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Shiina&You 02



「ええ〜〜〜これって… 『 舷斗 』 のサインじゃない?どうしたの???」

耀くんがオレの予想通り大感激で 『 舷斗 』 のサインを目の前に掲げて喜びの声を上げる。

ここは寝室のベッドの上…
何とかイブの夜に間に合って2人共シャワーを浴びて準備は万端!!

計画通り愛し合う前に耀くんにクリスマスプレゼントと称して差し出した。
もちろん耀くんがオレにサービスしてくれるかな…なんて下心の為に!!

「今日係わった事件の関係者が 『 舷斗 』 だったんだ。だから耀くんの為にサインお願いしたの。」

「なかなか手に入らないんだよ…この人表立って出てこないから…いやぁ〜ウソみたい。」

椎凪が何処に隠してたのかクリスマスプレゼントって言って 『 舷斗 』 のサインをオレにくれた。
昔からこの人の書く恋愛小説だけは好きで…ずっと読んでるんだ。

「 えー…へぇ…ふわぁ〜〜〜 ♪ ♪ 」
「サイン貰うの大変だったんだから ♪ 」

本当は 『 ください! 』 の一言で済んだんだけど耀くんには内緒!

「そうだろうねぇ〜…なかなかサインも書かない人らしいからね…」

「……………」

何だかオレは段々気分が悪くなる。
確かに耀くんが喜ぶと思ってこのサインをもらったんだけど…
耀くんはさっきからサインを眺めて…オレの方を見てもくれない!!!

なんかムカつくっっ!!!!

「あっ!」

サッと色紙を抓んで取り上げてそのままベッドの脇に放り投げる。

「もう!!椎凪何すんの!!」

耀くんがやっとオレの方を向いてくれた……怒ってるけど。

「何だかムカついたから!」
「なんで?オレの為に貰ってくれたんだろ?」
「そうだけど…耀くんオレの事見てくれないじゃん!」
「は?」
「ずっと色紙にうっとりと笑いかけてさ…なんかムカつく!!」
「ちょっ…サイン色紙にヤキモチ?」

「!!!…そんなんじゃ無いけど……」

って本当はそうなんだけどさっ!!!そんな事言えないし……

「わっ!!」

椎凪が突然オレをベッドに押し倒す。

「嬉しかった?耀くん… 『 舷斗 』 のサインもらえて?」

「そ…そりゃあ…なかなか手に入らないものだし…」
「じゃあオレに感謝してる?」
「え?…うん…まあ…でもこれって…オレへのプレゼントなんじゃ…」

「感謝してる?」

「…………うん…」

何だか念を押してくる所が怪しい………

「ちゃんと言葉にして。」
「感謝…してます…」

「そう?」

そう言ってにっこりと笑った顔は 『 あっちの椎凪 』 じゃん!!!

「し…椎凪?」
オレは急に心臓がドキドキ!!だってオレってばこの 『 椎凪 』 に弱くて……
「じゃあ感謝の気持ちを表して貰おうかな?」
「気持ちを?表すって?」
「耀くんなんでパジャマ着ちゃうの?どうせすぐ脱ぐのわかってるのに?」
「え?…だって…」
そんなオレもその気です!なんて格好出来るわけ……
「ああ…そっか!」
「なに?」

「パジャマ脱ぐ所…オレに見せたいんだ?ね?そうだろ?」

「そっ!!そんな事無いっっ!!!勘違い!!それって椎凪の勘違いだから!!!」

もうこっちの椎凪はすぐそうやってオレをイジめる……からかって…楽しむんだもん…

「そうなんだ?じゃあどうやってオレに感謝の気持ち表してくれるのかな?」
「え?」
「ねぇ?耀くん……くすっ……」

「………うっ……」

椎凪ぁ〜〜〜〜〜もう意地悪だぁ!!!!


結局その後は椎凪の目の前でパジャマを自分で脱いだ。

「耀くん…もうちょっと色っぽく脱げないかな?」

直ぐに椎凪のダメだしが出た。

「……う〜〜…無理だモン!!!オレ色気なんかないからっ!!」

そう椎凪に怒鳴って途中まで脱いだパジャマをまた着た。

「もう…そうやってイジケない…」
「知らない!!」
「じゃあこっちに来て。」
「……なん…で?」

「 『 オレ 』 が脱がせてあげる…くすっ…」

「………ヒドイ事…しない?」
「しないよ…」
「……恥ずかしい事も?」
「…しないから……」
「……………」

「こっちに…おいで……耀くん……」

あの暗くて重い瞳で椎凪がオレを誘う…オレはあの瞳が好きだ……
いつもと違う椎凪…ちょっと乱暴で強引な椎凪が…ヒドイ事も恥ずかしい事もしないって言った…

本当かな?
いつもそう言ってオレは散々いい様に遊ばれちゃうからちょっと警戒する…

「耀くん…」

オレの名前を呼んで椎凪がオレに手を伸ばす…だからオレはその手に掴まる…
そのまま椎凪の正面にエスコートされて…にっこり微笑まれた…

「約束通り…オレの愛を耀くんに…君にあげる……」

「椎凪……」