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「佳奈枝さん…文香さんに似てたね…」

その日の夜…部屋に戻って諸々の事を終わらせた後2人共シャワーも浴びて
大ちゃんの部屋でテーブルを挟んで寛いでた。

「え?そうか?」

大ちゃんが風呂上りの烏龍茶のペットボトルをゴクゴク飲みながら惚けた声で言う。

「別にあたしに気を使わなくていいよ。似てるって言ったって…」
「別に気を使ってるわけじゃなくてさ…オレは似てるとは思わないから…」
「だって良く双子かと思われるほど間違えられたって言ってたよ。」
「ふ〜ん…そうかね?」
「それは大ちゃんが文香さんの事をよっぽど違う目線で見てたからだよ。」
「違う目線って?」

「大ちゃんが文香さんの事……愛してたから…他の人と見間違える筈ないんだよ。」

「まどか……」

まどかが俯いて…何となくシュンとしてるみたいだった…

「…………大ちゃん…」
「ん?」
「文香さんの事想い出した?」
「文香の事は毎日想い出してるよ…別に特別な意味じゃ無いけど…
まどかだって想い出してるだろ?
それに佳奈枝さんにだって文香の事は忘れないって言ってただろ?」
「そう言う意味じゃなくてさ〜〜〜」
「なんだよ?」

まどかが今度はモジモジしながらなかなか話さない。

「文香さんの事が……恋しくなっちゃった?とか……」

「は?恋しくって…そんな事思ったって仕方ないだろう。」
「でも!でも…さ…久しぶりに文香さんととっても近い家族に会って…
ちょっとはセンチメンタルな気分になっちゃったのかな…ってさ。」
「………もしかしてオレの事心配してくれてんのか?」
「え?んーーーだってあたしでさえ何となくしんみりするもん。
あたしは佳奈枝さんを見て本当に驚いたよ…文香さんが戻って来たのかと思ったから…
妹さんってわかったけど…何だか昔の事…文香さんと会ってた頃の事とか話した事
思い出しちゃって…あたしでさえこんなにしんみりしちゃうのに大ちゃんは大丈夫かなって…」
「まどか…」
「それにさ…」
「それに?」
「………何でも無い!」
「はあ?何だよ?そこまで言ったら言えよ。」
「いいよ…くだらない事だし…」
「なら尚更言え!」
「イヤ〜〜〜!!もうこの話はお終い!さて!髪の毛乾かしてもう寝よーーうっと ♪ 」
「まどか!」

まどかはオレの呼ぶ声に振り向きもせずサッサと自分の部屋に戻った。
その後まどかは髪を乾かして何事もなかった様にオレの部屋に戻って来た。
そしてサッサとオレのベッドに入る。

「何だよ自分の部屋で寝るんじゃないのか?」
「なんで?誰がそんな事言ったのよ。」
「………」

そりゃ言ってないが…

「何拗ねてるんだ。」

ベッドに腰掛けてしっかりと布団を頭まで掛けてるまどかの半分出てる頭をワシャワシャと弄った。

「も…大ちゃんやめてよ!せっかく綺麗にセットしたのに!」
「どうせ朝になれば寝癖だろ。」
「もう!大ちゃんは!」
「まどか…」
「………」
「……どうした?」
「別に……ちょっとジェラシー…」
「は?」

「大ちゃんがやっぱり文香さんがいいなぁって…思ったんじゃないかなって…」

「まどか…」

「だからくだらない事って言ったじゃん!」
「本当くだらないな。」
「………」
「オレが文香を好きな好きとまどかを好きな好きは同じだけど同じじゃない…」
「?」

まどかがハテナの顔をしてる。

「まどかには難しすぎるか?」

またまどかの頭に手を置いてクシャクシャとした。

「じゃあ分かりやすくお願いします。」
「文香は文香の良いところを好きになってまどかはまどかの良いところを好きになったって事。
同じオレの好きな気持ちだけど同じじゃないだろ?」
「うん…」
「相手が違うんだから好きになる所も違う。文香と違ってまどかは今オレの目の前にいる…
だからこれから新しく好きな所が増えるのはまどかの方だから文香にヤキモチなんて
妬かなくて良いんだよ。オレは文香とは違うまどかが好きになったんだから。
そう思わせてくれたのはまどかだろ?」
「大ちゃん…」
「これでわかったか?」
「でもさ…」
「ん?」
「最近ちょっと大ちゃんの態度変だった…」
「そうか?んーまあその辺は大人の事情だ。」
「大人の事情?」
「まどかはさ…まだ学生なんだよな…」
「え?」

そんな事を言いながら大ちゃんの手の平があたしの頬を撫でる…
そのまま滑り落ちてパジャマのボタンに手を掛けた。

「大ちゃん…」
「ん?」
「言いながら何してるの?」
「だから困ってるんだよ…」
「え?」

「まどかを抱きたくて仕方ない…」

「大ちゃん…ん…」

大ちゃんが屈んであたしにキスをした…



「あ…大ちゃん…んっ……」

大ちゃんの首にギュッと腕を絡ませてしがみつく…
大ちゃんもあたしをギュッと抱きしめながら優しくあたしを押し上げる…
ほど好い刺激が身体に与えられてゆっくりゆっくりとあたしの身体が大ちゃんに反応する…

でも…後ちょっとでまた弾けちゃうよ…

「だ…亮平さん…亮……ンンっ…ふぅ…」

あたしと舌を絡めるキスをしながら亮平さんのあたしを押し上げる力も動きも早くなる…
だからあたしは足もしっかりと亮平さんの身体に絡めてついていく…

「んっ!あっ!あっ!アンッッ!!」

亮平さんがぐっとあたしの身体を一番強く何度も押し上げた…
その瞬間あたしの身体の中が弾けた……

「んああっ!!」

亮平さんがギュッと抱きしめてくれてたけど
そんな亮平さんにしがみついてあたしは大きくのけ反った。


「…はぁはぁはぁ…」

身体から力が抜けてくったりしてる…
でも亮平さんからは離れずに力の入らない両手で軽く亮平さんの身体を抱きしめる…

「亮平さん…好き……好きだよ…」
「ああ……オレもまどかの事が好きだ…」

あたしを求めてくれるキスを2人で何度も何度もして…また亮平さんを受け入れた…



「大ちゃ〜ん!卒業したよ〜 ♪ 」

あれから約1ヶ月後…まどかが高校を卒業した。

「お帰りんでもって卒業おめでとう。」
「ありがとう大ちゃん ♪ 」
「友達とのランチも今日が最後か?」
「そうだね…だからたくさん話してきたもん ♪ 」
「しかし今の高校生は感動薄いな〜本当にお母さんに来てもらわなくて良かったのか?」

オレも結局来なくていいと断られた。

「今時親が来る人なんてそうそういないよ。」
「そんなもんか?」
「大ちゃんの時は来てもらったの?」
「………そういやどうだったかな?」
「半分もいないんじゃないかな。」
「ふーん…じゃあ今夜は卒業祝いで外で豪華にディナーといくか?」
「え?」
「ちょっと早目に店閉めて。」
「…………」
「何だよ?嫌か?」
「ううん…ディナーはさ…大ちゃんの料理でいい。」
「は?」
「お店はちょっと早く閉めて2人きりで大ちゃんの作った料理をお店で食べよう。」
「まどかはそれでいいのか?」
「うん。だってそんな風に大ちゃんの料理食べた事無いし…お店でも過ごした事無いから…」
「まあいいけど…じゃあいつもより特別美味しく作ってやる。」
「うん!あ!」
「なんだ?」
「愛情た〜〜〜〜ぷり入れてね ♪ 」
「アホか…」
「いいじゃん!こっそり念じるだけなんだから!」
「はいはい…憶えてたら入れといてやる。早く着替えて来い。」
「うん。あ〜あ学生最後のバイトかぁ〜」
「一応3月いっぱいは高校生だけどな。」
「大ちゃん学校の先生と同じ事言ってる。」
「何だよ…当たり前の事言っただけだろ。人をオヤジクサイな〜みたいな目で見んのやめろ。」

確かにオヤジかもしれないが…

「大ちゃんはあたしにとってとっても素敵なダーリンだからね ♪ 」

パチリとウィンク付き ♪

「何だ?目が変なのか?」

「大ちゃん!!」

もう!そうやっていっつもあたしの事からかうんだから!!!む〜〜〜!!

大ちゃんは意地悪な顔でクスクスと笑ってた。