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「どうしたんだい?」

何やら部屋の外が騒がしいのに気付いて右京が近づいてくる。
「右京様!」
耀の世話係を任されたメイドの雪乃が右京に気付いて慌てて いる。
「耀様をお風呂に入れて差し上げようとしたんですが…嫌がって…あっ!」
雪乃の隙をついて耀が右京に抱きついた。
「耀様っ!!なんて事を…」
この草g邸で右京に抱きつくなど使用人の雪乃から見ればとんでも無い事なのである。
慌てて2人に近づいた。
「構わないよ。」
そう言って雪乃を静止する。
「僕は嫌じゃないのかい?」
「……」
無言で耀が頷いた…目にはうっすら涙が浮かんでいる…
この屋敷に来てすぐに記憶を6歳に戻され最初に会ったのが右京…
その後しばらくの間2人で色々な話をして優しくしてくれたのが右京だったからか
耀は右京以外には怯えてしまうらしい…

「大丈夫。怖くないから彼女の言う事を 聞きなさい。」
怖がらせない様に優しくそっと言った。
「……」
それでも耀は無言でずっと首を振り続ける…

「……わかったよ。じゃあ僕と一緒に入いるかい?」

「右京様っ!?」

驚いたのは雪乃である。
「身体は雪乃が洗ってあげなさい。」
右京は至って真面目らしい。
「は…い…」
右京の命令は絶対… 反論は許されない。
雪乃は一歩後ろに下がると深々と頭を下げた。


屋敷の中に雪乃の声が響く。
「耀様!」
その声と一緒に扉を力任せに開ける音が続く…

「耀様っ!!」
耀を追いかけて雪乃が廊下を走っている…
耀はそんな事は お構い無しに何かを探す様に次から次へと部屋の扉を開け廻っている。
そして幾つ目かの扉を開けるとそこには右京が大きなソファにゆったりと座り本を読んでいた…
耀は屋敷の中を右京を探し廻っていたらしい…右京を見付けると思いっきり抱きついた。

「よ…耀様!何をしてらっしゃるんですかっ!!」
少し遅れて入って 来た雪乃が右京に抱きついている耀を見て慌てて言った。
「申し訳ありません…右京様!すぐお連れしますので…」
「いいよ…雪乃。わかってる…心細いんだよ… この子は…」
そう言って泣いている耀を右京は優しく抱きしめてあげた。

この僕に何も臆する事無く抱き付いて来たのは君が初めてだよ…
これでも簡単に 近付けない様に『気』を出してたのだけどね…君には…無駄なんだね…

不思議な子だ…


物心ついた時から一人で寝ていた…誰かと一緒に寝るなんて初めてだ…

一緒のベッドに入っても耀はずっと泣いていた…怖がらない様にそっと声をかけた…
「眠れないのかい?」
「こ…わい」
「こわい?何が怖い?」
「わ…かんない…ぐずっ…でも…こわい…」

この時の耀は既に母親が亡くなっている…自分が愛人の子供とはまだ分っていないから
母親の死だけの恐怖が残っているのか…

「大丈夫だよ。僕がついているよ…何も心配しないで眠りなさい。身体にさわるよ。」
それでも不安そうに僕を見つめて涙を溢す…
「ずっと…朝まで…耀のそばに…いてくれる…?」
そっと布団を掛けてあげた…
そのままその手を頬に当てて顔を 持ち上げて視線を合わせる。
「ああ…ずっと傍にいるから…心配しないで。」
そう言ってオデコにキスをしてあげた…

本当に不思議な子だ…守ってあげたく なる気持ちにさせるね…君は……
本当に君は…特別な子だよ…


耀は僕にとてもなついた…気分転換に外に出ると僕の為に花を摘んでくれた。
いつも僕を探して僕がいないと探し回る…

「右京様?右京様どこ?右京様ぁ…どこぉ…?」
「耀!」
「!! 右京様っ!!」
そう言って僕を見付けると思いっきり僕に抱きついてくる…
「ごめんよ。 客人がみえててね…話が長くなってしまって…」
「う…」
僕の胸に顔をうずめて泣いている…
「本当に耀は寂しがり屋だね…ふふっ…」
「だって…だって… 一人はイヤ…こわい…もん…」

僕は母が亡くなってから人に甘えた事なんて無い…人に甘えられた事も無い…
そう…耀が初めて…初めての経験だよ…耀…
自分の中に何故か暖かいものが灯る…これは一体何だろう…?

耀君が右京さんの所に来てから3日目…大分落ち着いたと言うので会う事が出来た。
耀君は 庭を探検中だとか…

「耀!おいで。」

右京さんが耀君を呼んだ。
『へ?耀?おいで?』
思わず耳を疑った…
祐輔も同じらしい…2人して何とも不思議な 顔になった。

「ちょ…ちょっと待て右京…なんか前と呼び方がビミョーに違う気がするんだけどな…?」

『ナイス!祐輔。良く聞いたよ。僕は聞けない…』

「当たり前だろう…耀は今6歳なんだよ。君達の事も知らないんだからね。
僕しか頼る者はいないんだよ。耀君とも呼べないだろ?」
た…確かにそうだけど…そう考えて いると耀君が僕達の所にやって来た…
警戒する様にすぐ右京さんの後ろに隠れてしまう。
そしてしっかりと右京さんの腕にしがみついている…
僕も祐輔もとても やり切れない気分だった…

…僕達の事を知らない耀君…

「心配しなくていい。僕の友人だよ。」
「右京様の?」
『右京…様?』
祐輔の顔が引きつった。
何故か右京さんの耀君を見る目が…以前と違う様な気がするのは僕の錯覚…?

応接間に通され右京さんの話を聞いた…

「6歳に戻した時耀に自分の事を 話させたんだ。そうしたら母親の記憶しか無いんだよ…
父親は殆んど耀と暮らしてはいなかったみたいだね。
まあ暮らせなかったと言った方が正しいのかもしれない けれど…
父親も耀の事は手に余っていたのだろう…だから今まで放っておいたのだろうけどね…」
右京さんが静かにそう言った…
その時部屋の扉をノックする 音が応接間に響いた。
「誰?」
「右京様…」
耀君が遠慮がちに少し扉を開けて顔だけ覗く。
「ああ…そうか9時だね。お入り。」
嬉しそうにニコニコ しながら耀君がこっちに走ってくる。
「?」
僕と祐輔はそれをジッと見ていた。
右京さんの座るソファに近づくと耀君が右京さんの顔に自分の顔を近付ける…
「おやすみなさい。右京様。」
そう言って耀君が右京さんの頬にお休みのキスをした。
「おやすみ。」
右京さんも平然とそのキスを受けてる…
「  !!!  」
僕と祐輔はビックリして顔に出ていたんだと思う…右京さんが僕達を見て言った…

「子供は寝る時間だろ?」

当然と言う様な顔で言う。
『いやっ… そこを驚いてるんじゃない…』
と祐輔が心の中で思った…
『耀君…右京さんに教育されてる…』
と僕も心の中で思ってた…

何か… 僕が思っていたのとは大分違った方向に進んでいる様な気がするのは…
気のせいなんだろうか…?


胸の中の暗い穴が…広がっていく…小さくなってきた…穴が…また…
…耀くん………早く…逢いたいよ…

祐輔と慎二が耀に会いに右京の所へ行っている時…
椎凪は祐輔の所にも帰らず街をフラフラ彷徨っていた…

毎日が勝手に過ぎていく…時間も…良く分からない…
ただ朝になるから起きて…祐輔が仕事に行けと言うから 仕事に行って…
時間が来たから…祐輔の所に帰る…
でも…今日はその祐輔も慎二君の用事で今は部屋にいないから…
一人で部屋にいるのはイヤだから…

夜の街を 一人でふらつくなんて随分久しぶりだ…
耀くんと一緒に暮らすようになってからは一秒でも早く
耀くんの待っている部屋に帰りたかった…
街だって…いつも耀くんと 一緒に歩いた
そんな事を思い出して…また…目の前が涙でかすむ…
そんな時4・5人のグループにぶつかった。
「…わるい…」
そのまま通り過ぎようとして 腕を掴まれた…


仕事場の進学塾からの帰り道…
夜の公園で人影が浮かんでる…足元にはうずくまる人影もあった…喧嘩?…ん?
良く見ると一人立っている のは慶彦じゃないか…
え?こんな所で何やってんの?確かめようと近づくと慶彦の顔が見える…
今まで…慶彦が喧嘩をしている所を見た事は無い…
でも… あの慶彦は…隠している慶彦だ…
でも…今日は…今までに見た事も無いほど…殺気がみなぎっていた…
思わず鳥肌が立つ…

「何だよ?もう終わり? そっちから仕掛けといてそれは無いんじゃないの?」

余裕で話しかけてる…
「オレさ…今メチャクチャ機嫌悪いからさ……お前ら…死んでよ…」
そう言いながら見下ろした瞳はとっても暗くて重い…
本当はもっとこの慶彦を見ていたかったけど…マジでやりそうだったから声を掛けた。

「慶っ!ストップ!」


慶彦が僕のベッドで無防備に横になってる… 襲ってくれって事か…?
一応親切にも聞いてみる事にした…

「どうしたの?何かあったの?」
目だけを動かして僕を見る…それすらも気だるそうだ…

「……耀くんが…いないんだ…オレの傍に…いない…」

無気力な声…
「え?耀君が?何?別れたの?」
それしか考えつかなかった。

「えっ…縁起でもない事言うなっ!!」

慶彦が突然起き上がって反論した…なんだ元気じゃないか…
「じゃあ何?」
「今ね…女の子に戻りに行ってる…」
「女の子に?」
「うん…でもオレ…傍にいれないの…いちゃダメだって…」
重い息を吐く…

「オレさ…亨の言ってた事分かったんだ…耀くんとのキスは すっごく幸せだった…
だから朝も昼も夜も…いつもしてた…毎晩愛し合ったよ…
耀くんオレがいくらしつこく抱いても激しく…乱暴に抱いても オレの事受け止めてくれてた…」

慶彦の頬に涙が零れる…

「いつもオレの傍にいて…オレの事呼んでくれて…オレの料理いつも美味しく食べてくれる…
いつも触れて…抱きしめて…キスして…
オレの事好きだよって…愛してるよって言ってくれる…」

「慶?泣いてんの?」
僕はビックリしてしまった…
「でも帰ってくるんだろ?」
「う…ん…でも…いつになるか分からないって…それにオレの事忘れちゃうかもしれないって…
でも…それでも良かったんだ…耀くんが 女の子に戻れるなら…オレの事忘れたって…
オレ達また恋をすればいいんだ…」
「じゃあどうしたの?何落ち込んでんの?」

「耀くんに…逢いたい…」

慶彦が切ないくらいの思いを込めて言った…

「耀くんに逢いたい…触れたい…抱きしめたい…愛し合いたい…」

涙をポロポロ流しながら話す…

「こんなに淋しくなるなんて思わなかった…待ってられると…思ってたのに…」

…こんな慶彦初めて見た……子供みたいな慶彦…

「だめなんだ…オレ…耀くんが いないと…耀くんが支えてくれないと…」

本当の慶彦…本当は誰かに甘えたくて…全てを支えて欲しかったの…?
あの子…それ…わかってたのか…?慶彦の事わかって たんだ…

「抱いてあげようか?慶彦…」
そう言って泣き続ける慶彦の頭をそっと撫でた…
「………」
無言で首を横に振る。
「そう?」

「もう… 耀くん以外とは誰ともしない…ありがと…亨…」

耀くん以外か…あの慶彦がね…そんなに好きだったんだね…
あの子の事が恋しくて…恋しくて…悲しいんだ…
「もうどの位逢ってないの?」
この落ち込み様からすると大分会っていないのかと思ったから…

「今日で…3日目…ぐずっ…」

…はぁ?…
一瞬何故か眩暈がした…3日目で…これ?この状態?
「よ…慶彦…これから先あとどの位逢えないのか分からないけど…
3日でそれだろ?生きていけるの?」
慶彦が明らかにショックを受けたのが分かった。
触れちゃいけない所を触れたらしい…余計泣きがひどくなった…

「 うーーー…耀く……ん… ぐずっ…えぐっ…うっく…」

なんだろ…?なんか…すっごく…ウザイ!!
「もーほらっ!泣くんじゃないよっ!!大の大人が何してんだい…しかっりしなよ。慶彦!」
そう言って横になって泣いている慶彦を引っ張って起こした。
「だって…うっく…」
起き上がった慶彦は目に涙を一杯溜めて…僕を見上げる…

「 うっ!! 」

僕の心臓がドキリとなった…
僕を見上げた慶彦の顔が…かっ…可愛い…慶彦のこんな顔…初めて見た…
「いつもは耀くんが慰めてくれるんだよーっっ…うー…」
そう言って更に泣き出した…

…ダメだ…久々に慶彦に対して『 S 』の血が燃える…
僕はまた眩暈がしたような気がした…もっと…いじめて…泣かせたいっっ…!!


その後慶彦の携帯に新城君から連絡が入った…
部屋に慶彦がいないのを心配してらしい…

「オラッ!!帰るぞ椎凪!手間掛けさせんじゃねーっ!!」
来た早々顔に怒りマークが浮き出てた。
「う…ん」
それに比べて放心状態の慶彦の気の無い返事…
「ここに泊まる?慶彦。」
「ううん…帰る…」
ノラリクラリとトロトロ歩いている…

なんかそんな態度が…もの凄くウザイ!!
そう思った時新城君の制裁の鉄拳が慶彦の頬にバシリ!と入った。

「テメェ…ボケッとしてたら張ったおすって言っただろ!!
あんまりグダグダやってっと捨てるぞっ!椎凪!!テメェうぜぇんだよっ!!!」

あ!ハッキリとウザイって言った…

「うー!!ごめんっ祐輔っ…!!もう泣かないから許してよぉ…」
怒鳴られた慶彦が新城君に抱きついて喚き出した…
「んじゃ…行くぞ!」
「うん…」
確かあの子の高校時代からの友達って言ってたな…
「じゃあね…亨…」
「ああ…慶彦またおいで。」
新城君に引っ付く様に玄関から出て行く…
新城君はそれを気にする風でも無く慶彦を連れて行った。
二人の事が…一番分かってるって事か?でも…一番の被害者かな?
あの慶彦相手じゃね…僕じゃお仕置きしまくっちゃうね…
…ご苦労様…
僕は心の底からそう思った。



部屋に戻っても椎凪のイジケモードは直らない…

「お前さ…いつも耀にどうやって慰めてもらってんだ?」
あんまり聞きたく無いが…
「えー…いつも耀くんがオレを見つめてくれてオデコにキスしてくれる…
怒ってないって…嫌いじゃないよって言ってくれるんだ…」

「…!なっ…!!」

予想はしていたが…そこまでとは!!…顔が引きつる…
でも…この落ち込み様… どうにかしねーとこっちが凹む…
仕方なく椎凪の顔を持ち上げて…オデコをくっ付けて…言ってやった…

「元気出せ椎凪。耀は必ず帰ってくるから…な!」
「 ! …本当に…帰ってくる? 」
すがる様な目でオレに聞いてくる…
「ああ…帰ってくるよ…」
ヤバイ…顔が…引き攣る…
「 ? は? 」
椎凪がオレをジッと見つめたまま黙りこくってる…まさか…??
渋々オレは椎凪のオデコにキスしてやった…何でオレがこんな事…!!
「わかった…待ってる… ぐずっ…」
「な…なら…さっさと…メシ食べろ…」
握った拳がブルブル震える…かーっ殴りてーっ!!

そんな努力も長続きしない…オレだけじゃ足りなくて 和海まで相手をする羽目になった…

「えっと…耀さんは必ず帰って来ますから…元気出して下さいね。ちゅっ!」
そんな光景を見てハラワタが煮えくり返る。
椎凪…特別だぞ…耀の為に仕方なくだからなっ!!感謝しやがれっ!!

椎凪の落ち込みは底無しだ。
どんだけ耀がコイツに必要かは分かってはいたが… 今回思い知らされた…

いつもより大分早い時間に目が覚めた…
何でかと思えば椎凪がガッシリとオレを抱きかかえてたからだ…
「耀くん…」
どう見てもオレを耀と 間違えてる…今にも抱きそうな勢いだ…
オレの首筋に顔をうずめてオレの上に覆い被さってくる。
流石に朝からキレた!!

「何しやがるっ!!バカ椎凪っ!! 目覚ませっっ!!」

思いっきり頭を掴んで押し戻して顔面に1発入れてやった。

「 ??? 」

椎凪の奴は何が起こったのかわかってない…
顔を押さえな がら無言でオレを見てる。
「寝ぼけてんじゃねーよっ!!」
そう怒鳴っても椎凪はキョトンとした顔だった。
朝は朝で…
「おい…椎凪。お前コーヒーに 砂糖入れねーだろ?」
「え?…ああ…」
目が死んでる…
「ったく…早く喰え!」
そう言ってパンを口に押し込む…そうしないと食わないから…
口に物が入ったから仕方なく口を動かしてるらしい…
毎朝見送らねーと仕事行かねーし…毎朝毎晩

「耀くん明日は帰って来るかなぁ…」

ってオレに聞く…ウザいったらありゃしないがもういい加減慣れた…
職場では和海が面倒を見てる…
でも和海が止めないと犯人に手加減しないでいつまでも殴り続けてるって言ってたな…

一番の被害者祐輔…これから2ヶ月近く この生活が続く…


同じ頃…耀の入浴時間。
未だに耀の精神年齢は6歳のまま…
自分に甘えてくる耀が可愛くてしばらくそのままだったらしいと言う噂が…

「右京様。右京様。」
「 ? 」
ジャブジャブと右京に向かって耀が近寄ってくる。
「 見て見て。 」
そう言って右京に向かって手で作った水鉄砲を見せた。

ぴ ゅ っ! 

「あっ!!」
「 ぶっ! 」

思いっきり右京の顔にお湯がかかった。
ポタポタと右京の顔から滴が落ちる。
「ごめんなさい…右京様…」
「耀様!右京様になんて事をっ!!
申し訳ありません右京様…どうか大目に見てあげて下さい…」
右京の濡れた顔を拭きながら雪乃が慌てまくる…
「大丈夫だよ雪乃…子供のする事にいちいち怒る訳ないだろう?耀おいで。」
そう言ってチョイチョイと手招きをして耀を呼んだ。
ちょっとシュンとなりながら 右京に近付いて行く。

ばしゃっ!

「あっ!」

さっき右京にかかったお湯よりも大量のお湯が耀の顔にかかった。
右京が同じ様にやり返したからだ。

「げほっ…もーヒドイっ! 右京様っ!!お湯飲んじゃったっ!!ぐずっ…」

そう文句を言いながら半べそになる。

「騙される耀が悪いんだよ。」
そう言ってニッコリ右京が笑う。
「もっと練習するんだね。じゃないと僕には勝てないよ。」

「するー。もっと練習して絶対右京様に勝つー!!」

会話だけ聞いていると本当に小さな子供といる 様な会話だ。
見た目は大人だが…

一緒にお風呂は耀の精神年齢が中学生になる頃まで続く。

        椎凪が知ったらどうなる事やら…