「真白とにかく先に風呂に入るぞ。」
コテージに入ると暖房がきいててほんのり部屋の中が暖かかった。
そんな部屋を横切って真っ直ぐ浴室に向かう。
チラリと見た室内は出来て間もないと言う事だけはあって綺麗だった。
「うん…冷たい…」
「風邪ひくぞ。」
用意してくれた着替えを持って2人で浴室に素早く飛び込んだ。
流石に3月の雨はまだ寒い…容赦無く体温を奪っていく。
「んにゃ…」
「大丈夫か?」
真白が濡れた服を脱ぐのに手間取ってる。
「何だか脱ぎにくいよ…ハルキ〜」
「ほら…」
そう言って真白にバンザイをさせて濡れた服を脱がせる。
いつもの事だが…何とも言えないんだよなぁ…
「髪も濡れたな…」
ヘルメットを被ってた部分から毛先は雨に濡れて
服を脱いだ真白の素肌に着く度に真白が悲鳴をあげる。
「や〜身体に当たると冷たいよ〜ハルキ…」
「わかったって。ほら入るぞ。」
はっきり言ってオレだって寒い。
だから中に入って直ぐにシャワーを出して2人一緒に浴びた。
お湯はすでに丁度いいお湯加減ではってあったから助かった。
きっと濡れてくるのを予想して入れておいてくれたんだろう…
「あったかいね ♪ ハルキ。」
「ああ…」
簡単に身体を流す…
「とりあえず1回あったまろう真白。来い。」
「は〜い ♪ 」
「なんでそんなに嬉しそうなんだよ。」
そんな事を言いながら真白を自分の足の間に背中を向けて座らせる。
オレはそんな真白を後から腰に腕を廻して一緒にしゃがんだ。
何だか最初からそんな風に真白とはお風呂に入ってたからそれが普通で…
「だってまさかハルキとお風呂に入れるなんて思わなかったんだもん。」
「オレだってまさか真白と入るとは思わなかったよ。まあこれもサプライズだな。」
「そうなの?」
「ああ…オレも意外な展開でビックリしてる。」
怜さんが念の為に明日の休みを取ると言っていたからオレも休みを取っておいて良かった。
これで今日はゆっくり過ごせる…
「ハルキ…」
「ん?」
「あったかいね。」
「そうだな…」
真白がオレに背中を預けてくる…
背中越しから見えた真白の身体に思わず視線が行くけど…
ダメだ…今どんな状況だと思ってる…
どうも最近…と言うか真白と一線を越えてから抑えが
利かなくなってる気がするのは気のせいか…
そんな事を思いながら何とかその場は理性が勝ったらしい。
「真白。」
「ん?」
「疲れたか?」
「ううん。楽しいから全然疲れないよ ♪ 」
「そうか…」
確かに真白はいつも元気だもんな…
風呂もあがりお互いの髪の毛も乾かして…ってオレが自分と真白の髪の毛も乾かすんだが…
身体もあったまって真白は相変わらず落ち着き無く部屋の中を楽しそうに動き回ってる。
オレは冷蔵庫に入ってたペットボトルの烏龍茶をソファに座って飲んでた。
「真白。」
「ん?」
「おいで…」
「うん ♪ 」
真白はオレが呼ぶといつも嬉しそうにオレに抱き着いてくる。
飲んでたペットボトルを目の前のテーブルに置くと真白はいつもの様に
オレの膝の上に身体を横にして座る。
いつもの真白の座り方だ。
「今日が何の日かわかったか?」
「うん。『ホワイトデー』だよね。」
「ああ…オレからチョコをくれた真白にお返しする日。」
「お返し?」
「そう…ちゅっ ♪ 」
「ハルキ…」
触れるだけのキスを真白にすると真白は少し驚いた顔をした。
「これ…オレからのお返しのプレゼント。」
「?」
ずっと上着の胸ポケットに入れてた小さめな細長いリボンの付いた箱を
真白に差し出した。
「これ…」
「開けてみて。」
「開けていいの?」
「ああ…それは真白のものだから…」
そう言えば真白にプレゼントなんて初めてだったかもしれない…
「わあ……きれい…それに可愛いよ…」
小さな箱から真白が取り出したのは小さな花の飾りが付いたネックレス。
「あの猫だった時の首輪もオレは気に入ってたんだけどな…
まさかあれを真白につけるわけにはいかないから代わりってわけじゃなけど
同じ花の飾りが付いてるのにしたんだ。」
真白を飼うと決めた時に真白に買ってやったピンクのパステルカラーの花とリボンが付いた首輪。
お店で一目惚れして買った…でも1ヵ月後には真白の「人」の姿になったから
それは外してちゃんと部屋に飾って置いてある…
オレにとってあの首輪は結構思い入れもあって気に入ってたから…
「かしてみろ…つけてやるから。」
「うん。」
「後向いて。」
黙ってオレに背中を向ける真白の項にかかる髪をどかして
細いチェーンを真白の首に廻してつけてやった。
「ちゅっ ♪ 」
「にゃっ!」
そんな真白の項に触れるだけのキスをした。
どうもさっきお風呂で我慢したのが今頃になって疼き出したらしい。
「ハルキ…」
「こっち向いてオレに見せて。」
「うん…」
真白の白い肌に銀色の細いチェーンと小さな花が映える。
「ありがとうハルキ…ましろうれしい。大事にするね。」
「ああ…喜んでもらえてオレも嬉しいよ。真白…」
「ハルキ…」
「今度はオレを真白に食べてもらわないとな。」
「にゃ?」
「前はオレが真白を頂かせてもらったから今日は真白がオレを召し上がれ。」
「え?どうやって?」
「んーそうだな…じゃあオレがお手本を見せてやろうか?」
「お手本?」
「ああ…それを真似すればいい。」
「何だか良くわからないけど…うん…わかった。」
「じゃあオレの所に座って。」
「うん。」
「そうじゃなくてオレの方に向いて座るの。」
「こう?」
真白がオレの膝を跨いで座る。
「そう…真白…それ似合うよ。」
「ありがとうハルキ…んっ!」
言い終わらないうちに真白の口をオレの口で塞ぐ。
お互いの頭の中が真っ白になるキスを繰り返す…
「ハル…キ…ん…ちゅっ…」
「後で同じ事オレにするんだからな…真白…」
「え……ンッ……ふぁ…そんなの…出来ない……んっ…」
「じゃあまたオレに頂かれちゃうけどいいのか?」
「ハルキ…に?」
「ああ…」
「いい…よ……ハルキになら…」
そう言った真白の首筋にカプリと噛み付くようにキスをしたら…
真白の身体が大きくのけ反って…
オレがあげた小さな花のネックレスが真白の身体の上で揺れていた……