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「耀く〜〜ん…」
「んーーーー…」

2人でソファに座らずに床に座ってる。
オレは耀くんを後ろから抱きかかえる様に座ってソファに凭れ掛かってる。
耀くんはテーブルに向かって自分の用事を済ませてる。

「オレの事好き?」
「んーー」
「オレの事愛してる?」
「んーー」
「オレの事怒ってる?」
「んーー」
「オレの事嫌い?」
「んーー」
「耀くんっっ!!!」
「んーー」
「もーーーーーーーーーっっ!!」
「うわっ!!」

何を聞いても上の空だから頭にきて服の中に手を入れて思いっきり乱暴に胸を揉んだ。

「やっ…椎凪…やめて…やだ…あっ…あっ…」
耀くんが普通の人より感じ易くて胸は特に弱い事をわかってて揉み続けた。
耀くんが耐え切れず後ろに仰け反る。
「…あ…ン…やっ…ア…しい…な…あ…ハァ…」
「………」
オレは無言…今の気分を態度で示してるから。
「…ンッ!!…ハッ…ああ…」
耀くんがビクンと跳ねてオレの頭を優しく掴む…
オレが首筋を舐め上げて吸い付いたから。
「椎…凪…やぁ…」
「ダメ…1回する…」
「…後…で…ね?後でするから…今は…ん…」
「そう言ってもう2時間待ってる…もう待たない…」
「だっ…て…うっ…ン…」
強引に耀くんの身体をオレに向かせて口を塞いだ。
思いっきり舌を絡ませて黙らせる。

「…フッ…んっ…ふぁ…椎…凪…まっ…」
耀くんが微力ながら抵抗を試みる。
そんなの気にも留めずに服を脱がせ始めるオレ。
「し…椎凪…お願い…あ…ダメ…まっ…」
「だから…待たないって言ってる!」
「…………」
やっと観念したのか大人しくなった。
 
「 今はダメだって言ってるだろーーーーーーっっ!!!!! 」

ド カ ッ !!

「 げ ほ っ !! 」

久々の耀くんの脚蹴りが思いっきりオレの鳩尾に叩き込まれた!!

「痛いっ!!耀くんっ!!ヒドイじゃんっ!!」
「椎凪はオレが卒業できなくてもいいの?もう時間無いんだから!!!」
「わかってるけど…もうどんだけこんなのが続いてるんだよっ!!
オレ3日も耀くん抱いてないんだよ!!」
「だって…仕方ないじゃん…もう少しだから我慢してよ…ね?」
「もう無理!1回 『 H 』 しないとオレどうなるかわかんない!」

本当はそんな事無いんだけどあんまりにも耀くんがオレの事放っとくから思わず拗ねた。

「だって…椎凪の1回って一晩中だもん。」
「…そのくらいしないとオレのこの気持ちは収まんないもん!!耀くんのせいだろ?」
「だから仕方ないだろ?」

確かに仕方の無い事だとは分かってた…頭では分かってる!
でもオレの身体は別だ!オレの身体が耀くん求めてるっ!!

耀くんは今卒業論文に取り掛かっててオレの相手どころじゃない…
それは…わかってるんだけども…ちょっとくらい相手してくれたっていいじゃんかっ!!
もうずっとおあずけ状態の…オレの事なんて二の次だ!!いい加減いじけるっての…

「じゃあもういいよっ!!他の人に相手してもらうからっ!!」
「祐輔も無理だよ!」
「…ぐっ!!他にもいるからっ!!何だよ耀くんの意地悪っ!!」
「椎凪こそ聞き分けないっ!!もう少しって言ってるのに…」
「だってウソだもんっ!!もう少しって何度言うんだよっ!!」
「それは椎凪が10分おきに聞くからだろ?」
「……うっ…だって…」

どう考えてもオレの方が分が悪い…ちくしょう…耀くんの意地悪…

「出かけてくるっ!!耀くん相手してくれないし意地悪だからっ!!」
不貞腐れて立ち上がって玄関に歩き出す。

「椎凪!」

耀くんがオレを呼び止めた。
え?何?やっとオレの事相手してくれる気になったの???

「帰りに甘い物買って来て!いつものお店のケーキが良いっ!!」

「……!!!!耀くんのばかぁぁぁっっ!!!ううっ…」

オレは思いっきり玄関のドアを乱暴に閉めて出て行った。

「ちぇ…何だよ耀くんってば…浮気しちゃうぞ…」
そう言うと携帯を出してボタンを押す。

「あ!一唏オレ…今からデートしようっ!!すぐ出て来て!!」

浮気の相手が一唏って言うのが情けないが…この際仕方ない…
一唏に会うのも久しぶりだったし…
いきなり呼び出して一唏は慌ててたけど何だかんだと言いながら
ちゃんと来てくれるからな…一唏は…
それまで仕方なく道路脇のベンチに座ってタバコを吸ってた。

ふと見上げると…女が1人…
歳は20代後半…肩より少し長めの髪に短めのスカート…
オレはその女から目が離せなくなった…
タバコを揉み消してその女の後を追う…その時携帯が鳴った。
「…あ…一唏?ごめん急用が出来た。また今度ね。」
そう言ってさっさと携帯を切ってまたオレの前を歩く女の後を追った。



「はぁ?何なんだよ?」
直ぐに来いって言うから慌てて来てみれば椎凪さんはいないし
連絡すればもういいって言われるし…何だか納得がいかない。
大体『デート』という名目でオレを呼び出すのは耀さんがいない
からだ…なのにそう簡単に断るなんて…おかしい…しかも急用?
変な自信だけどそうそう俺との約束よりも他をとるなんてありえない…
今までそんな事無かったし…って何だか怪しい関係の様に感じるけど
至ってそんな事は無い!
ただ…何となく耀さんのいない寂しさを紛らわすのに俺は必要な
人材なんだと思ってるから…椎凪さんはそんな時俺をからかって
気を紛らわすのが習慣になってる所がある…
俺としては喜んで良いんだか悪いんだか…複雑な所だけど…

仕方なく何処かに行く事にする。
このまま家に帰るのも何だしかといって何か他に用があるわけでもなく…
「どうしてくれんだ…椎凪さん!」
俺はブツブツと文句を言いながら歩き出した。


「宜しかったら今日オープンですのでどうぞ。」

そう言ってにこやかにオレにチラシを渡す。
見ると新装開店のカフェのチラシ…ふむ…使ってみるか?
オレは歩く速度を少し早めて前を歩く女に近付いた。

「此処本日開店なんですって一緒に行きません?」
「!?」
チラシを見せながら信号待ちしてる間に声をかけた。
「は?」
オレは相手に警戒心を与えないいつもの作り笑顔の最上級で笑いかけた。
どうやら第一段階はクリアしたらしい何気に相手の女の顔が赤くなったから。

「もしかしてあたしの事ナンパしてるの?」
「はい。オレあなたの事ナンパしてます。」
お互いに笑い合った。


『ごめんね。一唏君に迷惑かけちゃて…』
「いやぁ…そんな…」
珍しく耀さんからの電話だった。
『オレ今卒論で椎凪の相手あんまりしてあげられなくて…
そしたら椎凪イジケて出て行っちゃって…祐輔の他って言うと
一唏君かなって…椎凪携帯の電源切っちゃてるし…
だからごめんね…悪いんだけど椎凪の相手してあげてくれる?』
「いつもの事だし大丈夫だから…」
『…いつもの?ホントごめんね…いつも椎凪一唏君に
迷惑掛けてるんだ…オレ知らなくて…』
「あっ!!いや…そんなつもりは…オレも愉しいし…
だから気にしないで…」
『ありがとう…一唏君…じゃあ椎凪の事よろしくね…
またウチにも遊びに来て…』
「うん…それじゃあ…」

携帯をきった後思わず顔が緩む…
耀さんからの電話なんて…ホント珍しくて…って…
「やべ…椎凪さん俺と一緒だと思ってるよな…と言う事は
家にも帰ってないのか?」
何となく気になって…この辺りを探そうかなんて思い始めてしまった。

「宜しかったら今日オープンですのでどうぞ。」
そう言ってチラシを目の前に出された。


「本当にこのお店に行くの?」
声を掛けた女がオレの腕に絡みつきながら甘ったるい声を出す。
「とりあえず行ってみようよ。後の事はそれから…ね?」
ニッコリと笑う。
「ふふ…そうね…」
「時間はタップリとあるんだから…くすっ…」


「なんか…気になる…」
俺の第六感が何かを教える…さっき貰った今日新装開店の店…
待ち合わせの場所からそう離れていない場所で配ってた…
とりあえず他に当ても無かったから行ってみる事にした。