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快  (kai)   : 東雲家の長男で人気小説家。遂に來海にプロポーズして承諾させた!
來 海(kurumi): 元・快の担当編集者。快から離れたくて担当を降りたのに快のプロポーズに頷いた。





「う…あ…アン!!!」

ギシギシとベッドの軋む音が聞こえそうな位の勢いでまた私は彼に抱かれ続けてる…
今日は私は拒んだりはしなかった…だって…

ホテルの部屋に入るなり息が出来ないくらいのキスをされた…
そのままベッドに連れて来られて2人共服も脱がずに絡み合ってる。

「…せん…せ…服が…シワに…なる…」
「ほっとけ…」
「シャワー…浴び…たい…」
「後で一緒に浴びるから…今は気にすんな…」

「…あ……ン!」

なんの前触れも無く彼が私に入って来た…
なんでだろ?いつもより敏感に彼を感じる…
だからたったそれだけの事で身体が大きくのけ反った。

「今日はいつになく敏感だな…來海…嬉しいのか?」
「そ…そりゃ…でも…」
「でも?」

「1回でも浮気したら即別れるからっっ!!!」

「オレが浮気するとでも?」

「…だって…私1人で満足…出来る…の…?」
「お前は知らんだろうがな…あの日からお前以外誰も相手にしてねぇんだぞ。」
「え?」
とんでもなくマヌケな顔と声だ。

「それって…3年前から?……私…だけ?」

「ああ!」
「本当に?」
「本当だ。もう焦らすな!さっきから動きたくてウズウズしてんだ。」

「!!…ア…ンっ!!」

そう言えばもう彼は私に入ったままだった…だから急に押し上げられて息が止まった。

「スカートのめくれ具合が何とも言えねぇな…そそられる。」
「やっ…バカ!見ないで!!」

お腹までめくれ上がったスーツのスカートを慌てて両手で引き戻した。
下着を脱がされた裸の下半身を見られてるかと思うと恥ずかしかったから…

「今更…」
「そんなの関係無い!恥ずかしいものは恥ずかしいの!!」
「ならもっと恥ずかしい目にあって慣れとくか?」
「え?あ…」

片足を彼の肩に担がれたもう片足はいつもの如く大きく彼の手で開かされた。

「も…だからそんなに開かないってば……ンアっっ!!!」

物凄い奥まで貫かれた感じがして腰から背中を通って頭に電気が走ったみたいに痺れた。

「あ…だめ…先生…今日は…身体が…変……」

まだ脱いでいないオレのシャツの腕をグッと掴んで力任せに引っ張りながらもう來海が根を上げた。
ふざけんな冗談じゃない!まだ始まったばっかだぞ。

「いいだろ?変でも…オレはその方が良い。」
「私は…ヤダ…」
「なんで?ホント今日は今更だろ?」

「だって…訳がわからなくなりそうで怖い…」

「怖い?」

今までは頭の隅にこんな男に負けるもんかなんて言う気持ちがあって
何となく訳がわからなくなりながらも自分があった…
でも今日は…これからは…完璧この男に全てを奪われる……
彼の全てを受け入れたら……私……

「なんかとんでもない事口走りそう……」
「ほう…聞いてみたいもんだな…何て口走るのか…」
「………」
「どうでもいいが來海。」
「はい?」

「今のお前の格好…良い眺めだぞ。」

「!!!もうバカッ!!」

「イテッ!」

彼の肩に担がれてた足で側頭部に蹴りを入れてやった。



いつもと同じなのにいつもと違う…

彼に触れていたくて…彼の肌があったかくて気持ち良くて…離れたくない…

「先生…先…生…」
大きな背中を両手で抱きしめて彼の胸に頬擦りをした。
「…先生じゃねぇだろ…」
「え?」

「1度だけ名前で呼んだだろ。」

「!!!」

聞かれてた!!

見る見る來海の顔が真っ赤になっていく…なんでだ?

「き…聞いてたんですか?」
「聞いてたんじゃない聞こえたんだ。」
「あんな小さな声だったのに?」
「ちゃんと聞こえたぞ。」
「………聞こえなくても良かったのに……」

「オレは名前で呼ばれるのか希望だ。」

「…やですよ…先生って呼びます。」

「ダメだ。」
「………意地悪…」
「來海」

「……快…さん…」

「クスッ」
「あ!何で笑うの!!」
「いや…いいもんだ…」

初めてベッドの中で彼とこんな風に話した…
腕の中で抱かれながらこんな時間を過ごすのって何だか嬉しいと言うかホッとすると言うか…

「ん?」
「ううん…」
「とにかく最短の時間で式挙げるぞ。」
「!!!」
「まずは來海の親に会いに行く。」
「!!」
「なんだ?」
「ううん何だか意外で…」

籍だけ入れるのかと思ってたから…

「こう見えてもオレは親を大切にする男だぞ。」

芫のお墨付きだ。

「何だか…3年も付き合いがあったのに…快さんの事…全然知らなかった…」

身体だけは嫌って言うほど知ってるのに……

「知ろうとしなかったんだろ?まあこれから知ればいい。」
「……うん…」


その後も色々な事を話した…
彼は子供は多ければ多い方がいいって…しかも女の子が良いって…

何だかそんな話しを彼としてるなんて本当に変な感じだった……


「來海…」
「はい?」

とっても仄々のいいムードで彼が私の名前を呼んだ。

「お前今度は上!!」

「!!!!」
「なんだ?」
「もう!そう言う所は前のまんまなんだから!」
「は?」


そんな文句を言う來海をオレの腕を絡めて捕まえて疲れて眠り込むまで抱き続けた…

結婚してもいいと思った女…結婚したいと思った女…結婚と言う見えない鎖でやっと捕まえた。

しかも3年かかった……ったく。


「來海。」
「………」
気持ちよさ気に眠ってる。
「來海!」
カプッと鼻に噛み付いた。
「ヒャッ!!いはい!!」
流石に起きたか。
「シャワー浴びてから寝ろ。」
「ん?シャワー?あ…う…ん…くぅ……」
「は?」

また眠りやがった…

「しかし…えらい変わり様だな…
いつもならシャワー浴びるのも文句たらふくだったくせに………仕方ねぇな!」

がばっと裸で寝てた來海を抱き上げた。

「……ン!?へ?あ!ちょっと…」

「シャワーだよ!奥さん!」

「え?あ…お…奥さん?」



そう言って慌ててオレの首にしがみつく。

そんな些細な事も昨日とはまるで違って感じるのは何でなんだか…