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 * R15のイラストあり。要注意! *

椎凪 過去編。 01



学校の帰り…どこかに遊びに行こうと話しが盛り上がった…

オレは『椎凪 慶彦』17歳。
他の奴より女の子の経験が多いかなってトコ意外は ごく普通の
高校生と思ってる…でもちょっと違う所は…両親がいないって事かな?


「椎凪今日バイトは?」
「休み。」
「じゃあどうする? カラオケでも行くか?女の子誘ってさ…」
「ボーリングもよくね?結構盛り上がんでしょ?」
他の奴らが相談しているのを横目で眺めつつ…オレは視線に 気が付いた…

ジッと…オレを見つめる視線…その方向には…ショート・ヘアの小柄な可愛い感じの…
女の子が一人…他の奴らは気が付かないのか?
誰もその子を見ようとしない…
オレと視線が合うとその子は…ニッコッと笑った…
「………」
オレはその子から視線を離せずにいた…
その子も…ジッと… オレを見続けたまま…視線を離さない…
…なんだ?この子…まだ…オレの事見てる…

どんどん…お互いの距離が離れて行くのに…ジッとオレを見てる…

…ま…いいか…
オレは視線を外して歩き続けた…結構可愛かったな…
しばらく歩いた所で…やっぱり気になって振り向いた。
「ありゃ…?」
さっきの あの子がなにやら男3人に囲まれて…強引に引っ張られて行く…
…あーあ…ったく…
「悪りぃ!オレ用事出来た!」
オレは走りながら学校の連中に叫んだ。
「はぁ?」
「おいっ!!椎凪!!」

細い路地にさっきの子が追い込まれて囲まれていた。
「おい!」
後ろから声を掛けた…男達が一斉にオレを睨む…

「オレの連れだ…離せよ!」


絡まれていた女の子の腕を引っ張って走った。
ここまで来れば大丈夫だろう…って言ってもあいつら追い駆けてこられないけど…
しばらく動けない位殴っといたから…

川沿いに面した公園で一息ついた。
「大丈夫?」
「うん…ありがとう。」
そう言ってニッコリ笑った…うおっ…近くで見たら…すげー可愛い…
…なんだ?… 胸が…ドキドキしてるぞ…?走った…せいじゃない…
「オレ男だって言ってるのにさ…信じてくれなくて…」
「えっ?男っ??うそ?」
「ね?」
「あっ!」
オレの手を掴んで自分の胸に当てる…ホントだ…胸が…無い…嘘だろ…?
「ガッカリした?」
ニコッっと笑う。
「え…?あ…いや…君… 可愛いからOK…」
何も迷わずすんなりとオレの口からそんな言葉が出た…マジか?
「くすっ…ありがとう。助けてくれたお礼…受け取ってくれる?」
彼(なんか…変?)がオレに手を伸ばす…
「男にキスされるの…イヤ?」
耳元で囁かれて…全身に…何かが…走った…なんだ?この感覚…
「君なら…いいよ…」
「よかった…」


背伸びをして…オレの首に腕をまわす…

そしてオレを引き寄せて…
「助けてくれてありがとう…」
って言って…オレにキスをした…

長い…長いキス…
お互いの舌を…しっかりと絡めて…
離れたくない…って思う様な…
深くて…甘い…キス…
気持ちが良くて…でも…何でだ?
何で…オレ…この子の事…受け入れてんだ…
男だって…わかってるのに…



「…ん…」

キスが終わっても…しばらくオレは彼を抱きしめていた…

「ねぇ…男の子…抱きたくない?」
耳元で甘く囁かれた。
「いいよ…君なら…抱きたいな…」

オレは自分で言って…心の中で驚いていた…


近くのホテルに入った…
「先にシャワー浴びて来て…オレ逃げたりしないから…」
彼はニッコリ笑ってそう言った…

シャワーを浴びて出て来ると彼が ベッドに腰を下ろして座ってた…
「じゃあ…待っててね…」
オレと入れ違いにシャワーを浴びに行く…
…逃げたかと…思ったんだけどな…なんかいつもと感じが違う…相手が男だからか?
でも…なんで男でもしたいと思ったんだ…?あのキスに…惑わされたのか…?

そんな事を考えながら待ってると彼がシャワーを浴びて戻って来た…
バスタオルを 身体に巻いて…見た目は女なのにな…だからか?

2人ベッドの上に座る…

「本当に…いいの?」
彼が遠慮がちに聞いた…
「いいよ…」
不幸な事に…男とは…初めてじゃない…
くそっ…ヤな事…思い出した…
「あ…ごめんね…」
「なにが?」
彼をベッドに倒しながら聞いた…
「騙す…つもりは無かったんだ…どうしても確かめたくて…オレが男でも抱いてくれるかどうか…」
「だから大丈夫だって…」
彼が…押さえていたバスタオルを ゆっくり広げる…
「 あ… 」
胸が…ある…え?女?
オレの目に映る身体は紛れもない女の身体…
「思いっきり…抱いていいよ…オレ…そのつもりで 来たから…」
オレに抱きつきながらそう言った…

「あんた…誰だ?…一体何なんだよ…?」
「君に…会いに来たんだ…」
「オレに?」
「うん…会いたかった…」

オレにキスをしながら…そう言った…



 名前は…?
耀…

 いくつ?
ハタチだよ…
 オレは17…

ねぇ…椎凪…
 ん?

必ずオレに会いに来て…
 は?会いに?






 そう…オレ待ってるから…

  どこに行けばいいんだ?

 わかんないけど…きっと会えるから…

  何だよ…それ…

 そしてオレを…好きになって…



オレ達は激しく抱き合いながら…そんな話をしていた…


約束だよ…椎凪…
 あれ?オレ…名前教えたっけ?
オレ…椎凪の事ならみんな知ってるよ…
 オレの事?どんな?

オレの上で乱れながら…彼女が言った…

誰かを…愛したくて…でも本当は…誰かに愛して欲しいんだ…

思わず…動きが止まる…両手も…彼女の胸を掴んだまま…オレは動けなかった…
初めて… 言い当てられたから…警戒して…一瞬『オレ』が顔を出した…



オレが椎凪の事…
愛してあげる…

だから…
必ずオレを見つけて…

そう言ってそっとオレにキスをしてくれた…
優しくて…あったかい…キス…




最初から変だった… 妙な感じだったし…それに…この子…オレに慣れてる…そんな感覚…
何度もオレと寝てるみたいに…オレの思う様に抱かせてくれる…
ああ…なんか… 気持ちいい…オレの…オレだけの女みたいだ…

「わかった…必ず会いに行くよ…そして必ず見つけるから…待ってて…」
オレは彼女にそう約束した…


「…ん?」
ホテルのベッドで目を覚ました。
オレが終わった後寝るなんて…滅多に無いのに…
隣には誰もいなかった…
一人で入るわけ無いんだから先に 帰ったのか?
んー…でも…変だ…どんな相手だったか…思い出せない…?
顔も…名前も…何でだ?
ま…いいか…覚えてないもんは仕方が無い…
でも… すげー良かったのだけは身体が覚えてる…

「あーもう一度…会えねーかな…」
オレは珍しくそんな事を呟いた…