shiinakyousihen

    椎凪 : 耀の高校の美術の教師兼美術部顧問。
     耀 : 椎凪と同じ高校の元気×2な女の子!2年生の美術部所属。椎凪と交際中。




始まりのお話…


とある日の放課後…数少ない美術部の部員を集めて準備室の片付けを手伝わされた…
運動に力を入れてるこの学校では文化部の肩身は狭い。
しかも元々の人数が 少ないから普段の部活も週に2・3日がいい所だ…
帰宅部と化してるこの部も何とか数名だけは真面目に取り組んでる。
その一人がオレ…
集合時間ピッタリに 来たのにまだ他のメンバーの姿は見当たらない…
そのうち来るだろう…と思いつつサッサと終わらせて
早めに帰るに限ると決めて先に片付ける事にした。
美術室から通じる扉を開けて中に入ると古ぼけた油絵の具の匂いと埃の匂い…

「どう片付ければいいんだ?」

さほど広くない準備室には取り合えず入れとけ状態で 色んなものが押し込まれてた。

「古くて使わないモノを捨てればいいのかな?」

まったく…顧問も来やしない…言いだしっぺのクセに…まあ来なくてもオレは 構わないけどさ…
腕まくりをしながらそんな事を心の中で思っていた…ホント…来なくていいから…

片付け始めると色々な物が出て来た…
何代も前の美術部員の ものなのか油絵も何点かあったし作りかけの粘土細工とか…
色々挑戦してるんだ…なんて感心してしまった。
結構夢中になってしまった…掘り出し物発掘に。
どうせ好意で一人先に片付けてあげてるんだからその位のお遊びは許して欲しいよな。
気付くとパタンと入り口の扉が閉まる音がした。

「ん?」

顔だけ見上げる と遅れて来た顧問だ…

「頑張ってるね。耀くん。」
「遅いです。椎凪先生!言いだしっぺ自分のクセに生徒より遅れてくるなんて職務怠慢ですよ!」
「ごめんごめん。」

そう言いながら後ろ手で入り口の鍵をカチャ!っと閉めた。

嫌な…予感…この予感は100%的中する!外れた事が無い…残念な事に…

「ふふ…耀くーん2人っきりだねー。」

怪しい微笑を浮かべながらオレに近づいて来た。

「2人っきりって…他のみんなももうすぐ来ますよ。」

そんなニヤ ついた顔で近付いて来るな…ワザと知らん顔で片付けてるフリをした。

「他の子なんて誰も来ないよ 」
「は?何言って…」

悪戯っ子みたいな顔で笑う…

「だって耀くんしか頼んでないもん。」
「はぁ?だって…みんなの前で言ってたじゃん…っていってもオレ入れて3人だったけど…」

悲しい部活の現実だ…ホント 少ない…

「オレと耀くんで間に合うって2人には言っといたから。」

最後にハートマーク付いてるし…冗談じゃない…

「じゃあオレも帰ります!2人でなんて 真っ平ですから!」

ムッとしながらパタパタと埃を払う。
その瞬間顧問がオレとの距離を一気に縮めて来た。

「耀くんっっ!!愛してるよーー!!」

「うわっ!!ちょっと… 」

いきなり抱きつかれて体重を掛けられて押し倒された!

「ばっ…やめっ…何すんだよ!!」

なんとか両腕で顔をガードした。
チョットの油断が死を招く…もといこの変態のオモチャにされる…キスなんかさせるもんかっ!!

「耀くん会いたかったよ!!」
「午前中に授業で会っただろ? もうどいてっ!!人来る!重い!背中痛い!顔近い!」
「照れない照れないこんな所誰も来ないよ。
美術の準備室に用事のある人なんてオレと耀くん位だよ。」
「オレも用事無いからっ!騙されただけだからっ!!早くどけっ!!この変態教師!!」
「そう…オレ変態なの…耀くんにだけ変態…」
「開き直るなっ…」

駄目だ…また…落ちていく…何処かに…しがみ付かなくちゃ…
探したけど…残念な事に何処にも掴まれる所は無かった…いつもそうだ…

「あ…やだ…ホント人が 来る…」
「大丈夫だってば…」

耳元で囁くなっ!くすぐったいって言ってるだろ…耳朶噛むなっ…
払っても抓っても…変態教師の不届きなそれでいて優しい手が オレの身体から離れない…
あっという間に必要最低限脱がされて…ホント素早い…


「あっ…あっ…」

椎凪が動く度に…声が洩れる…
恥ずかしさ 100倍の悔しさ100万倍…
幾ら手を握ってるからって…そんなに押し上げんなっ…
う…いつの間にか片足が抱え上げられてる…脚…攣っちゃうって…

ああ…オレ…自分がこんな奴だなんて思わなかった…
学校の…教室で(準備室だけど…)抱かれて…感じてるんだ…
こんな事するなんて…思っても見なかった… でも…
椎凪に迫られると…抵抗出来ないんだよな…なんで…

散々攻められて…何度も頭真っ白にさせられた…
教え子にこんな事して…ホント酷い教師だ…

「愛してるよ…耀くん…」

そんな甘い言葉囁きながらキスしたって騙されない…
もう何百回となく言われてるんだから…
舌入れて来たって相手なんかして やんない…ささやかな反抗…
っていうかそんな気力が残ってないのが正解…声出しすぎて無理…

この変態教師に目を付けられたのが運のつき…
オレとした事が あっという間に絆されてこんな関係になるまで時間はかからなかった…

初めてのキスも初めてのデートも初めてのお泊りも初めての『H』も
その他諸々の初めてを 全部椎凪に奪われた…

「結婚しよう…耀くん…」

ほら…またいつものセリフ…優しく頬を撫でたって頷いてやらない…

「ねえ…オレと結婚して… 結婚してください。」
「………いやだ!」
たっぷり間を置いて拒絶してやった。
「 …!!!… 」
まったくもーって顔してる。ざまあみろ…



「もーどうして?耀くん!!何でOKしてくれないの?」
「………」
椎凪に背を向けて必死に脱がされかけた服を直す。
ぎゃんぎゃんと背中がウルサイ。

「当たり前だろっ!オレはまだ高校生だよ。
しかも椎凪はオレの学校の先生!無理に決まってるだろっ!!
それに…まだ結婚なんて考えられないし…」

「よ…耀くん…オレの事…遊びなの…?ヒドイ…」

本気なのか演技なのか…ショックを受けてヨロヨロとよろめいてる…
もう何十回と見てると言う事は演技なのか?

「ち…違くて!まだ早いって言ってるのっ!!」
もーなんで年下のオレがこんなに気を使わなきゃいけないんだ…
「それに椎凪だって気が変わるかもしれないだろ… だから結婚なんて…」

「変わらないよっ!!」

そんな大きな声出さなくたって聞えるって…

「オレの気持ちは変わらない…ヒドイよ…耀くん…」

うわ…すっごい落ち込みよう…
良く毎回毎回こんなに落ち込めるもんだよな…なんか感心してしまう…
これが演技なら助演男優賞モノだよ…主演じゃない所がささやかな オレの仕返し…

「……ごめん…」

何でオレが謝らなきゃいけないんだ…

そんな事言われても…ホントにオレ………どうしたらいいんだろ…

こんな年上のしかも 自分の学校の教師相手になんで自分がこんなに
悩まなくちゃいけないんだか…

教育委員会にチクッたら速攻クビになるような事してるこの男の何処が良くって
オレはバレたら退学ものの行為をいつも受け入れちゃうんだろ…

でもオレは知ってる…オレとこうなる前に椎凪がどんだけ遊んでたか…
一晩限りの相手を繰り返して たって知ってる…

だから信じてないわけじゃないけど…オレみたいな子供相手で満足してるんだろうか?

また眠れない夜が続く事を椎凪は知らないんだ…ホント頭に 来る!
自分だけが可哀想だって顔して…一発殴りたい…殴っちゃうか?

やっぱ止めとく…その後慰めるのオレだもん…余計疲れる…



ある日の図書委員会…
確か3時半からなのにまた誰も来てない…嫌な予感100%…

「耀くーん!愛してるよ〜!!」
「うわっ!!」

いきなり胸を後ろから掴まれて揉まれた!そのまま本棚の奥に連れ込まれる。

「なっ…ちょっと何するんですかっ!椎凪先生!!」

振り向いたらやっぱりいつもの笑った顔…
なんで委員会の担当 まで椎凪なんだ…最悪!

「もー2人っきりの時は先生無しだよ。」

何笑ってんだっ!ムカッと来たっ!!ああ…そうですか!じゃあ遠慮なく。

「何すんだよっ 椎凪!!ここ学校だぞっ!!
誰かに見られたらどうすんだっていっつも言ってるだろっ!!少しは自重しろっ!!」

思いっきり両腕で椎凪の顔を押し戻してやった!
でもまだオレの身体から離れない!しつこいっ!!

「大丈夫だって!委員会の時間30分早く耀くんに教えたんだから!」

なにぃ…懲りない奴!何度そうやって オレを騙せば気が済むんだっ!!
しかもオレが疑わないように担任や同級生や下級生使ってんじゃないっ!!
この学校の教師と生徒は椎凪の使用人じゃないんだぞっ!!

でもそんな事を平気でやってのける椎凪って…本当はとんでもなく腹黒い男なのかもしれないと…
後頭部と身体をしっかり抱え込まれて思いっ切り舌を絡ませた キスを延々とされながらふと思った…

いつ誰に見られるかもしれないと言うスリルを知らないうちに味わい始めてる…
椎凪は初めからそれが狙いだったのかな?
普通の遊びに飽きて新しい遊び相手にオレを選んだだけなのかもしれないな…
なんて思う事もある…椎凪には言えないけど…


でも…高校卒業したら結婚も 考えてあげてもいいかな…

なんて17歳の誕生日に給料の何ヶ月分だか知らないけどプレゼントされた
教えてもいないのにサイズピッタリの椎凪曰く『婚約指輪』を 指に填めながら
そんな事を思ってしまった…