09

  椎凪 : とある資産家の御当主様。数ある会社を取りまとめてるグループの経営者の1人。右京の知り合い。
   耀 : 右京の腹違いの妹。草g家に狙われていてずっと逃げ回っている。
       椎凪に捕まって監禁!結婚して只今妊娠中…そして産まれそうです!






運び込まれた病院の病室でしばらく待機してから耀は分娩室に移動した。
オレは今までない以上に心臓がドキドキのバクバクで妙なテンションになってるのがわかる。

「……落ち着け…落ち着け…オレ…オレは誰だ?そうだ…落ち着け……ふう…」

何とか平静を取り戻した。

「初産ですから時間掛かると思って下さい。」

「!!!!」

………マジか??すぐ…産まれるんじゃないのか??
だって…こんなに耀が痛がってんじゃねーか…なんだ?
それなのに産ませないつもりか???

しばらくして呼ばれた分娩室ではお産じゃなければそこにいる全員を
殴り倒してやろうかと思う様な状態で耀が分娩台の上に寝てた。

特に主治医っっ!!テメェ…医者じゃなかったら殺してる所だっ!!!

「大丈夫か?」
「……うん…ハァ…ハァ…うぅっ…う〜〜〜っっ」
「………!!」
握り締めてくる耀の手の力の強さに驚いた…そなに痛いのか…
「……オレ…ちゃんと…産めるかな?」
「大丈夫だろ…心配すんな……」
「ハァ…ハァ…ンッ…イッ…つ……」
「…………」

こんな時に…痛みに苦しんでる耀を見て…初めてオレに抱かれた時の耀を思い出した…
あの時も…こんな風に痛みを堪えてたよな……

そんなに痛かったのか??でも……ヤベェ……そそられる……

次にオレとした時もこんな顔しないかな……なんて外道な事を考えてた。



それから…何時間経ったか…

元気な産声と共にオレと耀にとって初めての子供が誕生した。

「……椎…凪……はぁ…はぁ…」
「頑張ったな…大丈夫か?」
「うん…良かった…無事に…生まれたね…」
「ああ……そうなだ…」
「椎……ん…ちゅっ…くちゅ……ちょっ…」

周りの事を何も気にせず思いっきり耀にキスをした。
頑張ったご褒美と……それからオレからの感謝の気持ちだ。

「……んっ…ンン…んっっ!!」

オレから逃れ様と抵抗してたが逃がさない様にガッシリと顔を
両手で抑え込んでずっとキスを続けてた。

「あ…あの…お父さん…もうよろしいですか?赤ちゃん………」

「…ハッ!!!」
そんなオレを呼ぶ声でやっと振り向いた…『 お父さん 』だと??
そうか…そうだよな…オレが父親だった。


「はい。元気な男の子ですよ。」

「…………!!!」

そう言って渡された…真っ白な布に包まれた赤ん坊…ってなんじゃこりゃ??
しわくちゃの…顔真っ赤だぞ!!??大丈夫なのか??

「可愛いですねぇ。お父さん似かしら?」
看護師が赤ん坊を覗き込みながらそう言った。

…!!!なっ!?かっ…可愛い??こ…コレが!?か??
しかもオレに似てる??オレの子供だから確かに似てるだろうが…
一体この赤ん坊のどの辺でそう思うんだ??教えて欲しい……

しかし…
何も重さが無いくらいに軽くて…フニャフニャで……良く泣いて……

………オレの…子供……か……


「椎凪……」
「ん?」
「嬉しい?」
「!!…ああ…当たり前だろ…次は女だな。」
「え?……くすっ…やだな…椎凪ってば…気が早いよ…」
「そんな事ない……」

椎凪が…ぎこちない動きで生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしてる……
あの日…椎凪に連れて来られた日から1年も経っていないのに…
オレ…こんな幸せな日が来るなんて……思ってもみなかった……

「椎凪……」
「ん?」
「……オレ…幸せだよ……ありがとう…椎凪…」
「…………」



    椎凪は何も言ってくれなかったけど…

             でも…とっても優しくオレにニッコリと笑ってくれた………




パタン…

と椎凪が後ろ手に寝室のドアを閉めた。
そしてガチャリと鍵をかける…

「葵は?」
「メイドが面倒を見る…」
「でも…泣かないかな?」
「大丈夫だ…アイツは頭がいいからわかってる…オレがしっかりと話をつけてきた。」
「話を?葵と?」
オレは不思議顔…だって葵はまだ3ヶ月で……わかるのかな??
「男同士で親子だからな…納得してた。今夜は哺乳瓶で我慢するそうだ。」
「ほんと??」
「ああ…信じろ。」

そう言って笑う…なんかウソっぽいけど…
もっともらしく椎凪が言うからオレはちょっとおかしくなる。


耀が葵を産んで1ヶ月検診で2ヶ月避妊と言い渡された。
オレは避妊なんかする気が無かったからそれから更に2ヶ月待った。

そして今夜…一体何ヶ月…いや…1年近いんじゃないか?
久しぶりに夫婦水入らずの夜を過ごす事に決めた。
葵には母乳をタップリと飲ませてメイドに預けた。
念の為に予備の母乳も渡す事を忘れない。

今日は誰にも邪魔なんかさせないっっ!!!


「……なんか…ドキドキする…初めての時みたい…」
「初めての時ドキドキしたのか?」
「……ドキドキどころじゃなかった…」

「もう…黙れ…」

「…ん……椎凪……」

椎凪の指が優しくオレの浴衣の紐を解いていく…
「…ふあ……」
葵がミルクを飲むときとは違う強さで椎凪に胸を吸われてビクンとなった…
久しぶりの椎凪の掌の感触…あったかい……

「でも…オレ…身体変わっちゃった…かも…」
「耀の身体ならどんなだって構わない……」
「…あ……」

「やっぱ待てねぇ…」

いつもなら時間をかける前戯もソコソコに多少気をつけて…
ゆっくりと…深く耀に入った。

「…う…あ…」
「痛いか?」
ゆっくりと何度か押し上げた。
「…大丈夫…ん…あ…アッ……ダメ椎凪……
久しぶりの…せいか…すごく…感じちゃう…あっ…あっ…んっっ!!ぁ!!」

「…耀……」

思いっきり抱きしめて押し上げた…
久しぶりの感覚でお互いに相手を激しく求めて動き続ける…

「ハッ…あっ…あっ…あああっっ!!!」

耀の乱れた姿と…声がオレの神経を更に刺激する…
待った甲斐があったと納得してる自分がいる…

それに前よりも感じ易くなってる様な気がするのは気のせいか……



「始まったばっかだからな…耀…今夜はホント覚悟しとけよ…」

そう言って既にうっすらと汗ばんでる額の髪を撫で上げた。

「……はい…」

潤んだ瞳でオレを見上げながら耀が頷く……

オレの処に連れて来た時はきっとオレの事なんか一生好きにならないだろうと思っていた…
自分の人生を勝手に握って…勝手に決めた男を好きになんかなるはずがないと…
形だけの夫婦で一生過ごすと…オレもそれでいいと思ってた…それが…


「耀…」
「…ハッ…ハッ…ん…は…い?」

「後悔…してないか?オレと結婚して…子供まで産んで……」

最初の目的を忘れてオレはそんな事を耀に聞く…

「……してないよ……オレを捕まえてくれたのが…椎凪で良かった……本当だよ…」

そう言って微笑んで…オレの顔にそっと耀の手が触れる…
今までこんな風に女に触れられた事なんて無い…触れさせた事も無い…耀だけだ…

ホント…どこまでオレは耀に甘くなるんだろう……


「オレも…後悔してない………」


そう耀の耳元に囁いて…

始まったばかりの2人の最高の時間が……また動き出した………