3話:惇哉&瑛未 ワクワクのCM撮影の巻
撮影は至って順調に過ぎて行った…本当はもっと時間が掛かってもいいくらいなのに…
「へぇ〜スゴイねこの機能…でもオレは使わないかも…」
「そうですか? 実際使ってみると重宝するかもですよ。」
録音はされてないから本当に携帯絡みで世間話。
「なんせ一番使いたい相手の由貴が携帯使わないからな…」
「え? そうなんですか?」
「そう。通話とメールさえ出来ればOKだし何で電話掛けて来たんだって
文句言われるからさ…結構由貴って冷めてるんだよね…」
「えーそんな風には見えないけど…」
「いつも苦労してるんだよ…オレ。遼平は? 毎日ラブコール?」
「毎日…ですけど、一体何の用だったのか毎回不明ですね」
「まあ人それぞれだけどさ…あ! この携帯に入ってるゲームオレのと同じ ♪
ちょっとやっちゃおうかな〜瑛未ちゃん勝負しない?」
「え? 良いんですか? あたし本気出しちゃいますよ〜ふふ…」
「よし! 受けて立つよ ♪ 」
そんなこんなでOKが出ても2人共勝負に夢中だった。
その後はお互い1人ずつの撮影。
初めて生で見る惇哉さんの演技で…もう目の前がキラキラ輝いて…
かっこよすぎなんですけどっっ!!!
でも、素の状態の惇哉さんの方がステキ♪
遼平も惇哉さんくらい穏やか〜になればいいのになぁ…。
あいつってば穏やかなのって外面だけだもん。
可愛くないヤツー…。
ぽーっとした顔で惇哉さんに見とれていたら、メイクさんがくすりと笑った。
「エイミちゃんも惇哉くんファンなの?」
「はいっ! ファンっていうか愛しちゃってます!!」
あたしの意味不明な発言にも驚くことなく、メイクさんは可笑しそうに笑った。
だってホントに大好きなんだもん。
そんなことをしているうちに、惇哉さんは数回のテイクでOK!
次はあたし…もう緊張して心臓がバクバク言ってるけど…
惇哉さんがにっこりと笑って手を振ってくれたから……頑張る!!!
「お疲れ様でした〜〜〜!!」
「お疲れ〜」
「お疲れ様でした。」
通常の時間より2時間ほど早く終わった。
流石としか言い様が無い!! ムフフ!!
「瑛未ちゃんお疲れ様 ♪ 良く頑張りました!」
「 !!! 」
惇哉さんがあたしの頭をいい子いい子って撫でてくれた!!!
きゃーーーーー!! うそぉーーーー!!!
ああ…もう…このまま倒れてもいいですか?
(まさかこの時遼平も由貴さんに頭を撫でて貰ってたなんて全然知らなかった。)
「さて! 瑛未ちゃん! 準備はいい?」
「はい! 惇哉さん! いつでもOKです!!」
「よしっ!! レッツゴー!!」
「ラジャー!!」
2人で衣裳室目指して駆け出した!
「守屋さ〜ん約束通り借りに来たよ〜 ♪ 」
衣裳室のドアを開けて中にいる担当の人に声を掛けた。
今日のこの日の為にサンタの衣裳を用意しといてって頼んでおいたんだ。
「ああー惇哉さん言われた通り用意しといたよ。」
「ありがと〜このお礼は今度するからさ。」
「いいよ。惇哉さんと俺の仲じゃ無い。今度一緒に飲みに行ってくれればいいよ。」
「そう? で?」
「ああ…そっちに掛かってるヤツ。色んな種類のもの揃えたから好きなの持って行きなよ。」
「ありがとう〜じゃお言葉に甘えて。瑛未ちゃんこっちだってさ。」
「はーい!」
「ん〜〜〜どれがいいかな?」
ホント微妙に違うデザインが何着もあって悩む。
帽子は直ぐに決まったけど。
「惇哉さん! これはヒゲも付けちゃいましょうよ!」
衣裳の向こうからヒョッコリと瑛未ちゃんが顔を出す。
「いいねー瑛未ちゃんはスカートの方が良いよね? ないのかな?」
「あ! ありましたよ!!」
「ホント?」
「…惇哉さん! あたし、着てみるっ! …あのちょっとこの試着室借りても良いですか?」
「ああ…どうぞ。」
「すみません。」
あたしはペコリと頭を下げてサンタの衣裳を持って中に入った。
「まあ無難な所でこれか?」
何着かの中から選んで決めた。
「じゃ〜〜〜〜ん!!! どうです!! 惇哉さん!」
そう宣言してスカートバージョンのサンタの衣裳を着て
試着室から飛び出した!
腰に手を当ててどうだ! と言わんばかりに身体を反らす。
「わあ〜〜〜〜!! 瑛未ちゃん似合うじゃん!」
「え〜〜〜本当ですか? やだ〜〜〜嬉しい〜〜〜〜 ♪ ♪ 」
まあ鏡を見てこれってイケるんじゃないの〜なんて思ってて…
良かった!
惇哉さんってば倒れそうなくらいかっこいいのにちゃんとノってくれて嬉しい ♪
遼平はこの姿見たらなんて言うかな…
可愛い…は、絶対言わないな。
似合う…あたり?
う〜ん。あんまり遼平っぽくない。
『…正真正銘のアホだな。』
「ふふふ…ブッ殺すっっ!!!」
瑛未ちゃんのスカート姿のサンタを見ながら頭の中で由貴にも着せてみた…
フフフフ……
これは挑戦してみる価値はありそうだと密かに心の中で決意した。