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    右京 : 草g家55代当主。『邪眼』と言う不思議な能力を持つ一族。耀のトラウマを治療してその後耀を養女に迎える。
          耀の義理の父親で耀を溺愛!椎凪を何故か敵視していて事在るごとに色々邪魔をする。世間知らずがたまにキズ…





明日はオレの誕生日。

毎年夜中12時ジャストに耀くんがオレの為にご奉仕のサプライズをしてくれる。
普段からなかなか耀くんからしてくれるなんて滅多にと言うかほとんど無いから
オレはもう天にも昇る気分で舞い上がる。

だから今から夜が楽しみ ♪ ♪ 

そんな幸せの絶頂のオレに不幸の電話が入った。
一瞬にしてテンションは急降下だ。

『僕だよ。』

「…………」

オレがこの世の中でなるべく関わりたく無い相手の1人…
婿イビリが趣味の草g家俺様ご当主様…オレの義理の父親になるであろう男…

「右京君何か用?」

右京君がオレに連絡してくるなんて耀くんがオレにご奉仕してくれる位珍しい。
しかも大体がろくでもない事に決まってる。

『君に話がある。今から屋敷に来たまえ。』

「…………」

話?何の話だ?また何だかんだと難癖つけてオレをイビるつもりか?

『僕の呼び出しに応じないなどと馬鹿な事を考えてはいけないよ。
その時は君の身に信じられない事が起こる。』

「なっ!!何?一体どんな事しようとしてんのっっ!!右京君っっ!!」

『何もしやしないさ。君が素直に屋敷に来るならね。』

「………」

右京君が言うと洒落にならないんだよ!

仕方なくオレは渋々と右京君の屋敷に向かった。



相変わらずの右京君の屋敷。
相当な数の使用人がいるはずなのにオレが目にした使用人の数は片手程しかいない…
なのに右京君が呼べば呼ばれた相手はずっと傍にいたかの様にすぐに現れる…
流石と言うか…何と言うか……

やっぱり流石草g家の使用人…不気味だ!!


「やっと来たかい。」
「これでも急いで来たんだけど?」

電話を切ってすぐに来たのにそれか!?
しかも呼び出したくせに応接間で20分待たされた。
ワザとか?右京君ならありえる。

遅れて来た事を謝りもしないし…オレが待たせたらどんだけ文句言われるか…

「で?話って何?」
さっさと聞いてさっさと帰る!
「いや…大した事では無いのだが…」
「……ドキドキ…」

オレの警戒のレベルはMAXだ!!
右京君がいつもの如く大きな革製の椅子に足を組んで深く座りながら両手を顔の前で握る…

「明日は君の誕生日だそうだね。」

「え?」

何だよ…オレの誕生日だよ…それが何だ?それにそれがたいした事じゃ無いのかよっっ!

って右京君にはオレの事なんてどうでもいいんだよな…気にするだけ無駄だった…


「そう…だけど?」

何だ?何で今更そんな事言うんだ?
今までそんな事コレッぽっちも気にした事無かっただろ?

「僕から君に誕生日のプレゼントをあげよう。」

「は?」

今なんつった?聞き間違い?何かの呪文だった?

「え?」

「だから僕から君に誕生日のプレゼントをあげようと言っているんだよ。聞こえなかったのかい?」

何だよその呆れた眼差しは?

「聞こえてるよ。そう言う問題じゃ……」
「有り難く受け取りたまえ。」
「へ?」
「楽しんでくるといい。」

気付けばいつの間にか右京君の瞳が『邪眼』発動してる!!なに?一体何なんだ?

「…うっ!!!!」

ズン!と後頭部に衝撃が襲った!

「………!!」

意識が遠のく……何だオレ…殴られたのか?全然気配無かったぞ…でも…何で?

「……右京…く…」

「…甘いな…君は…フフ」


薄れていく意識の中で右京君のそんな言葉が聞こえて来た…



「………」

ぼんやりと視界が開けた…

「………ん?」

頭の中がボーっとしてる…

「……オレ……ハッ!!!」

ガハッと起き上がったらベッドの上だった…しかも見慣れない部屋の…

「何処だここ?」

何処かの建物と言う感じじゃ無い…レースのカーテンから微かに見える景色は空が見えた。

ただ…さっきから嫌な予感がするのは何でだか潮の香りと波の音が聞こえてくるって事だ。


「………」

建物自体は木造作りの平家っぽい…
でもこの感じはテレビなんかで良く紹介される南国のホテルの様な……

長い廊下を歩いて突き当たりの扉を開けると目の前にパノラマの夕焼けの空と
地平線と海とプールが飛び込んで来た!

「何だよ…ここは…」

もう目眩がする…
リビングはだだっ広い…その中はアジア系の家具で統一されてる…
キッチンはアイランド式でこれまた大きく取ってある。

冷蔵庫には溢れんばかりの食料と飲み物と…

場所も部屋も食材も申し分ない!!
ただ1つここに居るのがオレだけだって言う事を除けば!!だ!!


「右京君めぇ〜〜一体何考えてんだ〜〜!!…ん!?」

腹ワタ煮え繰り返ってるオレの視界に封筒が1つ。
真っ白な封筒がこれまた腹が立つ!
オレはテーブルの上の真っ白な封筒を乱暴に鷲掴んでドスッ!!っとソファに座った。


「…………はぁ?」

『君に誕生日のお祝いに南の島のバカンスを提供しよう。たまには1人でのんびりと過ごしたまえ。
明日迎えに行くからそれまで有意義な誕生日を送るといい。言っておくがその島には君1人だ。
とても快適な生活が出来る様に計らっておいた。存分に1人の時間を満喫したまえ。』

「って快適な生活送らせるつもりなら使用人の1人や2人置いとけっつーんだよっ!!
結局これじゃ自炊じゃねーかっ!!!くそっ!!」

オレは手紙と封筒をグシャグシャに握りつぶして床に思い切り叩きつけた!!

「しかも携帯ねーし…電話も無いじゃんかよっ!!!かーーーーっっ!!!ホント腹立つっ!!!」

完璧オレを世間から…いや…耀くんからから隔離しやがったなっっ!!くそっっ!!



「はぁ…まったく…やってくれるよな…お義父様ってば……」


テラスからは気持ちいい風が入って来る…
オレは力無く立ち上がってヨロヨロとテラスの手摺りにしがみつく。

「……耀くん…」

その方角が耀くんのいる方角なのかわからなかったけどとにかく地平線を見つめた…
夕焼けの空は段々と夕闇に変わり始めてる…

「 耀く〜〜ん!!会いたいよぉーーーー!! 」

恥も外聞も無くオレは海に向かって叫んだ。
だって…今夜オレはここで1人ぼっち……

「クスン……」

1人なんて嫌だ…
情けないって言われても女々しいって言われてもオレは耀くんがいないと腑抜けになる。

オレは耀くんがいないと生きていけないから……ちょっとでも耀くんと離れるなんて耐えられない!!

「って言ってもなぁ……」

きっと今頃オレがいないのを良い事に…耀くんを自分の所に連れて来てるに決まってるんだ!!

「くそーーーー!!草g右京っっ!!テメェ帰ったらぶっ殺すっっ!!!」

今度は星が煌めき出した空に向かって叫んだ。

「はぁ〜〜〜………」

オレは手摺りにがっくりとうっつ伏した。




「チッ!」

オレはやけくそのふて腐れでやけ酒だ!

でも酔っても酔っても想うのは耀くんの事ばかり…まだオレの誕生日には2時間程ある…
本当なら今頃耀くんのひざ枕でゴロゴロイチャイチャで12時が来るのをワクワクしながら
待ってたはずなのに……

「……うー……」

どんだけ飲んだんだろう…
オレは無意識に寝室までたどり着いて1人で寝るには広すぎるベッドにダイブした。


「……ウィ………」

俯せのまましばらくぼーっとしてた……

「…耀くん…クスン…」

あんまりお酒に強くないオレは落ち込みも後押しして許容範囲を越える程の酒を飲み
いつの間にか眠りに落ちた…

どうせ起きてたって何にも良い事なんてありゃしないしせめて夢で耀くんに会いたい……

耀くん…夢で良いから……オレに会いに来て……

愛してるから…オレに……会いに………



『……な』

「……ん?」

『しい……な…』

「ん?」
『お酒飲んだの?大丈夫?』

「……よう…くん?」

夢うつつの頭に耀くんがオレを呼ぶ声がした。

『なあに?』

「会いに…来てくれたの?」

『うん。』

「ありがとう…耀くん……う〜〜〜右京君ってばヒドイんだよぉ〜〜クスン!
オレを1人ぼっちにしたんだ…耀くんと離れ離れにされたぁ……」

オレは伸ばした手に触れた多分耀くんの身体に抱き付いて半ベソだ!

『もう…椎凪ってば……でもちゃんとこうやって会いに来ただろ…もう大丈夫だろ?』

ああ…何気に頭を撫でられてる感じがしてオレは安心する。

「うん……会いたかった…耀くん……夢でも…いいから…会いたかったよ…」

『ホント酔ってるんだね…椎凪…しっかりして…』

「んーーー……」

ボワンとする耳で…遠くから耀くんの声が聞えてる感じで…
耀くんが離れて行かない様にギュッとしがみ付いた。

「もう…何処にも行かないで…耀くん…ずっと…オレの傍にいて……」

耀くんの身体にもっとスリスリして甘えた…
だって夢だもん…目が覚めたらまた1人ぼっちになっちゃうから……

そんなの嫌だ……

『ずっと傍にいるよ…』

「耀くん……抱きたい……」

オレは目を瞑りながら上半身だけを起こして耀くんにすがる様に抱きついた。

『いいよ…椎凪……椎凪の…好きな様に……』

「うん……だって…今日は…オレの誕生日だもん……ね……」

誕生日……なんて胸にグッサリと来る言葉なんだろう……
1年に一度の……オレの楽しみが……

こんな理不尽な形で奪われようとは………

だから夢の中だけでも……幸せな気分でいたい…
だから乱暴に耀くんの着てる服を脱がせてベッドに押し倒した。

酔ってるせいもあったのかボーっとする頭で耀くんの身体中を噛んだ。
時々痛がる耀くんの声が聞えた気がしたけどオレは気にせず耀くんの身体をうつ伏せにする。

『…う…あんっ!!!』

耀くんの身体に覆い被さっていきなり押し上げた。
押し上げられる耀くんの身体をしっかりと押さえつけて攻め上げる…

「……耀くん……」

片手をベッドについて…片手で耀くんの腰を抱きかかえてオレの方に引き寄せた。

『……あっ!…ああ!あっ!あっ!』

夢の中なのに…いつもの同じ耀くんの声……
いつもは耀くんの様子を見ながら加減したりするんだけど…
今は夢だから加減なんかしない……

攻めて…攻めて……

ベッドが軋む音がずっと続いてる……
耀くんの髪の毛が…サラサラ…オレが動く度に綺麗に揺れてた……

いつもと同じ耀くんの身体……
オレの手にピッタリで…オレだけの為に作られた身体……だからオレの好きな様にするんだ…

身体の中でも特に弱くて敏感な胸をしつこいくらいに攻めた…
揉んで…指で攻めて…舐め上げて……吸い付いた…

その度に耀くんはビクンって跳ねて…オレを押し戻す…

「もう…夢の中ぐらい頑張ってよ…耀くん…」

ベッドの端にあった耀くんの着てた服で耀くんの腕を後ろ手に縛る。
いつもしてる事だけど…酔ってるせいか結構キツく縛ったらしい…
耀くんが何か言ってる……痛いって…言ってるのかな???

「じゃあ…その痛みを忘れるくらい愛してあげる ♪ ♪ 」

オレはそう宣言すると今度は耀くんを仰向けにして思い切り舌を絡めるキスをしてあげた……

キスをしながら今度もちょっと強引に耀くんを押し上げた…
耀くんの身体の奥に…奥にオレの身体を押し進めて行く……

気持ちいい……

そんなオレを受け入れながら………耀くんが大きく仰け反った……

耀くんの口から零れる言葉を……全部オレの口で塞いで……

耀くんの上で……大きく動き出した……



それからは…記憶が曖昧で…あんまり覚えてないし記憶が無い。
ただテラスから繋がるプールに生まれて初めて裸のまま2人で飛び込んだのは覚えてる。

耀くんが裸とオレが酔ってるのを心配して何か言ってたみたいだけど
あえて無視して耀くんを抱き上げたまま飛び込んだ!

何度かそんな事をして酔いが更に回る……
クラクラのフラフラになりながら這い上がったプールサイドで
耀くんを捕まえて…押し倒して…腿を抱え上げて……強引に抱いた。

泣いてるのかな……耀くん…
それとも…プールの水なのかな…?舐めても味が分らないからどっちかわからない…?

でも…もうそんな事を考えるのも面倒だ…

気を許すと…意識が飛びそうになる…

そんなの……嫌だ…だってこんなに楽しいのに……
こんなに耀くんと愛し合えてるのに……眠るなんて嫌だ……

目が覚めたら……夢が終わっちゃう……
耀くんが…いなくなっちゃう……

やだよ……そんなの…オレやだ……
耀くん…オレを1人にしないで……オレを置いてかないで……

だからもっと…オレの相手をして…オレを満足させて…オレから離れないで……

オレを……もっと……もっと……

愛してるって……言って……