03





『くそ…』

満月から2週間…当たり前だが2度目の新月を迎えてオレはまた狼の姿になった。
それまでは結構良いムードで耀と2人過ごしてたのに…はぁ〜台なしだ…

それに…まさかあんな奴にオレと耀の生活を邪魔されるなんて思いもよらなかった!!



「ただいまぁ〜 ♪ ♪」

耀が今日も大学から無事に帰って来た。
オレがこんな姿で一緒に大学に行けないからちゃんと帰って来るか毎回ハラハラしてる。

耀に言うと『子供じゃ無いんだから…』って言うがそう言う意味じゃない…天然が…

オレと交わる様になってから妙に女らしさと色っぽさが増したから男の視線集めてんだよ!
本人はまったく気付かないから始末に悪い。

そんな耀が部屋に入って来た途端の違和感!

『くん…!?この匂い…』
「しいなあ〜見て見て ♪ 」

『ああ…?なっ!!』

見れば耀が片手にキャリーバックを持ってる。
「見てしいな。可愛いでしょ?」
そう言って中から真っ白な小型犬を抱き上げた!

『何だそいつはっっ!!何処のどいつだっっ!!』

「どいつって…大学で知り合いに頼まれちゃって。」
『頼まれただ?だからって浮気しても良いって理由にはならないぞっっ!!』
「浮気って…仔犬だよ?」
『まさかトウマじゃ無いだろうな?』
ものすごい疑いの眼差しだ…どうしたの?しいな…
「違うよ。そんなはず無いだろ…」
『どうしたんだ?ソイツ…』
「同じ講義受けてる島崎さんって人がちょっとの間預かってくれって…」
『ああ?何で耀が預かるんだよ?そう言う預けられる所沢山あるだろう!』
「オレが半獣飼ってるって知ってて…安心して預けられるって。」
『何だ?その理由は?』
「いいじゃないたかが3日だよ。それに可愛いし…ふふ ♪ 」

カチン!!

耀がオレの目の前でその犬っころを抱き上げて頬擦りしやがった!!

『耀!オレの目の前でソイツとイチャつくなっっ!!』

「えー?イチャついてなんかないじゃん?仔犬じゃない…」
そう言って奴を胸に抱いた!

ブチッ!!!

あっさりブチキレた!!

『 そこはオレの場所だっっ!!どきやがれっっ!!このバカ犬っっ!! 』

「 キ ャ ン !! 」

「 しいな!! 」

バカ犬に蹴りをぶち込んで耀の胸から蹴り落とした!

「もうしいななんて事すんの!!他所の人の犬なんだよ!
それに仔犬だし普通の犬なんだからっっ!酷い事しないで!!」

『人のモノに手ぇ出すからだっっ!!』

「手なんか出してないだろ?オレが抱っこしてあげたんじゃん。」
『そもそもそれが間違いなんだよ!さっさと返してこい!!』
「無理だよ!もう島崎さん出掛けちゃったもん。」

ムカッ!!! ふざけんなっっ!!!!





「で?俺にどうしろと?」

何故かトウマさんが呼び出された。
しいなって狼の姿でも喋れるから携帯使えるんだよね…

『だから3日間コイツの面倒見ろ!』
「は?なんで?」
『同じ犬同士だろ?面倒見てやれ。』
「はあ?訳わかんないんだけど?」
「ごめんなさい…トウマさん気にしないで。オレが預かって来たんだから…」
「耀が?」

『オレと言うものがいながら…こんな堂々と浮気されるとは思わなかったよ!』

「さっきから変な言い掛かりつけないでよ!何で本物の仔犬相手で浮気になるのさ!」

「そう…浮気ってのはこう言う事だろ?」

「 わ っ !! 」

『 !!! 』

トウマさんがいきなり後ろからオレを抱きしめたっっ!!

「ねぇ…耀…」

「あ…や…!!」

身体に腕をしっかり廻されて締め付けられる…
何気に腕の力加減と動きで胸とお腹を揉まれてる感じがして耳たぶと首筋に
トウマさんの息が掛かって……背中がゾクリとした…それを一瞬の間にされて…拒めなかった。

「あ…」

声まで勝手に出る。

『トウマ!耀から離れろっっ!!』

「怒るなよ。耀に浮気がどんなもんか教えてあげたんだろ?分かった耀?」

「………」

オレはコクコクと頷いた。



「…………」

オレはソファにぐったり……何でこんな目に……

「耀は感じ易いんだね ♪ 可愛いな ♪ 」
『やかましい!もうお前帰れっっ!!』
「呼んだのはお前だろ?」
『その犬連れて出てけっっ!』
「しいな!」
『耀は黙ってろ!』

「残念だけど俺はパス!」

『はあ?』

「だって連れて行かない方がしいな困るんだろ?その方が面白そうだから ♪ 」

『なにっ!!』

「それにそんな事したら耀に怨まれちゃうからさぁ〜」

『 バカ犬野郎っっ!! 』


トウマさんは本当に手ぶらで帰って行った。



しいなは超不機嫌だ。

まさかこんなにしいなが怒るなんて思わなくて…困っちゃった…

「しいな…」

『…………』

ソファの上でお気に入りのオレのクッションでふて腐れて寝たフリだ。

「しいな………もう…」

ふて腐れて眠ったフリをしてるしいなの上に覆いかぶさる。

「ちゅっ!」

『!!』

しいなの頬にキスをした。

「勝手に預かっちゃってごめんね。でも本当に親切で預かっただけだから…
そんなに怒らないでよ…ちゅっちゅっちゅっちゅっ 」

大サービスでたくさん頬にキスをした。

『する場所が違う!』

ちょっとだけ顔を上げて横目でオレを見ながらしいながそんな事を言う。

「?」
場所?えっと…あ!

「ちゅっ!」
しいなの口にしてあげた。

『足りない。』
もう…

「 ちゅっちゅっちゅっちゅっちゅ〜〜〜っ  」

狼とキスしてるオレって…はたから見たらどうなんだろう?なんて考えちゃった。

『 もっと…もっとだ…… 』

ホントしいなってば…ワガママなんだから。


それから人様には言えない様なキスをしいなとして…
これまた人様には言えない様なサービスをせがまれるまましいなとして……


やっと機嫌を直してもらった………