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……耀くんって酔っ払うとどなん風になるんだろう…


リビングで2人寛ぎながらそんな事をふと…思ってしまった…
いつもは2人で飲むと2人で酔っ払う…
って言っても耀くんはオレの倍以上は飲まないとそんな風にならないから
オレは既にベロベロ状態…耀くんも大分酔っててそのまま2人ベッドに
倒れこんじゃうから耀くんが酔うとどうなるのか……わからない…

かと言ってオレが酔う前の状態だと耀くんは普段と変わらないし…
それに酔うと耀くんはすぐお寝むになっちゃうしなぁ…

ほんと耀くんって酔うとどんな風になるんだろう…?気になる……!!!


「耀が酔った時?」
「うん…祐輔ならどんな風になるのか知ってるかなぁと思ってさ。」
「ほとんどいつもと変わんねーけど?大体オレとそこまで飲むって事ねーし…」

そうだ…祐輔はお酒弱いんだよな…オレよりも…
「じゃあ慎二君とは?2人共お酒強いじゃん。」
「あの2人が一緒に飲むと酒の量は半端じゃなくなるがほとんど変わんねーな…」
「だよねぇ…あの2人のお酒の強さ半端じゃないもんぁ……」

慎二君なんて耀くんの上を行く…

『 仕事上必然的にですよ。ニコッ 』

って慎二君は言うけど…ウソだ…アレは元々酒に強いんだよ……



「……ふむ…」

コレは1度確かめてみたくなった…単なる好奇心だけど…耀くん本人は 

『 きっと眠くなって寝ちゃうよ。 』

って言ってたけど…
問題は酔わせた耀くんをいかにして寝かせずにおく事が出来るかと…
そこまでオレが飲む事に付き合えるか…と言う事だ。

オレもお酒には自信がない……これは協力者が必要だ……

「え?お酒ですか?」
「うん。今度一緒に飲みたいなぁ……って。」
「椎凪さんお酒弱いじゃないですか?それにそんなにお酒飲むのが好きだとは思えないし…
何か魂胆があるんですね?そうでしょう?」

ぐっ!!相変わらずスルドイ……
耀くんの酔った所見たいから…なんて言ったら協力してくれんのか??

「……いやあ…そんな…何も無いって…」
「そうですか?まぁ良いですけど…それじゃ2・3仕事頼んでもいいですかね?」
「え?お安いご用だよ。」
やった!バレバレだったみたいだけど何とかOK貰ったぞ!!



「…!!うわあこのお酒甘くて美味しい!!」
「外国に行ってた人のお土産なんですよ。元はその国原産の果実なんですって。」

数日後約束通り慎二君の部屋で皆でお酒を飲んでる。
本当は自分の所が良かったんだけどオレの所で慎二君が飲むなんて
珍し過ぎだからこういう事になった。
オレは内心ワクワク ♪ ♪ 遠巻きに2人を眺めてる。
一応お酒をチビチビ舐めるように飲んで。

「お前何企んでやがる。」

祐輔が思いきり疑いの眼差しを向けてオレを睨んでる。
「へ?別に…何にも…」
「じゃあテメェも飲め!!オレが酌してやる。」
「…え?」
「こんな事もう一生ねーぞ!」
思いきり悪戯っ子の顔と瞳と笑いだ。

「あ…ありがと…って祐輔!!ちょっと入れ過ぎっっ!!」

ウイスキーのボトルを傾けてドクドクと注ぐ!
「……ヒック!!」
「え?祐輔酔ってんの?」
「ああ…祐輔もうグラス2杯飲んでますんで…絡んできますよ!」
慎二君が軽く言う。
「え??」
「祐輔酔うと人懐こくなりますから。」
「え?そうなの?」
なんか想像出来ないんですけど……
「前TAKERUの女の子達と飲んだ時カラオケで歌まで唄ったんですよ。」
「え!?祐輔が?」
信じられん……
「ね!耀君。」
「次の日祐輔は覚えて無かったけどね。」

当の耀くんはやっと仄に顔がピンク色だ…
まだまだ先は長そうだ…頑張ってね!慎二君!!!

「…グビッ!ゴクン!」
「ちょっ…そんなに飲んで大丈夫?祐輔…」
完璧に目が据わってますけど?
「……ニ コ ッ ♪ 」
「うわっ!!祐輔が笑ったっ!うそっ!」

祐輔がオレに向かってニッコリと笑ったぁぁぁ!!!こっ…コワイッ…!!!!

「ああ…もう限界ですね。きっともう寝ちゃいますよ。」
「…え?」
「………くぅ…」
「ええ?」
見ればカクッとうなだれて…寝ちゃってる!!!
「はぁ………」
「ね!」
「おもしろい…」
「なんか酔うと他人との壁が大幅に下がるらしいんですよ。
時々一気に飲んでそうなるんですよね。和美ちゃんと何かうれしい事でも
あったのかな?」
「そう言う理由?」
「はい。多分。」
「ほえ〜〜」
「耀くんもっと飲む?」
「うん。」
「今度はワインどう?年代モノが手に入ったんだ。」
「でも高いんでしょ?いいの?」
「大丈夫。貰ったモノだから。」
「じゃあもらおうかな。」
「ちょっと待っててね。」

そう言って立ち上がると耀くんにわからない様にオレにウインクした。
もう少しなんだね!!慎二君!オレ待ってる!


「…あふ…」
「あれ?眠くなっちゃった?」
「うん…でももう少し大丈夫。なんか久しぶりに慎二さんとお酒飲めて
愉しいし嬉しいし美味しい。」
「そう?ありがとう耀君。」
「だって椎凪お酒弱いからさぁ…すぐ酔っ払っちゃって寝ちゃうんだもん…つまんないんだぁ…」
「え?」

オレはびっくり…
耀くんがそんな事言うなんて…そんな風に思ってたなんて……え〜〜〜

「少し酔った?耀君…」
「大丈夫…酔ってないよ…うん…大丈夫…ふふ…」
あれ?なんか耀くんの様子がおかしい様な……
クスクスと笑い出してる…

「もう寝た方がいいよ…耀君。今日はここに泊まって行ってね。」
「え?大丈夫だもん!!まだ飲めるよぉ〜〜椎凪!お酒っ!!持って来て!!」
「へ?…あ…はぁ…ハイハイ…」

うお〜〜〜〜…すごい命令口調になってるぞ…
もしかしてコレは酔うと絡むタイプ?
「もう耀君無理しちゃダメだよ。椎凪さん耀くんの事お願いしますね。
僕は祐輔をベッドに運びますから。」
「あ…うん…」
「あ!やだ…椎凪もっと飲むのぉ〜〜もっとぉ!!」
「もうお開きだって。耀くん…祐輔も寝ちゃったし…ね?」
「もう…これからなのにぃ……祐輔もお酒弱いんだからぁ…」

すごい…ブツブツと文句言ってる…
こんな耀くん初めてか?これか?これが耀くんが酔った時なのか?

ブツブツと言い続ける耀くんを空いてる部屋に連れて行った。
慎二君の家にはお客用としてもう1組ベッドが置いてある部屋がある。
祐輔は慎二君と一緒に寝るのか?まあそれはお任せだ。

耀くんがベッドにゴロンと横になった。
そんな絡んでは来ないな…あんな感じで…そんなたいしたモノじゃなかったな…
ちょっと期待してた分気が抜けた感じになった。

「………し・い・な・ぁ〜〜〜お酒っ!!お酒持って来て!!まだ飲めるっ!!飲むのっ!!」

耀くんがいきなり起き上がって叫んだ。
「え?まだ飲むの?もう止めといた方がいいよ…ね?」
「………う〜〜〜」
「………!?」
何だ?目が据わってる……
「なんでしいな酔ってないのぉ??いつもはぁオレよりぃ先にぃ酔っ払うのにぃ〜〜」
「……耀くん…?」
なんだ?何だか急に態度が横暴になってきたぞ?
「なんか悔しいぃ〜〜〜!!だからしいなも一緒に飲むのぉ〜〜〜
お酒!!しいなぁお酒ぇぇぇぇ〜〜〜!!」
「ちょっ…耀くん待っ…」
ベッドに座ってるオレに掴みかかって洋服を引っ張られた。
なんだ?酔うと凶暴になんの??
「なに?持って来てくれないのぉ?もうしいなはぁ………」
「……いや…そう言うわけじゃ……」
もの凄いガッカリされた…そこまで落胆しなくても…
ちょっと凹むんですけど……
「ちょっとココに座ってぇ!!しいなぁ!!!」
「は?」
そう言って自分の座ってる目の前を指差して言う。
「ほらぁしいなぁ!」
「あ…うん…」
何?何だよ…どうなってんの??
思わず正座して耀くんの前に座った。

「も〜〜〜いっつもしいなは〜〜オレの言う事ぉ聞いてくれないよねぇ〜〜〜」
「え?……そうかな?」
「どうして口答えすんのぉーーーっっ!!だめなのぉ!!オレが話してんだからぁ!!」
「え!?」
腕組まれて下から覗き込まれて見上げられた……
「……大体しいなは〜〜……ぶつぶつぶつぶつ……」
「……………」
でーーー!!!なんかスンゲー説教喰らってんですけどぉぉぉ……!!
なに?耀くん酔うと説教魔??凶暴になるんじゃ無いの??

「きいてんのぉ!!しいなぁ!!」
「は…はい…聞いてます…聞いてるよ…」
「……だからぁ…それでぇ……あの時もぉ…くどくどくど…」

いっ…一体…いつまで続くんだ…このお説教は…?いい加減終わってくれないだろうか…


「……!?…え?」
上の空で聞いてた耀くんの説教が聞えなくなったと思って耀くんを見ると…
今度は目に涙一杯溜めてるうぅぅぅーーー……え?何で??

「……うっ……しいな…オレの事なんて…どうでもいいんだぁ…ひっく…」
「は?え?何で?」
何が一体どうなってそんな事に???
「だって…オレの事うるさい奴だなぁっておもってるんだろぉぉぉぉ〜〜う〜〜」
「え?なんで?思ってないよ!全然そんな事思ってないからっっ!!」

オイオイ…何なんだ…今度は泣き上戸か?
一体どれが酔った時の耀くんなんだよ……

「…うっ…ひっく……」
「耀くん…大丈夫?」

耀くんが泣き出してなかなか泣き止まない。

「…う〜ごめんねしいな……」
「え?何が?」
オレはドキドキだ…
「オレ…何にも出来なくて…」
「え?」
「しいなばっかりに家の事とか…料理とかさせて……
オレも…ちゃんとしなきゃって…思ってるんだよ〜〜〜う〜〜」
「わかっ…わかってるよ…そんなオレは気にしてないから!
いつも言ってるじゃん!オレがそうしたいからしてるんだって…
オレが耀くんの為にやってあげたいからやってるんだから気にしなくていいんだよ!」
「ホント…?」
泣きながらオレを見上げてそんな事を言う…その顔が…何とも可愛くて…

泣き上戸万歳!!!

「ありがとうしいな…」
そう言ってオレの胸にコテンと頭を着けた。
「そんな…たいした事無いって…」
オレは顔がデレッとなったのがわかる…
泣き上戸かぁ…こんな可愛いなら泣き上戸でもいいなぁ…

「…しいなぁ…」
「ん?」

耀くんがオレにぴったりとくっ付いたまま顔だけオレを見上げた。
うわっ!もの凄く酔ってる顔と潤んだ瞳だぁ……

「ぶちゅっ!!」
「……んっ!!」

いきなり飛びつかれてキスされた!!
唇が着いた途端耀くんの舌がオレの舌を絡めて…離さない!
そんな…耀くんから…こんな…激しいキスなんて……

オレは何故か耀くんからのキスに弱い……
普段挨拶のキス以外耀くんからしてくる事は滅多に無い。
だからなのか…オレが耀くんに弱いからなのか……

オレは耀くんにキスされると…力が抜ける…

「……んっ…ちゅっ…くちゅっ…ちゅっ…」
「…は…あ…ちょっ…耀くん…ちょっと…待っ…」
「……んっ…だめなの…やめちゃだめ…」
「……やばっ…わっ!…っと…」

オレは力が入らなくて耀くんを支えきれずに抱きかかえたままベッドの上に倒れた。
耀くんはオレの上に乗ったまま未だにオレとのキスを止めない…

何?今度はキス魔???こんな激しい??

「ん…ン…」
「…よう…くん…ンア…」

耀くんがオレのシャツのボタンを外しながら首筋を舐めていく…

ホント…一体…どうしちゃったんだ……って…ヤバイって…オレ…このままじゃ…

「!!耀くん!?」

いきなりオレの上に馬乗りになってた耀くんが座ったまま自分の服を脱ぎだした。
「ちょっ…耀くん大丈夫??」
大丈夫って言うのも何だか変だけど…普段と余りにも違う耀くんの行動に
思わずそんな言葉が飛び出した。
「するのっ!!しいなぁ!!オレの事抱いて!!」
「え!?…ええ??そんな…なんて大胆な……」

今度は露出狂??こんな耀くん珍しい…ってか酒の力ってスゴォイ!!!お酒万歳!!

トロンとした顔の耀くんがオレをじっと見下ろしてる……
そんな耀くんにオレは下から手を伸ばしてそっとピンク色に染まってる頬に触れた。
暖かいと言うより熱いの方が近い…ホント酔ってるんだ…耀くん…
いつもはこうなる前にオレが潰れて…耀くんも寝ちゃうから……

「……初めましてだね…耀くん…」
「…んー??なに?」
「だってオレこんな耀くん初めてだもん…初めて会った…」
「???何いってんのぉ?しいなぁ……よくわかんないよ……」
「いいよ…わかんなくたって…オレだけが知ってればいいんだ…くすっ…」
「……ん〜〜〜…そうなの?いいの?」
「いいの!いいの!!耀くん…」
「…ん?」

「耀くんが満足するまで……抱いてあげる…おいで…耀くん……」

「……うん…オレがいいって言うまで…オレのこと…抱いて…しいな…」



「…うっ…あっ!あっ!あっ!ああっ!!」

耀くんがもの凄く敏感にいつもよりも激しく感じて乱れる…
「ちょっ…耀くん声出しすぎ!!ここ慎二君の家だから……!!」

オレは周りを気にして耀くんを抱くことは無い…
ただ!慎二君は別だ!どうも慎二君が相手だとオレは気になって仕方が無い。
キスしてるのを見られるのも気になる時がある。
自分でも不思議なんだけど…だから自分の家なら大歓迎の耀くんの声も
今日のオレにはドキドキもので…

「ハァ…ハァ…ンッ!ん!ンアっ!!あっ!!!」

オレの上で大きくのけ反る耀くんと繋いでた手に力を込めて引き寄せた。
「もう…耀くんってば…」
そのまま耀くんを横倒しにしてオレの下に押さえ込む。
「…ふぁ…ンッぐ!!」
「ごめん…耀くんちょっとシィ…ね。」
「…ふ…ン!!」
耀くんの口をオレの手で塞いだ。
「ンッ!…ンッ!…ンッ!」
口を塞いだまま耀くんを押し上げて攻めた。
何度も何度も押し上げて耀くんの奥へ奥へ入っていく…

「耀くん…最高…」

いつもと同じ…
オレに慣れててオレにピッタリの身体でオレを飽きさせなくて…
オレのためだけに存在してる人……

「好きだよ…耀くん…愛してるからね…ごめんね…でも少し我慢して…」

耀くんが枕とシーツを掴みながらオレに押し上げられるのを堪えてる。
しかも潤んだ瞳付きだ。

「…やだ…耀くんそんな瞳で見つめな……いっ…てぇーーっっ!!」

「……フゥ……」
「………え?耀くん!?マジ…?」
オレは耀くんの口を塞いでた自分の手に視線を落とす…
くっきり歯型が付いててうっすらと血が滲んでる…

「…フフ…」
オレを見て耀くんが子供みいたいな笑顔で笑う。
「……耀くん…」

オレはそんな耀くんを見てナゼかウキウキのワクワクしてきた!!
酔った耀くんがこんなにも大胆で積極的になるなんて思いもしなかった…

「そうだよね…声…オレに聞かせてくれるんだもんね…」
いいながら噛まれて血の滲む手をぺろりと舐めた…

「いいよ…気のすむまで…」

その後は……普段よりも何倍増しだったんだろう…
もう声がどんだけ聞えてるなんて構ってられなくて…
2人で絡んでもつれて燃え上がって……
久々にぐったりとなっていつの間にか眠ってた…

ぼんやりとする意識の中で…明日の朝…慎二君になんか言われるかなぁ……

なんて思っていた……

「おはよう。椎凪!」
「……ん?!…あ…おはよう…耀くん…」

珍しく耀くんに起こされた。
「起きないと仕事遅れるよ。」
「……うん……」

オレはモッソリとベッドの上で起き上がる…
あれ?ここ…何処だっけ?オレの部屋じゃ無いぞ………
頭を掻きながら部屋を見回した。
「シャワー浴びれば?すっきりするよ。」
「うん…」

見れば耀くんはしっかりシャワーも浴びてすっきりだ。
服もいつも見たことの無い服………ってあれって 『TAKERU』 のか?
あ…そうだ…昨夜は慎二君の所に泊まったんだ…一気に記憶が蘇った!

「耀くん!大丈夫?頭とか痛くないの??」
「え?なんで?」
「だって…昨夜あんなに酔ってたから…」
「酔ってた?え?そんなに?やだな…オレ何か変な事しなかった?」
「……え?」

…うそ…憶えてないの??

「お酒が美味しいなぁ…って思ってたのは憶えてるけど…
その後は目が覚めたらベッドで裸で寝てた…あ〜〜椎凪またオレに変な事したんだろ??」
「え?…そんな…何も…普通に愛し合っただけ……」
ホントは違うけどまさか2人で思いっきり愛し合ったなんて言える雰囲気でもなく…
「もう…自分の家じゃ無いんだから我慢してよ…慎二さん達にわかったら恥ずかしいだろ。」
「……え?」
言う?それを耀くんが言うんだ…って記憶無さそうだし…当たり前か??

手早くシャワーを浴びて慎二君が用意してくれた 『TAKERU』 の服に着替えて
リビングに向かう…時々突然泊まる時は慎二君が 『TAKERU』 服を用意してくれる。

ただ…リビングに入るオレの足取りは重い…
なんせあんだけ激しくやりあって……オレ達の声が聞えてない筈が無い……
ヤダなぁ…何て言われるのかなぁ…もう笑って誤魔化すしか……

「あ!椎凪さんおはようございます。」
「おはよう…慎二君…あれ?祐輔は?」
「まだ寝てますよ。あの祐輔がこんな早く起きるわけないでしょ?
昨夜祐輔にしては飲み過ぎでしたからね。」
「…あ…そっか…」
「今コーヒー淹れますね。」
「…あ…ありがと…??」
なんだ?何気に機嫌が良さげ??

「慎二さん機嫌いいでしょ?」
「…うん…どしたの?」
「昨夜久々に祐輔が泊まったから嬉しいんだよ。しかも同じベッドで一緒に寝れたしね…」
「え?そうなの??」
「祐輔は慎二さんのお気に入りだから。高校の時も慎二さん祐輔にベッタリでさ。
だから和海さんと付き合い始めた時結構大変だったんだよ。」
「なんか…わかる…」

2人で鼻歌なんか歌ってる慎二君を眺めながらそんな話をした。

珍しい3人での朝食。
朝ご飯はお礼も兼ねてオレが作った。
耀くんと慎二君が出勤するオレを見送ってくれる。

「じゃあ行ってくるね。」
「いってらっしゃい椎凪。」

素早く行ってきますといってらっしゃいのキスをした。
すぐ傍に慎二君の視線があって…オレは何とも緊張してる……何でだ??

「いってらっしゃい椎凪さん。」
「…行ってきます…っつ!!」

軽く慎二君に手を掴まれた…耀くんに昨夜噛まれた場所…

「目的…果たせました?」
「…え?…あ…うん…ありがとう…慎二君…」
「じゃあ今度は僕の約束守って下さいね。」
「…うん…ちゃんと守るよ…」
「それから…」
「それから?」
すっと…慎二君がオレの耳元に顔を近づける。

『 僕の部屋……ラブホテルじゃないんで…次から気をつけて下さい! 』

「 !!!! 」

やっぱ言われたぁーーーっっ!!!

にっこり ♪♪

もの凄く爽やかな満面の笑みだけど…
両サイドの頭からニョキっと生えた2本の角がオレには見えるっっ!!

「…?え?どうしたの?」

耀くんは最後の慎二君のセリフは聞えてない…
だから慎二君の笑顔とオレの真っ青な引き攣った顔が不思議で仕方ないんだろう…

最初の目的の酔うと耀くんはどうなるかは結局色んな段階を踏んで
最終的には酔って積極的になって乱れるって事とどんなに激しく愛し合っても
記憶が無くなる事が判明……オレとしてはちょっと残念。

でも自分でそれを再現するにはやっぱりお酒の弱いオレには不可能だと悟った。


その事がわかる為の代償は 『TAKERU』 の仕事を2・3こなす事と…

慎二君のオレへの呆れ度のメーターが増した事だった……