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「あ…あの…ちょっ…ん…」

ホテルの部屋に入ってドアを閉めた途端抱きしめられてキス攻めされた。

「しっ…」

そんな事言われたの初めてだし…立ったまま服を乱暴に脱がされるのも初めて…
その間もずっとキスされ続けてる…

「深雪さん…」

「洸クン……」

ダメだ…もう会わないなんて思ってたのに…身体は勝手に洸クンを引き寄せる…

「オレの事…もう忘れちゃった?」
「…ううん…毎日…想い出してたよ…」
「オレを?」
「うん…洸クンを……」

「ホント素直じゃない…深雪さんは…オレがどんなに会いたかったか…話たかったか…」

そんな話をしながら2人でお互いの服を脱がせあってた。

「あ…」

飛び込む様にベッドに2人で倒れ込んだ。


「アンッ!!」

なんの前触れも無く洸クンがいきなりあたしに入ってくるから…身体が大きくのけ反った。

「あ…ダメ…赤ちゃん…出来ちゃう…」

今日は本当に危ないんだけど…
思わず覆い被さって来る洸クンの身体を押し戻した。

「……それでも…構わない…」
あたしをギュッと抱きしめながら洸クンが首筋に顔をうずめたまま呟く…
「ちょっ…何言って…」
「いや?オレの子供産むの………」
言いながら洸クンが最初から激しく動き出した…
急に押し上げられて…あたしの奥の奥の方まで洸クンが入ってくる……

「あ…!!そ…そう言うわけじゃないけど……でも心の準備が…アン!!」

そうよ…別れるって思ってた洸クンにそんな事言われるなんて…

「オレと……結婚してっっ!!深雪さん…!!」

洸クンの身体が大きく上下に動きながらそんな事言う……
目はギュッと瞑ってて…こんな状況でプロポーズ??

「も…バカ…こんな時に…あっあっあっ!!」

当然の如く洸クンが動くのと同じ速さとリズムであたしの身体も大きく上下に揺れてる……

久しぶりのせいか洸クンのテンションが激しいせいか…
2人のテンションが最初から高ぶってたせいか…あっという間に燃え上がった。

「み……深雪さん…返事………」

「…う…あっ!!あっ!あっあっ!やあああっっ!!!」


洸クンにしがみ付いてたあたしの身体が……ビクンと大きく跳ねた………



「…はぁ…はぁ…ン…」
「…ハア…ハア…深雪…さん…今の『いや』は……その……」
「……バカ……洸クンのスピードに身体がついて行けなかったの……いきなり…激しすぎ……」
「じゃあ…」
「OKじゃなきゃ…どんな事してでも洸クンの事蹴り飛ばして……はぁ…どかしたわよ…」
「……深雪さん……」
「今度こそ…はぁ…はぁ…本当に責任とってよね!」
「もちろん!!喜んで!!」
「まったく…今度は本当に危ないんだから……」
「オレは男の子でも女の子でもいいから!!」
「気が早いっ!!!もう……強引なんだから…
今更後悔しないでよ…今度は何があっても逃がさないんだからね!!」
もう遠慮も何も無いままそんな事を照れながら言った。
「うん ♪ ♪」
洸クンはもうニコニコ顔!!可愛い顔しちゃって…そんなに嬉しいか?
って嬉しいんだろうな…ふふ…だってあたしも嬉しいもん!!
「じゃあ…今度は…」
「今度は?」
「もっと優しく…時間をタップリ掛けて…抱いて…」
言いながら洸クンの首に両手を伸ばして引き寄せた。
「いいよ…朝まででも…」
「今のセリフ忘れないでよ。」
「うん…」

本当に…洸クンはその言葉を実行した…
忘れないでよ…なんて言ったあたしの方がギブアップで…

流石に疲れて眠くなって…許してもらった……




「………何でなんだ…」

洸クンがさっきから同じ言葉を繰り返す。

「もう諦め悪いわよ!」
「…何で……」
「そう言う時もあるわよ。」

あの別れるかも騒動から半月…
妊娠してなかったって洸クンに教えたら物凄い落ち込み様で同じ言葉を繰り返してる…

「良かったじゃない。これでしばらくは落ち着けるもの。」
あたしは何気に軽めな言い方…
「深雪さんは残念じゃないの!?」
逆に洸クンは真剣そのもの…
「…そ…そりゃ多少残念だけど…」
「た…多少なの?」
そんなにビックリしないでよ…何だか罪悪感の様なモノが芽生えるじゃない…
「別に結婚してからでいいでしょ?順番的にはそれが当たり前なんだから…
考えてみたら洸クンだって就職決まったばっかりだし…」
「そうだけど…」
ガッカリしてるそんな顔はまだまだ幼く見える。

「そんなに…欲しかったの?」

「…うん…オレと深雪さんの子供だもん…」

「そっか…ありがとう。」
あたしは本当に嬉しくてにっこりと笑って洸クンにそう言った。
「深雪さん…」
途端に洸クンが嬉しそうな顔をする……

和裕の事はお互いが過去の事と胸の中にしまい込んだ…
きっと会えば複雑な気持ちになるかもしれないけど必要以上に会うつもりもないし
もっともっと月日が経てば時間が解決してくれるんじゃないかと思う…

それに……何より…


「深雪さん。今度2人で婚前旅行しようよ。」
「何でなんでもかんでも結婚に結び付けるのよ…」
「だってそうやって意識してもらわないといつ深雪さんの気が変わって
結婚しないなんて言われるかもしれないから!予防線!!」
「…信用されてないわね…」
「そう言うわけじゃないけど…」
「大丈夫よ…」
「本当?」
「本当よ…だって……」
あたしはちょっと考え込む様に黙る…
「深雪さん?」
「ふふ…洸クン ♪ 」
「はい?」
「あ・き・らクン!」
「……は…い?」


何度もあたしが洸クンの名前を呼ぶと洸クンが不思議そうな顔で返事をする…

あたしはこの頃とっても幸せな気分…だって…

いつも…いつでも…想い出すのは君のことなんだもの…


素朴で…真面目で…年下で…なのにしっかりとあたしをつかまえててくれる…

そんな洸クンが……大好きだから!

「 ちゅっ ♪ 」

いきなり洸クンの頬にキスしたら……

「深雪さん…」

お返しに洸クンが優しいキスをたくさんしてくれた……