04



  順番が逆ですが 『 プロローグ 』 の前のお話です。(やっと2年生になりました。)
  椎凪 : 耀の高校の美術の教師兼美術部顧問。(耀の事は”ようくん”と呼ぶ)
   耀 : 元気×2な女の子。椎凪と同じ高校の今回は2年生。椎凪と交際中。(”オレ”と言う)





「え?同じ大学に通ってたの?」

「そう ♪ 椎凪の作る料理が美味しくってさぁ〜 ♪ 良く食べさせて貰ったよ!」
「食べさせてやった事なんて1度も無い!お前が勝手にオレの分を食べてたんだろうがっ!」
「そうとも言うな。でも一緒に食事してくれる相手がいて嬉しかっただろ?」
「全然!ウザくて仕方なかったよっ!だから今まで知らない振りして過ごしてたのに…
なんで同じ高校に赴任して来るかな…最悪!!」
「安心しろ!今学期だけの臨時だから。」
「ふーん…」
「だからさぁ〜時々ご飯食べさせてな!」
「ほざいてろ!帰れ!」
「椎凪〜〜〜」

何だか…大人の男同士の会話とは思えない……

「大体お前結婚したんだろ?新婚だろ?奥さんどうしたんだよ?」
「会社の研修で1ヶ月間支社の方に出向してんの。寮に入っててさ…
週末しか帰って来ないんだよ〜」

「ザマアミロ!」
「だからオレ寂しくてさぁ…」
「だからって耀くんに手ぇ出したら殺すぞっ!!」
「え?」

急にオレの名前が出てビックリ!
だって椎凪の友達なんて初めて見ちゃって…しかも同じ大学なんて…

「しかしお前がこんなお嬢ちゃんと付き合ってるなんてな ♪ 意外も意外!!」
「余計な事言うなよ…言ったらどうなるかわかってるよな?」
「ヘイヘイ…しかし…お前も教え子ととはねぇ…」
「お前も?」
オレは思わず?顔…
「そう…コイツの相手も元教え子。」
「え?!」
「そう ♪ 在学中に一目惚れで迫りに迫って付き合ってやっと去年プロポーズに
OKしてくれたんだよね ♪ 」

「え?」

「だから2人の事は黙っててやるよ ♪ 」

「え…でも…さっき…」
「ああ…ちょっとからかっただけだよ ♪ 何だか懐かしかったなぁ〜
困った顔の萌ちゃんを口説き落とすの……嫌よ嫌よも好きのうちってさぁ〜」

「それは本当にお前の事が嫌いだったんだよ!」

「そんな訳あるかよ。ちゃんと結婚してるだろ?」
「それは卒業してからの1年間の間にその気になったんだよ。
オレは卒業したらすぐ結婚するつもり。」
「は?何それ?オレ初耳なんだけど!!」
「当たり前だろ。今はじめて言ったんだから!」
「しないからっ!!」
「在学中にしてくれないんだからそれくらいは妥協してよ。耀くん!」
「嫌だよっ!」
「耀くんっ!!」

もうどさくさに紛れて何言ってるんだか……

「何だ何だ?まだ決定って訳じゃ無いんだ?付き合ってんだろ?」

「照れてるだけだよ。お前がいるから!後でじっくり言い聞かせる。」
「……ヤダよ!何か椎凪目が怪しい!!」

その身体に言い聞かせてやる!みたいな眼差しやめてよっ!

「気のせい!さて!耀くんに夕飯作るからお前帰れ!」
「は?オレの話し聞いてたか?オレの分も作れ!」
「お前に喰わす飯なんか無いっ!」

「じゃあ学校にバラずぞ?」

「……椎凪……」

「………どうぞ ♪ 」

「なっ!」
「ちょっと椎凪!!」

「オレはその方が良いかな…そうすれば耀くんは完璧にオレのモノだ。」
「オレはそんなのヤダっ!!ちゃんと学校卒業するんだから!」
「オレだってそうさせてあげたいけど……このセクハラ保健医がさせてくれないってさ。」
「なっ!ばっか…冗談に決まってんだろうが!ったく…相変わらず自己中だな…」
「フン!余計なお世話だよ。早く帰れ!」
「それは聞けない…椎凪ホントご飯食べさせて…手料理が恋しいんだよ〜〜〜」
「嫌だ!オレと耀くんの2人っきりの時間邪魔すんな!」
「食べさせてくれたらすぐ帰る!食べさせてくれないならいつまでも居座り続けてやる!」
「………食べたらすぐ帰れよ。」
「人の恋路は邪魔しないって ♪」
「既に邪魔してんだよ……はあ…」

椎凪が渋々とキッチンに歩いて行く…

結局その日はオレが帰る時まで先生はずっと椎凪の部屋にいた…
そしてオレを家まで送り届けてくれた…

「椎凪って…どんな感じだったんですか?」
「学生時代?」
「はい…」
「んー…教えてあげたいけど…余計な事言うと椎凪に怒られるからな…」
「そんなに人に言えない様な事してたんですが?」
「………誰かに何か言われた?」
「言われたって言うか…椎凪には気をつけなさいって…
でもオレそれでも椎凪と付き合っちゃったから…」

「……椎凪がそれを望んでるなら…とりあえずはそうしてやって欲しいな…」

「え?」

「あいつ…ホント捻くれ男だから…特定の相手なんて初めてなんじゃないかな?」
「え?本当に?」
「あいつあんなんだから誤解されるけど…結構一途…はは…ホント見えないけどさ…」
「……一途…」
「あの高校に通ってるうちはオレも色々協力するから ♪ これから宜しく!じゃおやすみ〜」
「おやすみなさい……」


何だかあれでも協力者って…思っても良いのかな?

オレと椎凪の想いとは裏腹にどんどん2人の関係が第三者にバレてる様な…

それでも今回はちょっと安心かな…
新垣先生の奥さんも元教え子かぁ……今度色々話聞かせてもらおうかな……

なんてそんな事を思いながら…


もう祐輔が帰って来てる電気の点いた玄関のドアノブに手を掛けてドアを開けた。