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「そうだ…そういえば『TAKERU』で毎年カウントダウンパーティー
やってるんだってね?今年はオレも是非って慎二君に誘われたんだー
耀くんはいつも参加 してたんでしょ?」
椎凪がオレに訊ねる…
「うん…でも…慎二さんも祐輔も…TAKERU関係の人の相手しなくちゃいけないから…
オレは料理食べるの専門か… な?なるべく…人目に付かない様に…してるんだ…」
「じゃあ今年はオレが一緒だから大丈夫だね!」
「………」
「耀くん?どうしたの?」
椎凪が不思議そうに オレを見ながらそう言った。
「…も…う…椎凪の…ばか…あっ…むりっ…しゃべれ…ない…よ…」
そう…今オレは椎凪に組み伏せられて何時間も攻められ続けて… グロッキー寸前の状態…
相変わらず椎凪は余裕でのん気にオレに話しかけてくる…
ほんの一ヶ月前まではキスしか知らなかったのに…
今じゃ毎晩の様に椎凪に抱かれ続けてる…
椎凪の場合朝も求めて来るから ホント一体どんな身体してるのか不思議でしょうがない…
そんなにオレの事抱きたいのかな…?一度誘いを断って話しながら寝ようって言ったら
半べそになって 『オレの事嫌いになったの?他に好きな人ができたのっ?』って泣かれちゃった…
オレはただたまにはそう言うのもいいかなって思っただけなんだけど…
椎凪は ホントに心配性…オレも椎凪の事言えないけどさ…
「ねえ…椎凪…こーゆー事って毎日しなくちゃいけないの?」
前にも聞いた事のある言葉…
「そうだよ!」
椎凪が即答した。
「オレは毎日耀くんを抱いて現実を確認しなきゃいけない。」
「それって…オレが椎凪の傍にいるか確かめてるって事?」
「ちがうよ…」
椎凪が落ち着いて静かに話す…
「オレがちゃんと存在して耀くんの傍にいるって…実感したいんだ…」
「椎凪はちゃんとオレの傍にいつもいるよ…」
「耀くん…」
椎凪がキョトンとした顔をする…
「大丈夫だよ…椎凪はちゃんとオレの傍にいるから…
オレがちゃんとつかまえててあげるから…オレが椎凪の事離さないから… だから…安心して…」
そう言って椎凪の頬を優しく撫でた…椎凪が目を閉じてオレの手を自分の顔に強く押さえつけながら
「…うん…」
って返事をした…

そうなんだ…つかまえてるのは…オレじゃなくて…
耀くんがオレの事つかまえて離さないでいてくれてるんだよね…
耀くん…オレ…耀くんに会えて本当に良かった… 耀くんと出会ってオレの人生変わったのわかる…
耀くんだけじゃない…皆に逢えて本当に良かった…

みんな…オレをオレでいさせてくれる…


相変わらず『TAKERU』のパーティーは盛大だ。
カウントダウンって言うのもあるからかもしれないけど各界の有名人も参加してる。
見た事のある芸能人の顔も 何人かいた。
慎二君は忙しそうに動き回っている。
若いのに『TAKERU』の中では重要なポストにいるらしい…
祐輔はと言うとこの日の為に髪を伸ばせさ せられポスターの撮影と同じ状態で参加するように
慎二君に命令されていたらしい。
祐輔のポスターも評判がいいらしくモデルが誰なのか問い合わせがあるそうなん だけど
祐輔がそう言うの大嫌いだからモデルが誰なのか誰も知らない。
なので大きなパーティーの時に祐輔を参加させてお客さんの相手をさせられてる…
祐輔目当ての女の人が結構いるのに驚いた。
しかも女性の参加者のご機嫌取りに使われてるからさっきから酔った女の人や
祐輔目当ての女の人『TAKERU』の モデルの女の人に散々いじられ絡まれて
挙句の果てに揉みくちゃにされキスまでされる始末…もちろんクチビル!皆…スゴイ…
でも何が一番スゴイって… 祐輔に文句を言わせずにやらせている慎二君がスゴイと思う…
深田さんが参加してない事に今…納得した。
耀くんも何人かの人に揉みくちゃにされ頬ずりされていた。
ほとんど年配の女の人や男性なのに女の方とか…男ならオレが許さないけど
みんな耀くんに会えて喜んでたし逆にオレと言う恋人が出来た事に
落胆しつつも喜んで くれた人ばかりだったから…
耀くんはオレが運んで来た料理を嬉しそうに食べてる。
「沢山食べてね。耀くん。」
オレは耀くんを見つめてニッコリ笑う。
「うん。今年は椎凪がいるからオレすっごく楽しいよ。」
この広い会場でオレ達は2人の世界で幸せだった。
暫くすると祐輔と慎二君がオレ達の所に戻って来た。
「2人共楽しんでくれてます?」
慎二君が本当に嬉しそうにオレ達にニッコリと笑いながら聞く。
「うん。料理も美味しいし周りを見てて飽きないから。でも祐輔 良く耐えてるよね… 」
怒るかと思ったけど聞いてみた。
「ああ?あー別に和海以外とのキスなんてキスとは思わねーし…
相手の女も誰だったか全然覚えてねーし… あんま興味ねーから…」
スゴイ…そこまで相手の事遮断出来るんだ…って言うか関心なさすぎ?

「約束だから当然だよな?祐輔。」

突然オレ達の後ろから 声がした。聞いたことのない声だ…
「 !? 」
祐輔の顔色がその声を聞いて一瞬で変わる…戦闘モードになってる?
「テメェ…何しに来やがった……」
振り向くと歳は50代か60代…その男は笑いながら立っていた。
祐輔はこの男を知っているらしい…しかも好戦的…
「孫に会いに来ちゃいかんのか?祐輔? それにここは『TAKERU』のパーティー会場だろ?
私が来ても何の不思議もなかろう?」
そう言って更に笑った。
え?祐輔が孫?って事は…この人…
「祐輔のおじいさんっ?新城たける?!」
思わず叫んじゃったよ…!!
「社長!!」
慎二君がそう呼んだ。やっぱり新城たける…
「オレはテメーなんかに 会いたかねーんだよっ!さっさと帰れっ!!
テメーの言う通り生活してやってんだから何も文句言われる筋合いはねーぞっ!!
早く帰りやがれっ!!」
祐輔がこんなに感情をあらわにするなんて初めて見た。
慎二君に目線を送るとクスクス笑ってるし…
「相変わらずギャンギャンうるさいなーお前は。少しは強く なったか?
いつも私に負けてばっかりだもんなぁ…お前。」
え?祐輔が負ける?
「うるせーんだよっ!!死ねっ!!」
我慢の限界が越えたのか祐輔が おじいさんの胸倉を掴んだ。
最初から我慢なんかしてなかったのか??
あっと言う間だった…先に手を出した祐輔が相手に背負い投げをされ
思いっきり床に 叩きつけられたっ!!
「がはっ!!……痛って…」
祐輔が…負けた?しかも秒殺…?…自分の目を疑った…
「この未熟者がっ!」
祐輔を投げ飛ばし更に 一喝入れたおじいさんをオレはまじまじと見つめてしまった…

慎二君が言うにはいつもの事で祐輔が勝った事はないそうだ…信じられない…
『おじいさんの言う事は 聞く!』それが2人の約束でしかも勝負して負ければ
負けた分おじさんの言う事を聞かなくちゃいけない。
今日投げられた分はおじいさんがこっちにいる間一緒にホテルで生活する事になったらしい…
おじいさんは祐輔の事が可愛くて?仕方ないんだそうだ…でも祐輔はおじい さんの事が嫌いなんだって…
慎二君は『好きの裏返しなんだよ。』って言ってたけど…本当にそうか疑問だ…

彼が来た事で会場が一気に盛り上がる。パーティーは これからが本番だ…


オレと耀くんはテラスに出て満天の星空を2人で眺めた…
抱き寄せて…深い深いキスをする…ついさっき新しい年を迎えた。
新しい年をまたいでのキスだ…なんて素敵なんだろう。

会場では新年を迎え更に盛大に盛り上がっている…