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     * 時期は耀が女の子に戻った後あたり。
       耀はトラウマを治すのに1度右京に6歳まで記憶を戻された事があります。
       本編 78話から治療のお話あります。 *








「…あっ…はぁ…はぁ…ンン…」

「耀くん寝たら駄目だよ…」


椎凪がオレの上に覆いかぶさりながらそんな事を言う…
もう…椎凪に抱かれて 何時間経ってるんだろう…

椎凪は時々限度を知らない……

いつもはオレの様子を見てくれて止めてくれるのに…
たまに今夜みたいに自分の気持ちを 優先する…

もしかして『あっちの椎凪』なのかな?

でも今のオレにはそれを確かめる余裕がない……
抱き起こされて椎凪の膝の上で朦朧としてる頭と 身体で
椎凪に押し上げられるままオレは椎凪に必死にしがみついてる…


「あっ!あっ!アン!は…ぁ…」

もういつ意識が無くなるかわからない…
何度も何度も頭の中が真っ白になってその度に椎凪の新しい刺激で引き戻される。

「…うっ…椎…もう…やめ………」

涙が止まらない… もう自分の意思とは関係無くずっと頬を伝ってる…

「ん ♪ 」

そんなオレの涙を椎凪がペロリと美味しそうに舐める…

「感じて乱れてる耀くんの 涙美味しい…くすっ」
「………」

椎凪のバカ……
そう思ったけど言葉にする力が無い…もう自分の力で動いていない…
今は膝の上から仰向けにベッドの 上に倒されて思いきり椎凪に押し上げられてる…

「…ハッ…ハッ…んくっ…」

息も浅く早い呼吸を繰り返すのがやっと…
身体に力が入らないから 何処も掴めなくてずり上がる身体を
椎凪が何度も何度も引き戻してはまた押し上げる…

椎凪…本当にオレ…もう無理……

「…椎…凪…も…無理……… 無理っっ!!」

最後の力を振り絞って叫んだ。

「ハァ…まだ…ハァ…話せるんだ…耀くん…」

……え?なに?珍しく息が早い椎凪がそんな事を 言う……
オレは椎凪の言ってる意味が理解出来ない……

「……ンアッ!!!」

腿を抱え上げられて椎凪が体勢を変えた……

「まっ……」

ダメ…これ以上したらオレ……

「…………アッ……!!!!」

動かないオレの身体が跳ねた…
その跳ねたオレの身体を椎凪がオレに深く入って来て 押さえ付けた…

「 ! ! ! ! ! ! 」

それが今まで感じた事の無い程の刺激で…オレの身体を貫いていった……

「……………ぁ……」

頭の中が真っ白になって…
でも…いつもと違う……声も…出ない…息も…出来ない………なん……で…?




「…はぁ……はぁ…」

久しぶりに加減せずに耀くんを抱いた。
だからいつもは上がらない息が上がって肩で息をする。
時々欲望の高が外れて歯止めが効かない…なんでだろう?
耀くんが限界を越えてるのも分かってた…
止めてあげなきゃって頭で分かってても身体は言う事を聞かなくて……
気を失ってる耀くんの上に両手を着いて 見下ろした…

「…耀くん……」

頬に付いてる涙の跡を掌で拭ってあげた…
そしたら気が付いたのか耀くんがゆっくりと目をあけた。

「…耀くん…大丈…夫?」
オレは恐る恐る声をかける…
だって…耀くんは止めてって言ってたのに止めてあげなかったから…怒ってるかと思って…
「…………」
ぼーっとしたままだ……

なんだ?いつもと違う?それに何も話さないし…何気に周りをキョロキョロ見回してる…

「耀くん?」
「!!!!」
そんなオレの声に見るからにびっくりしてる。
「……………」
「?」
何だ?
「耀くん?」

もう一度名前を呼んで伸ばした手 にものすごく驚いてオレの身体の下から這い出した…

「耀くん!?」
「やあっっ!!」
「え?」

「やあ!!…ここどこ?」

「え?な…何言ってるの?耀くん…」

オレは訳がわからない?

「怒ってるの?ねぇ…」
オレの伸ばした手から耀くんが逃げる。
「耀くん!!!」

耀くんはオレを見てない…怯えて…身体を小さくして震えてる…

「右京さま……」

「え?」
耀くんが震えた声で小さく呟いた。

「右京さまどこっっ!!!」

「 ! ! ! ! 」


オレは息が止まるくらいのショックを受けた!




「耀が?」
「耀君が?」

「  「  子供になった!?  」  」

「………うん…」


オレはあの後怯えて逃げる耀くんを何とか捕まえてシャワーを 浴びさせて…
暴れる耀くんに服を着せた。
もうえらい重労働だったけどそれよりもオレの事がわからなくて…
右京君を呼んで捜し続ける耀くんを見るのが 辛かった。

とにかく…多分これは一大事で…とんでもない事が起こったんだと祐輔と慎二君を呼んだ。

「………」
怯えてソファにクッションを 抱きしめて座ってる耀くんをちょっと離れた場所から見守ってる。
これ以上近寄ると耀くんが警戒するから。

「本当に子供になってるんですか?」
「……右京君の事しか覚えてないみたいなんだ…ずっと右京君捜してる…」

オレは胸がギュツと締め付けられて苦しくて痛くて辛い…

「なんでこんな事になった?」

祐輔が鋭い所を突いてくる…
「そうですよね?一体何があったんですか?」
「……………」

説明するには…… とんでもなく勇気が必要だった…だって相手はこの2人だし…
きっと…多分…絶対…アレが原因だと2人が来る間に答えに到達した。


「 な ぁ に ぃ ーーーーー っっ!!!

          感じさせ過ぎて気絶させたぁ!!!  」

「 ………………… 」

祐輔は怒りまくりの慎二君は呆れ果ててた。

「このエロ椎凪っっ!!!」

祐輔がオレの胸倉を掴んで物凄い剣幕だ。

「だって…まさかこんな事になるなんて思わなかったんだって!!!」

それは本当だ…わかってたらそこまでしない…

「でもこれって非常にマズイんじゃないですか?」
「え?」
慎二君が真面目な顔で言い出した。

「耀君記憶2度弄られてますから…このままって言うのも有り得るんじゃないですかね?」

「…………」
オレは一瞬で血の気が引いた。

「右京に見せた方がいい。」

祐輔がなんの迷いも無く言い切る。

「…………」

オレだってすぐに思ったでも……
今耀くんを右京君に預けたら もう2度と会えない気がして………頷けない。

「嫌がってる場合じゃねーだろうが!」
「……そうだけど……」
「でも右京さん今日本にいないですよ。」
慎二君がそんな情報を教えてくれた。
「え?」
「はぁ?珍しいなアイツが屋敷離れるなんて。」
「今回は特別。」
「……そっか」
オレは何気に ホッとした。

「ホッとしてんじゃねーよ!!馬鹿椎凪っっ!!!」

「……はい…」

祐輔は鋭い……オレはシュンとなる。


「とにかく今夜はこのままで様子をみるしかありませんね。」
「うん…」
「あの感じは耀君多分6歳に戻ってますよ。ねぇ祐輔。」
「ああ…あの時会った耀と同じだ…オレ達の事…忘れてる耀だ……」

珍しく祐輔が辛そうに言う…当の耀くんはいつの間にか眠ってた…
だよな…散々オレに攻められて…クタクタのはずだし6歳じゃこんな時間まで
起きてられないだろうし…時計を見るともう午前1時になってる。

2人を玄関まで見送ってリビングに戻る。
そこにはクッションを抱いたままソファで眠る耀くんがいた…
右京君には慎二君が連絡してくれるって言うから後は 連絡を待つだけだ…

「耀くん……」

近付いて耀くんの目の前の床に膝をついた。

「本当にごめんね…」
耀くんに伸ばした手が触れる直前で なぜか止まる…
「…………」
だって…でも寝てるから平気かな…そっと耀くんの頭を撫でた…
起こさない様にクッションを退かして耀くんを抱き上げる。
眠ってる耀くんはいつもと変わらないのに……

「起きないでね……ちゅっ…」

いつもより優しく…触れるだけのキスをした。



「くうぅ………」

寝息をたてて耀くんがベッドに眠ってる…今度は頬に優しくキスをした…

「耀くん…オレの事…思い出して…」

いつの間にか瞳が潤んで今にも涙が零れそうだ…
耀くんがこのままだったら…どうしよう…
今の耀くんには右京君しか目に入らない…だから…オレの事なんて…

怖い……怖いよ…耀くん…


「!!!」

気付けば耀くんが目を明けてじっとオレを見てる…

「……あ…」
「どうしたの?」
「…え?」
「こわいの?」
「…耀くん…」

「耀もね…どうしてだかいつもこわいの…
でもね…右京さまがいっしょにいてくれるとぜんぜんこわく ないんだよ…
ねえ…右京さまどこにいるかしらない?あいたいのに……」

「……ごめんね…右京…君は…今此処にはいないんだ…でも…すぐ会えるから……」

堪えてた涙が零れて…頬を伝った…

「そうなんだ…でも右京さまいつもいそがしいから…
でもねどんなにおそくなってもかならず耀のところに きてくれるんだよ。
だから耀右京さまだいすきなの!」

「………!!……そ…う…」

オレは泣きながらニッコリと微笑んだ。

「なきながらわらうなんてへんなの…」
「……はは…そうだね…」
「じゃあいまは耀がいっしょにいてあげる。」
「…え?」
耀くんが起き上がって ベッドの上に正座して座った。
そしてオレの涙を拭ってくれる…

「だからないたらダメなの…ちゅっ!」

「……!!!!」

今度は優しくオレの頬にキスしてくれた…

「右京さまがいつもこうやって耀にキスしてくれるの。そうするとこわくなくなるでしょ…にこっ。」

「……耀くん…」

にっこりと笑う耀くんはいつもの耀くんで…
オレはギュッと耀くんを抱きしめた。

「……!?……」

耀くんは驚いたみたいだけどさっきみたいにオレを嫌がったりしなかった。

「……ごめんね…耀くんごめん……」
「……?…どうして耀にあやまるの? なにか耀にけないことしたの?」
「……そう…したんだ……オレ…自分勝手な事…して耀くんに辛い目に遭わせた…」
「……そうなの?」
「…うん…本当に…ごめんね…耀くん…」

オレは謝って…ひたすら耀くんに謝った……

「…………いいよ…」

「え?」

「ゆるしてあげる。だからもうないたらダメだよ。わかった?」
「………許して…くれるの?」
「うん!ゆるしてあげる。」

「………!!!……ありがとう…耀くん…」


いつもの…耀くんじゃなけど…
オレはそんな耀くんの言葉で…救われた気持ちになったんだ…


何とか説得して耀くんと一緒にベッドで眠る事が出来た…

眠ってる耀くんの寝顔を見つめながら…

早く元の耀くんに戻ってくれればいいなって…