶賛しまくって
挙句の果てにはオレにこっちに来いで締めくくられる…
毎回毎回…懲りないジジィだ…

「無視!無視!!」

携帯を放り投げていつもの如く無視をした。
返事なんか送った事ねー…そのせいかいつもしつこく…返事を送るまで迷惑メールは送られ続ける…
だったら電源切りゃあいいんだが…そうすると今度は慎二の奴が連絡 取れねーってブツブツ煩い…
まったく…

「…………」

散々無視しても永遠に携帯は振るえ続ける…
流石にイライラの絶頂で折角のコーヒーも味なんか分った もんじゃない。
「だーっっ!!うるせぇっ!!何回送ってくれば気が済むんだっ!!電源切ってやるっ!!」
そう怒鳴って携帯を持った途端今度は電話が掛かって来た!
「なっ…!!今度は掛けて来やがった…」
…… プ チ ッ !!
オレの頭の中の何かが切れた。

「やかましいぞっ!!クソジジィッ!!朝から変なメール 送ってくんじゃねーーーっっ!!……ん?」
携帯の向こうでジジィとは違う女の声がした。

「ビックリしましたわ。いきなり怒鳴られるんですもの。何か気に障る 事でもしたのかと思いましたわ。」
『TAKERU』の店の中…朝オレに電話をくれた『TAKERU』の社員…『 桐嶋冴子 』
確か慎二と仲が良くて…ジジィにも 気に入られてて…オレは少し苦手な女…
今慎二が海外に行ってるから代わりにここに居るんだよな…
「ジジィが朝っぱらから変なメール送って来てたからてっきり ジジィかと思って…悪かったな…」
「社長は祐輔さんとコミニュケーション取りたいんですわ。いつも祐輔さんの事ばかり話すんですよ。
ふふ。」
ニッコリ爽やかな 笑顔で怖い事を言った。
「二度とすんなって言っといてくれ!!」
本気でそう思って言った。
「まぁ…またそんな事を。照れなくても宜しいのに…くすっ」
「あんた絶対何か勘違いしてんだろ?」
「 ? 」
初めっからそうだった…この女…絶対オレとジジィの仲を間違った認識してるに決まってる!!
「あ!… わざわざ来て頂いたのは次のポスター撮影と雑誌の撮影の打ち合わせの件ですわ。」
「なにっ!?」
オレは勢い良くソファから立ち上がった。
「そんな約束して ねーぞっ!!この前ちゃんとやっただろ?」
「あら?変ですね?社長仰ってたんですけど…2回ほど投げ飛ばしておいたから言う事きくだろうって。」
「……ぐっ…」
た…確かにこの前ジジィがこっちに来た時に…そんな事があったが…
「確かそう言う約束でしたわよね?負けた分言う事を聞くって…違ってましたかしら?」

これだからこの女は嫌いなんだ…
仕事の事となるとオレの事なんか顎で使いやがる…ホント気分悪りぃ…

「ジジィも嫌だけどあんたもだ !!」
オレは思いっきりイヤミったらしく吐き捨ててまたソファに座った。
「あら…またご冗談を。うふふ。」
全く気にしない様子でニッコリ笑顔をオレに送ってくる… いい性格してやがる…

大体事の始まりは携帯なんだよ…携帯に出るとろくな事がねー…


                 だからオレは携帯なんて大っ嫌いだっ!!!