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「あっ…椎凪…やん…それ…ダメ…」

オレの裸の鳩尾に僅か20pの高さから湯煎で溶かしたチョコレートがかけられる…
身体に触れて溜まったチョコが耐え 切れずに肋骨に沿って流れ落ちていく…
それが何とも言えない水とは違うトロリとした感触でオレの肌を撫でながら落ちる…
もう枕もシーツもチョコまみれだ… 身体も至る所にチョコが付いて甘い匂いが寝室中に漂ってる。
…何でこんな事になっちゃったんだ?真っ白な頭で記憶を辿る…
椎凪がオレの身体にチョコを塗り付ける から…感じすぎちゃって上手く思い出せない…
だって舌で伸ばして両手でこすりつけて…今日は念入りに胸の先まで塗り付けられた…
そんなチョコを椎凪が丁寧に 舐め取っていくから…
あっという間に意識は何処かに飛んでっちゃった…椎凪ってばヒドイ…
オレの身体のありとあらゆる所に椎凪が愉しそうにチョコを 塗り付けていく…

今日はバレンタインだからチョコをあげようとしただけなのに…
何でこんな事になったんだろう…
また記憶巡りの繰り返しだ…何度思い出 そうとしてももう少しと言う所で
椎凪がオレの頭の中を真っ白にしていく…
流石に『やめて』ってお願いした…
でも椎凪が聞いてくれるハズないんだ…
だってオレが乱れて感じてるのを見るのが大好きなんだもん…椎凪って…

「チュパ…」

いつもと違う舐め方だ…
「ん…椎凪…その舐め方なんか イヤらしい…あ…」
首筋を下から耳たぶまで舐め上げられた…
あ…もう身体中が総毛立って堪んない…
今はオレの耳たぶを優しく舐めて噛んでる…
そのまま背中を舐められた…身体が痺れる…
「アッ…あっ…やだ…はっ…あ…」
舐め上げながら椎凪が静かにオレに入ってきた…
椎凪が珍しくゆっくりと動く…
今のオレには激しく動かれるよりも効いちゃう…ギュツと椎凪に抱き着いた。
椎凪もオレをキュッと優しく抱きしめてゆっくりと押し上げる…
「耀くん甘い…」
「椎…凪…そんなに舐めて…大丈夫なの…胸やけするよ…」
椎凪はあんなに料理が上手なのに食べる事には積極的じゃない。
量もそんなに食べないしデザートも そんなに口にしない。
まぁ祐輔ほどじゃないけど…

「せっかく…椎凪の為にチョコ…買ってきたのに…
…手作りじゃないから…イヤ?…あっ…ンッ…」
時間をかけて椎凪の為に選んだチョコは
キッチンのテーブルの上に置かれたままだ…
手作りを要望されたら…何とか頑張って作るけど…
食べた途端即病院行きに なりそうで作る勇気は無かった…
椎凪もそんなオレの料理オンチを知ってるから
手作りは期待して無いと思うんだけどな…
「そんなこと無いけど…こっちの方が 生ものだし…何倍も甘くて美味しいから。」
「……こんな事…今まで…した事あるの?」
帰って来た椎凪は大量の板チョコを買って帰って来た。
『バレンタイン だから!』
って訳のわかんないこと言って何の事?
なんて湯銭で溶かし始めたチョコをジッと眺めてた。
2人共シャワーを浴びていつもの様に寝室に行くと
椎凪が裸のままニッコリと溶かしたチョコを持って来た…??
理解しかねてるとアッサリとパジャマを脱がされて
身体にチョコを掛けられて今に至ってると言う訳で…

「こんな愉しい事耀くんが初めてだよ。バレンタイン万歳だ。」
「…シーツ…台無しだよ…」
もうベタベタの甘々だらけのシーツを掴みながら
真っ白な頭で呟いた… ダメだ…どうにかなちゃいそう…
乾いていないチョコがオレと椎凪の間で絶妙なヌメリ具合なんだよな…
初めて感じるいつもと違う感触が余計オレを感じさせてる…
椎凪も…同じに感じてるのかな…トロンとした眼差しで椎凪を見てた…
「気持ちいいの?耀くん?」
「…………」
無言…当然の事を椎凪がワザと聞いてくる…
分かってるくせに意地悪だ…だからオレもワザと答えてあげない…

恋人同士のバレンタインってみんなこんななのかな?
オレは初めてのバレンタインで良く分からない…
プレゼントと一緒に…なんて聞いたことはあるけど…
だとしたらみんな大変だな…って思った。

次の日オレは祐輔に…椎凪は職場の人達に
『身体から甘ったるい… チョコの匂いがする!』って開口一番に言われた。
ちゃんとシャワーで流したのに…そんなに沁み込んじゃったのかな?
そう言えばチョコまみれで何時間いたかな?
なんて思いつつ…残って勿体無いって椎凪が浴室でもオレにチョコを塗りたくってたから…
寝室以上に盛り上がって人には言えない様な事までしてた気がするのは
記憶が飛んだオレには良く分からない…

気が付いたら…
甘いチョコの匂いが漂う寝室の綺麗なシーツに取り替えられたベッドの中で…
椎凪の腕枕で眠って たから…



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