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Shiina&Misaki&Sayoko 02



オレは速攻色紙を買って彼にサインを貰った。

「デヘヘ〜耀くん喜ぶかなぁ〜〜」

オレはサインされた色紙を目の前に掲げてデレデレだ。
だって耀くんの喜んでる顔が…

『ありがとう椎凪!オレ嬉しい ♪ チュッ ♪ 』

「やぁ〜〜耀くんそんなぁ〜オレは耀くんの為なら何でもするからぁ〜」

そんなひとり言を呟く…
沢山キスしてくれるかなぁ〜ベッドの中でもサービスしてくれるかなぁ〜
オレは1人そんな事を想像しながらニヤケる。

「彼大丈夫?」
オレの後ろではそんな会話がなされてたらしい。
「ああ〜気にしないで大丈夫…彼恋人にベタボレで溺愛してるだけだから。」
「きっと色々想像して舞い上がってるのよ。フン!現実に引き戻してやる!」
そう言って意地悪そうに笑ってる……

「椎凪っっ飲みに行くわよ!!」

「!!だから行かないって言ってんだろっっ!!オレはすぐにでもこの色紙を耀くんに!!」

「慎二君にチクるよ!椎凪君が非協力的だったって。」
「なっ…内藤さんまでそんなっっ!!」

彼がもの凄いショックな顔するもんだから…思わず噴き出した。

「ぷっ…面白いね彼…」

だってコロコロ表情が変わって皆にからかわれて…
ああでもみんなに好かれてるからなのかとも思えた。

「椎凪さん一途な方なんですよ。恋人の事が好きで好きで仕方ないんです。」

「良いですね…一途なんて…」
小夜子さんがボソリとそんな事を言う。
「小夜子さん…」
「じゃあ私達はこれで…何かありましたらまた警察の方に通報お願いします。」
刑事には見えない女の子とも呼べる彼女がペコリと頭を下げる。
「あ!いえ…本当にお騒がせしました!」
今度は小夜子さんが頭を下げる。
「勘違いで良かったです。イブの夜に殺人事件の第一発見者なんて気分悪いですものね。」
「はあ…」
「では…」


刑事さん達が引き上げて小夜子さんと2人きりになった。

「…何だか変わった人達だったね。」
「そうですね……すいませんでした…弥咲先生にもご迷惑掛けて…」
「連絡もらった時はビックリしたけどさ…すぐオレに連絡してくれたんだね。小夜子さん…」
「…警察の他にって言ったら先生しか…」
「当てにしてくれたんだ。嬉しいな ♪ 」
「だって…本当に怖かったんですよ!殺人なんて…本当に人が死んでるかと思って…」
「わかってるよ…小夜子さん本当に真面目なんだから…」
「…!!…先生…」

言いながら小夜子さんを抱きしめた…
ずっとそうしてあげたかったけど刑事さん達の手前出来なかったから…

「少しは落ち着いた?」
「はい…すみません…」
「もうさっきからずっと敬語だよ小夜子さん!2人の時は普通に話すって言ってたのに。」
「あ…ごめんなさい…ちょっと気が動転してて…」
「まあ仕方ないけどさ…」
「先生?」
「ん?」
「あの…いい加減この腕…外してもらえませんか?外で人目も…」
「え?ああ…ついついさっきの彼に影響されて…」
「面白い人でしたね。」
「ホント…よっぽど恋人の事好きなんだね…
あんなにオレのサイン喜んでくれたのにもビックリだったし…」
「どんな恋人なんでしょうね…」
「今度紹介してもらおうかな?小説のキッカケになるかもしれないし…」
「そうですね……他人に一途なんて言われるくらいですもの…
きっと凄く愛し合ってて…仲がいいんだろうな…」
「オレも一途だよ。」
「え?」
「だって6年間も小夜子さんの事想ってたんだよ…一途って言ってくれない?」
「………何だか…こんな所でそんな事言われると恥ずかしいんですけど…」
「そうだった…いい加減部屋に入ろうか…それに今夜はイブだもん。」
「だから?」
「付き合って初めてのイブだよ!だから今夜は小夜子さんにプレゼントを…」
「何ですか?プレゼントって?」
「え?ふふ…朝起きてからのお楽しみ ♪ ♪ と言う事で!」
「え?何?教えて…」

やっと普通に話してくれた小夜子さんの耳にそっと囁いて教えてあげた。

「 !!!!……ばっ!!ばかっ!!いやらしい!!バシンっ!!!」

思い切り背中叩かれた!?

「いてっ!!え?なんで??恋人同士なんだから当たり前でしょ?」
「それにムード無いっ!!!」
「え?ムードはこれからだよ。2人きりになってからに決まってるだろ…」
「もう帰って下さい!〆切あるんでしょ!」
「こんなイブの日に仕事なんてするかっつーの!小夜子さん?あれ…ちょっと…」
スタスタと歩いてさっさと自分の部屋に入ろうとしてる。
「ちょっ…ストップ!そんなに怒る?あ!照れてるんだ!そっか!」
「照れてなんていません!呆れてるんです!……あ!」
玄関のドアを真面目に閉めようとしてる小夜子さんに追いついて後ろから抱きしめた。
「本気で締め出すつもり?」
「……だって…」
「小夜子さんが嫌なら何もしないよ…いつもみたいに一緒に寝るだけで我慢するから…」
「……嫌ってわけじゃ…ただ…」
「ただ?」
「……こ…怖いだけで……」
ハニかんでる小夜子さんが可愛かった…

「大丈夫だよ…何も心配しなくても…オレの事が好きなら大丈夫…」
「………憂也さん…」

「 !! わぁ…名前で呼んでもらえるのってやっぱり嬉しいな…」

「……………」

そう言って小夜子さんに笑いかけると…小夜子さんもオレににっこりと笑ってくれた…


     小夜子さんと一緒なら…きっと…最高のクリスマス・イブになるよ…


    オレは心の中でそう思ったけど…小夜子さんもそう思ってくれたかな……