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「可愛いね…」

ベッドに川の字寝てるチビ3人を眺めながら耀くんが優しく笑ってる。
「耀くん…」
オレはベッドに屈んでる耀くんを後ろから抱き抱えた。
「!!…椎凪?」
ちょっと慌ててる…オレの下心わかった?
「ちょっ…椎凪ダメだよ…みんないる…」
そう言ってオレの腕から逃げようとする。
「大丈夫だよ。眠ってる。」
オレは気にせず耀くんを引き寄せて項に顔をうずめた。
「…は…や…椎凪…」
耀くんの身体がビクンとなって震えた…
もうオレから逃げられない。
「…ン…」
後ろから舌を絡ませるキスをしてすぐ隣にあるもう1つのベッドに
2人で倒れ込んだ。
「ダメ…起きちゃう…」
戸惑ってる顔が…ああ…オレの下心を更にくすぐる…
「優しくするから…」
首筋についばむ様なキスを繰り返して耳元に囁いた。
「…でも…」
「…でも?」
「…ンッ…」
シャツの下から手を忍ばせて耀くんの素肌を優しく撫でた。
「ハッ…ア…ンア…」

椎凪がオレの胸を優しく揉んで舐め上げた…
ただでさえオレは胸を触られるのは弱いのに…
ずっと舐められて…優しく歯を立てる。
「…ふぁ…椎…凪…」
椎凪の頭を思わず掴んだ。
椎凪の柔らかくってサラサラの髪が心地良い…
「耀くん…」
椎凪がオレに擦り寄るみたいに身体を密着させて
這い上がって来た…触れるだけのキスをオレの身体に繰り返す…
最後はオレの唇のすぐ横で止まった…
椎凪の前髪の間から瞳が見えて…ジッと見つめられた…
オレはそれだけで…胸がドキドキ…

「椎凪…そんな目…しないで…」
「なんで?」
見つめられたまま甘く囁かれた。
「…そんな声…出さないで…」
「だからなんで?」
顔が更に赤くなる…
「何されても…許したくなっちゃうから…」
「くすっ…ありがとう。耀くん…じゃあお言葉に甘えて。」
ちょっとだけ強引に耀くんの服を脱がせた。

なんせ今は時間が無い。
多分2時間位は戻って来ないと思うけど安心は出来ない。
流石に抱き合ってる真っ最中に入って来られるのは勘弁して欲しい…
だったら別の部屋ですりゃ良い事なんだけどこのスリルが堪らなくて
止める事が出来ない。
旅先といつもと違う部屋と後はなんと言っても『結婚を許してもらった!』って
事がオレをハイテンションにさせた。
だから耀くんを抱きたくて…愛し合いたくて…夜まで待てなかった。

「…あ…椎…凪…」
「耀くん…」
お互いいつもより身体を密着させて絡み合う…
「…椎凪…は…ぁ…」
「今日ね…右京君に結婚許してもらったよ…」
唐突に椎凪がオレの耳元に囁いた。
「…本当…? ン ア ッ !!!」
椎凪の言葉に気を取られた瞬間に椎凪がオレ入って来て押し上げたから…
無防備だったオレは思いっきり声が出ちゃた。
思わず隣のベッドに視線を向けた。
よかった…3人共ぐっすり寝てる…

「ンア……あっ…あっ…」
椎凪は優しくって言うけど…どこがなんだよ…
こうなるとオレが声を出すのを堪えるしかなくて…でも…

「ハッ…アッ…アッ…んんっっ…」
どうして…椎凪…なんで…こんな…もう…少し…加減して…
腰を掴まれて引き上げられる…片方の脚は椎凪の肩に…
もう片方は抱え上げられて…椎凪の体重をかけられて攻められる…
何度も何度も攻められて…オレ…もう…

「…あっ!!…椎凪…しい…なっ…」
「…もっとオレの名前呼んで…オレを呼んで…耀くん…」
椎凪が更に激しく動きながらそんな事を言う…

「…うっ…あ…椎…凪…椎凪…アッ…あああっっ!!!」

思い切りのけ反りながら……オレは力任せにギュッとシーツを掴んだ…



「はあ…はあ…」
2人の呼吸だけが聞こえてる…ぐったりとしてる耀くんの頬を優しく撫でた…
「卒業したらすぐ結婚だよ…耀くん…」
耀くんには聞こえてるのか…?返事も無く浅くて荒い呼吸を繰り返してる…
時間はあれから40分程…普段かける時間をこの短時間に凝縮したから
耀くんにはちょっとキツかったかもしれない…
申し訳ないと思いつつオレとしては大満足で…
いつの間にか耀くんからスースーと寝息が聞こえてる来る。
あれま…眠っちゃってる…少しの時間なら構わないか…なんて思いつつ
ふと視線を感じて隣のベッドを見た。
いつから起きてたのか…琴乃がこっちをジッと見てた。
まだ寝起きの顔でちょこんとベッドの上に座ってる。
「なんだよ…起きちゃったのか…?まああんだけ耀くんが声出しゃ仕方ないか…」
オレは片脚だけベッドから降ろすと手を伸ばして琴乃を抱き上げた。
そのまま枕をクションにゆったりとベッドに落ち着いた。
「まだ寝れるだろ…おやすみ。」
オレは琴乃を横抱っこして優しく身体をトントンと同じ間隔でゆっくり叩く。
「…ふあぁ…」
とろんと両目が閉じた。フフ…ちょろいね。
「…ちっちゃいなぁ…」
なんだか妙に身体の奥がこそばゆい感じがした…

流石にベッドに入りながら琴乃を隣のベッドに寝かせるのは無理がある。
仕方なく琴乃を抱いたままベッドから下りた。
抱き上げて立ったその時…ガチャリとドアが開いた。

「…!?…え?」
思わず振り向いた。

「スミマセン…遅くなっちゃって…」

なんてグッドなタイミングで入って来るのかな?慎二君!!!

「…!?…は?」

慎二君の動きが一瞬で固まる。
視線はバッチリとオレに標準が合ってるんだろう…
だろうな…きっと慎二君の瞳には琴乃を抱いたオールヌードの
オレの後ろ姿が映ってるはず…

「…うっ!!いや…その…」
別に裸を見られるのはまったく気にもならないが…
やっぱりこの状況はマズイ!!

「…なっ…なっ…」
みるみる顔が変わっていく。
「違うから…別に…」

「何が違うんですかっ!!何してるんですっっ!!椎凪さんっっ!!」

「ビクン!!」
慎二君の声で琴乃がビクンと跳ねた。
「ハッ!!」
慌てて慎二君が自分の口を押さえた。
オレはまた琴乃の身体をトントンと叩いた。
何とか起きずに済んだらしい…そっとベッドに降ろす。

「だから…これは…その…あの…なんだ…」
「いいから早く服を着て下さいよっっ!!」
さっきよりも小さな声で…でもどう見ても怒りマークが身体中から浮き出てる…

それから10分後…顔を真っ赤にして服を着た耀くんとちょっとバツが悪い顔で
言われるまま服を着たオレが慎二君に説教を食らっていた…

「時と場合と場所を選んで下さいよねっっ!!」

「はぁ……」
オレはただ頷くばかり…
「耀君も少し拒むって事しないと!椎凪さん相手じゃ無理かもしれないけど…」
「…………」
耀くんは真っ赤のまま俯いてる。
「ですから1番の原因は椎凪さんなんですよっっ!!」
「…!!オレ?」
「年上なんだし男なんだから当たり前でしょ!!何言ってるんですかっ!!」
「でも愛し合ってる恋人同士だから!」
にこやかに反論した。

「盛りのついた動物じゃあるまいしいい加減にして下さいっっ!!!
教育上だって良くないですからっっ!!」

倍返しなみの勢いで更に怒られた。
「僕だったから良かったものの祐輔や右京さんなら殺されてますよ!!まったく!!」

オレにしてみりゃ慎二君も別の意味で勘弁して欲しい相手なんだけど…

オレにとっては思いがけない旅行…
まさか右京君から結婚を許してもらえるなんて思ってなかったから…

だってこんな嬉しい気持ちで…愛し合わずにはいられないじゃん ♪♪

なんて思いつつ更に続くお小言を大人しく聞きながら
自分の部屋に帰ったらどうやって耀くんを攻めようか…なんて考えてる自分がいた。