cat food Sweet whiteday 〜一緒に桜を愛でようか♪〜 04
Sweet whiteday 〜一緒に桜を愛でようか♪〜 〜 04





「あら真白ちゃんそのネックレス…」

ダイニングルームに入ってすぐに歩さんが真白首のネックレスに気付く。
流石女性か?

「ハルキがくれたの〜 ♪ 首輪のかわ…ふぐっ!!」

ってまた何言い出すんだかな!真白はっ!!
慌てて真白の口を塞ぐ。

「バ…バレンタインのお返しです…」
「はぁ……?」

首輪なんて言ったらどんな誤解されるかわかんないだろう!まったく!
歩さんがとんでもなく不思議な顔で見てる…オレは引き攣り笑いだ。

4人でひとつのテーブルに腰をかけると、それを待っていたかのように、
次から次に孝輔さん(そう呼ばせてもらう事にした)手製のフレンチが
絶妙なタイミングでテーブルを彩っていく。
どれも素敵で、おいしそうだ。

真白はジュースオレ達はワインを飲みながら、お互いの事や仕事の事や…
どうやって彼女と真白が知り合ったとか…
そんな他愛もない話をした。

そんな食事の時間もあっという間に終りが近付く。


「久しぶりだな、怜。歩」
「ああ」「孝ちゃん久しぶり」

デザートまで出てきた後、このペンションのオーナーでシェフである孝輔さんが
各テーブルに行って挨拶をした後最後にオレ達のテーブルにやってきた。

怜さんと歩さんに軽く挨拶をした後、オレと真白には笑みを浮かべて頭を下げた。

「今日は当ペンションへお越しいただきありがとうございます」
「いえ。突然押しかけてすいません。でも、助かりました」
「運よくお部屋が空いてて良かったです。料理はお口に合いましたか?」

そんなオレと孝輔さんのやり取りを見て歩さんが笑ってる。
なんでだ?

「とってもおいしかったです♪」

真白が元気に返事をすると孝輔さんは優しく微笑んで嬉しそうに言った。

「それはよかった…楽しんでいただけたようで私も嬉しいです」

そんな嬉しそうな孝輔さんを見て今度はウンウンと大きく頷く歩さん。

「すっごくおいしかったよ、孝ちゃん!」
「サンキュ、歩。この前は俺様のフレンチ食い損ねたからな、お前ら」
「!!!」

ニヤニヤと笑う孝輔さんを睨みつけて、今度はそっぽを向く歩さん。
楽しい人だな…なんて思う。

怜さんはそんな2人のやり取りをまったく気にしてる様子も無くそ知らぬふりでコーヒーを飲んでる。

そんな歩さんがふくれっ面でシャーベットを口に運びながら外を眺めた。
オレもつられて外を見るとさっきまで降ってた雨はもう止んでて
月まで出ているらしく外はぼんやりと明るかった。

外を見ていた歩さんに、孝輔さんが外を指差して言った。

「ここは星も綺麗に見えるんだぞ?ちょうど雲もなくて見やすいから、後で見たらどうだ?」
「本当、すごく綺麗に見えるよね」

歩さんがその言葉に大きく頷くと、続けて今度は耳寄りな情報も教えてくれた。

「ああ、流れ星も半端なく見れるぜ?都会の空じゃ無理だからな。
たまには星を眺めるっていうのもいいもんだぜ?」
「…孝ちゃん、なんだかロマンチストみたいなこと言ってる」

そんな歩さんの言葉に孝輔さんは心外だなと口を尖らせてた。

「俺様はロマンチストなの。そうじゃなければ、こんな料理作れるわけねぇだろ?」
「…孝ちゃんの性格とのギャップに驚いたよ、私は」

そんな事を言いながら…でも歩さんの顔はとても満足気で…嬉しそうだった。


食事を終えたオレ達はコテージに戻りながら星を眺めた。

孝輔さんの言った通り見上げた星空は雲一つ無くて無数の星が
まるで今にも落ちてきそうなほど綺麗に輝いてる。

怜さん達も立ち止まって同じ様に星空を見上げて2人で話してる。


「ハルキ星が一杯…」
「ああ…凄いな…」
「ましろがいた所も星きれいだったよ。時々星が流れたり…同じだねここも…」
「へえ…」

真白が向こうの話をするのは珍しい…
話したくないからなのか…それともただ単に思い出さないだけなのか…
真白の場合後者かな?なんて思う。

自惚れてるわけではないが真白はオレと一緒にいれるこっちの世界が良いはずだから…
もしかしてオレが居るのなら何処でも良いのかもしれないけど…

なんて流石にそれは自惚れすぎか?

「真白…星には色々な話があるんだぞ。」
「え?話?」
「そう「ギリシャ神話」って言ってちゃんと話があるんだ。」
「ふーん…」
「あの星の近くにある星は「ペルセウス」って言うんだけど…」

ハルキがそう言って星を指差すけどましろは良くわからない。

「こーゆー形の星の近く。」

そう言ってハルキの指は山を2つ作った。
その形を探したら本当に星の中にあった。

「あれ?」
「そう。あれはカシオペアって言うんだ。」
「カシオ…ペア?」
「ペルセウスは英雄でさ…」
「えいゆう?」
「強い男って事。皆に頼りにされてたって事かな?そんな男が怪獣に食べられそうになってた
アンドロメダって言う女の人を助けるんだ。」
「かいじゅう?」
「んーーー凄く大きな生き物で人を食べる。」
「え?そんなのいるの?」
「あーまあ…お話の中でな。」
「???」

相変わらず真白に初めての事を話すのは大変で…
もの凄く簡潔話さないと伝わらないのが大変なんだよな…

「で?その人食べられちゃったの?」
「いや…ペルセウスがちゃんと怪獣をやっつけて助けたよ。」
「良かった〜」
「その後ペルセウスは助けたアンドロメダと結婚して幸せに暮らしたんだって。」
「本当!」
「ああ…まあ神話…話の中ではだけどな。」
「ハルキはしましろがかいじゅうに食べられそうになったら助けてくれるの?」
「え?」
「ダメなの?負けちゃう?」
「まあ…そうだな…負けちゃうかもな…」
「えーーそんなのヤダ!そしたらましろがかいじゅうやっつける!」
「何だよ…自力で何とかなるのか?」
「だって…ハルキケガしたらやだもん。」
「頼りになるな真白は…でもどうにか頑張って真白だけは助けるから安心しろ。」
「え?」
「真白を怪獣になんて食べさせないから。」
「ハルキも一緒だよ。」
「ん?」
「ましろだけ助かるんじゃなくてハルキも一緒に助かるの。ね?ましろ1人なんてヤダもん!」
「真白…」

何だかオレの話をうのみにして真剣な顔でオレを見上げてそんな事を言う真白…

いつもいつも…真白はオレに正直に…真っ直ぐに向き合ってるんだよな…

真白には…オレだけなんだよな…

「そうだな。オレが弱気だった。じゃあオレと真白2人で怪獣倒すか?」
「うん!ましろ頑張る!あ!それとも2人で一緒に逃げちゃえばいいんだよハルキ!」
「あ…そうだな…何も無理して戦う事も無いか?じゃあサッサと真白を助け出して2人で逃げるか。」
「うん!逃げる〜 ♪ 」

まあその前に真白を助け出すのに戦わなきゃいけないんだが…
そこまで考える様な事でもないか…と思いとどまる。

何気に怜さん達を見るとこっちを仄々な眼差しで見てる…
オレはちょっと苦笑いで頭を軽く下げて笑い返した。

真白は未だに1人で盛り上がってるけど……

「ハルキ他の星の話は?」
「え?他の?オレもそんなに詳しくは無いからな…」
「えーましろもっと話聞きたいよー」


ホント真白はいつもオレを楽しませてくれる…

これからはもっと真白の世界も広がって…心配も増えて目も離せないけど…

それでもオレは真白が今オレの傍にいてくれる事を嬉しく思ってる…


「真白…」
「ん?」
「また…来ような。」
「うん ♪ 約束だよ!ハルキ ♪ 」
「約束。」


いつ果たされるかわからないけど…本当にまた此処には来ようと思う…

その時は2人なんだろうか…3人なんだろうか…

なんて思いながら星空を見上げてその星を1ずつ指さしてはしゃぐ真白を見て

まだまだ3人は先かな…なんてちょっと思った。