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快 (kai) : 東雲家の長男で人気小説家。來海に惚れている。
來 海(kurumi): 元・快の担当編集者。快から離れたくて担当を降りたのに未だに身体だけの関係が続いている。
「來海と一緒になる事にした。」
「 「 「 「 は!? 」 」 」 」 」
その場にいた全員が呆気にとられた!
「かっ…快先生?」
しかも言われてる本人が一番驚いてるぞ…
「 オレの嫁になれ! 」
うお!腕組んで相変わらずオレ様な野郎だな…
それに嫁って…もっと他に言い方無いのか?人気作家だろっ!!
「なっ…何言ってるんですかっっ!?いきなりそんな事…何で?」
「あれから3年待った。もう気持ちの整理ついただろ?」
「だから私は先生とは…」
「ならオレがお前のモノになってやる。それなら構わないだろ?喜べ。」
「 「 「 「 「 ! ! ! 」 」 」 」
オレ達はみんなびっくりだ!どうした?快っっ!?ってどう見てもまだアンタの態度はオレ様だろ?
「や…や…や…や…だっ…ダメ!!」
もの凄い慌てぶりだ……
「ああ?なんでだ?」
「こ…こんなのズルイ!いきなり…しかも皆の目の前で……」
「関係無い!今日言うって決めてたんだよ。此処で!」
「何…で?」
「お前が逃げれない様に。ホテルのベッドの中なんてヤだろ?
こいつらは今夜の証人。後でいちいち話すのも面倒いしな。」
「………」
やっぱそう言う魂胆があったのか…快の奴がオレに声掛けるなんておかしいと思ったんだよ…
「や…ならない…」
「……?」
何でコイツは快を拒んでるんだ?どうみても快に惚れてるだろ?
「何でだ?」
「わ…私は快先生の事なんか…好きじゃない……」
「前にも言ったがオレは來海の事が好きだ…惚れてる。」
「 「 「 「 「 ! ! ! 」 」 」 」 」
また全員が驚きだ!大丈夫か?熱でもあんのか?変なモノ食ったか?
「初めて会った時から気になって前向きで頑張り屋な所にあっという間に惚れた。」
「!!」
「お前オレがお前の身体目当てで最初近付いたと思ってんだろ?ド阿保が。」
「…!!」
一瞬で女の顔が真っ赤になった。
ふ〜ん…どんだけ快の奴に抱かれてるか察しがついた。
「………だって…そんな…」
もう相手の女はしどろもどろだ。
視線は泳いで自分の両手の指を世話しなく絡ましてる。
動揺してんなぁ……
「ホントずるい…」
そう言ってオレ達の方を見た…まるで助けを求めるみたいに…いや…そんな顔されても……
「來海。」
「……は…い?」
「もう一度言う。オレはずっと前からお前に惚れてる。だからオレの嫁になれ。」
「………」
快に真っ直ぐ見据えられて凄まれてる…
「返事。」
ビクン!
ほら見ろビビられてんぞ…
「言っとくが断ったら……分かってるよな?來海…」
「!!!」
ついに脅しが始まったか…
「返事。オレの嫁になれ。」
腕組みのスゲー上から目線だ!
「……はい…」
俯きながら小さな声で返事が聞えた!!
「 「 「 「 !!!! 」 」 」 」
うそだろっっ!?頷いた!!しかもOKだっ!!マジかっっ??
「か…快兄さん!!おめでとうっっ!!」
そう叫んで輅が快に飛び付いた。
反応の早い奴っっ!オレは呆気にとられて……
「快さん!おめでとうございます!!」
みかげも反応が早かった!
「ありがとう。」
スゲー勝ち誇った顔してやがる…
パチパチパチパチパチパチ!!!
「 !! 」
気付けば周りにいた客達が祝福の拍手贈ってる…
「ありがとう。」
これも狙いか?…姑息な手を…
「!!」
そんな場面を彩がジッと見てた…これも計算の内なのか?快…
確かに最初から快は彩の事は目に留めてなかった…
1度遠回しに聞いたら 『 最初からオレにマジで惚れてる奴には興味無い。 』 って言ってた。
結局逃げる相手を追い掛けて自分のモノにしたかったのか…
だから簡単に手に入る彩には興味無かったって事か…
「はぁ〜〜快さん…カッコ良かったなぁ〜〜〜」
「………」
みかげが何度目かのため息をつきながら同じ言葉を繰り返してる……
「そうか?」
「だって男らしかったじゃない!皆がいる前でプロポーズなんて!!」
「プロポーズ…ねぇ…」
どうみても悪の親玉がいたいけな一般市民を脅して結婚承諾させたとしかオレは思えない…
創立パーティーからの帰り道…私服に着替えてふて腐れる輅を振り切って
みかげを家に送り届けてる最中だ。
当たり前だがしっかりと手を繋いでる。
快の奴はあの後あのパーティーをやってたホテルに部屋をとった。
まったく…でも…結婚か…
「ん?」
無言でみかげを見つめてたら気付かれた。
「いや……」
オレは…みかげと結婚って…するのか?なんて事を考えてた…
別れる気なんて無いんだからこのまま順調に行けばそう言う事になんのか?
まあその前にみかげが高校卒業すんのに後2年…
オレは大学に進学予定だから…卒業するまで最短で4年……まだまだ先は長いな…
その前にやる事が結構ある……だから今は結婚なんてピンとこないけど…
「みかげ…」
「ん?」
「ずっと先になるとは思うけどさ…」
「うん…?」
「オレと結婚して。」
「 !!!!! 」
あ!もの凄い驚いた顔された。
そうだよな…いきなりそんな将来の話されても驚くよな…
それにオレなんでこんな事口走ってんだろ?勢いか?
でもそうなったらいいな…とは思ってる…
「え…でも…」
「でも?」
「わ…私料理とか…出来ないし…その…」
「じゃあこれから出来る様に練習すればいいんじゃない?」
「…うん…」
「みかげ…」
「ん?あ…」
立ち止まって…そっと触れるだけのキスをした…
「驚いた?」
「うん…」
「オレも驚いた。」
「え?」
「今言った事が現実になればいいな……」
「……うん…」
「なんだよ…みかげさっきから 『 うん 』 しか言ってないじゃん?」
「だって…芫くんがいきなりあんな事言うから……」
「言いたかったんだ…だから言った。」
「…芫くん…」
「まだまだ先は長いしさ…それに…その前にやりたい事もあるし。」
「やりたい事?」
「そ!みかげと愛し合いたい。」
「?」
「………みかげを抱きたい。」
「 !!!! 」
よっぽど今日の快の事に影響されたらしい…自分で思った事をそのまま口にして出してる…
みかげはさっきから固まってる。
だろうな…連ちゃんで色んな事言われてるんだから…
でも…みかげを抱きたいと思ったのは本心で……
きっと…オレは近いうちに…多分それを実行に移す……何となくそう思った。