06





久しぶりのしいなのマンション…何だかとっても懐かしい…

「!!しいな?」

しいなはリビングには向かわずに寝室に直行した。

「リビングは今入れない。」
「え?」
どう言う事?
「あ!」

寝室に入った途端しいながオレをお姫様抱っこしてベッドにそっと寝かせてくれた。

「疲れたか?」
「ううん…」

しいながオレをベッドに下ろすとそのままオレの上に覆い被さる…
でもちゃんとオレの身体に負担が掛からない体勢だ…

「…耀…」
「しいな……ン…」

しいながそっとオレにキスをする…
でもそっとだったのは最初だけであっという間に激しいキスに変わる…

「…んっ…しい……な…くるし…息が…うっ……」

もう…オレの言葉なんて聞いてないんだから…

「…え?あ…ちょっ…しいな…まっ…」

スルスルとしいなが手際良くオレの服を脱がしていく…これって…えっと…やっぱり…

「待って…しいな…ちょっ……」
「2週間ぶりなんだぞ…」
「そうだけど…でも…お腹に…」
「オレの子供ならこのくらい大丈夫だ!」
「え?」

「どんだけの生命力だと思ってる?だからちょっとくらい耀が激しい運動しても大丈夫!」

「え?うそ…??普通逆でしょ??あ!!しいな…」

クルっとうつ伏せにひっくり返されて腕を2ついっぺんに掴まれて頭の上に押さえつけられた。
抵抗を奪われたオレの服をしいなが簡単に脱がしていく……

「も…しいな!!ホント…乱暴にしないでっ!!」
「じゃあ大人しくしてろ。」
「……もう……ひゃぁ…ぁっ…」

背中を腰の辺りから項までしいなが舐め上げるからオレは大きく仰け反る…

本当に大丈夫なのかな……オレは心の中で心配になってくる…

だって…しいな絶対いつもみたいにオレを抱くもん…





「……んっ…ンン…うっ…」


仰向けにされて…腕を押さえつけられて…いつもの様にしいなの指がオレの中で動く…

身体中しいなに舐められた…顔も…首筋も…胸も…鳩尾も…お腹も…腿も…

オレの身体全部を確かめるみたいに…しいなが自分の舌で確かめていく…

オレの声はしいなの口で塞がれてるからどんなに大きな声を出しても無駄なんだ…



「はぁ…はぁ…しいな…もう…」

身体中が疼いて疼いて…思わずしいなを呼んだ…こんな事珍しい…初めてかも…

そう言えば…しいなと2週間以上交わらなかった時なんて無かったなぁ…なんて思ってる…

オレもしいなとこうしたかったのかな……

でも…しいなってば指と舌でどれだけオレの事攻めたか…
身体中いつもの様にしいなの歯形とキスマークと……

オレがしいなのモノだって言う印がたくさんついてる…

「…んあ…も…しい…な……あっ…」

ホントしいなってば意地悪だ……オレがしいなを呼んだ意味をわかってるくせに…
焦らす様にいつまでもオレの身体にキスをしまくってる!

またオレの身体を一周して…最後に腿の内側にしいなの舌が滑っていく…

「…っうあ!!!あっ…だめ…しいな…そこは…耐えられない…から…ンッ…」

加減してしいなの髪の毛を掴む…

だって…それで…イきたくない…しいなで…して…欲しいんだ……

「…し……いな…!!」

涙目でしいなをもう一度呼んだ…
そうしたらやっとしいなは顔を上げてくれて…
自分の唇をペロリと舐めながらオレの方に上がって来た…

そのままオレの首筋に顔をうずめてオレの耳朶をぺろりと舐めて噛んだ。

「ひゃん!!」

そんな声を出て身体が跳ねる…
跳ねたオレの脚をしいなが両腕で膝の下から軽く持ち上げる…

「しいな……ちょっとは…優しく…だよ…」

「………多分…」

もう…頼りないなぁ……

「!!!!…うっ…ああっ!!!」

確かに優しくオレに入って来てくれたけど…

「…ふっ……あぁ……」

そのままグッとオレの奥の…奥までしいなが押し上げるから…
脚を抱え上げられたまましいなが身体ごとオレに覆い被さるから…腰が浮いて…
何の抵抗も出来ずにしいなのされるがままだ。

「や…しい…な…赤ちゃん…潰れちゃう……」

「多分…平気…」
「あ……な…んで?」

そう思うの?しいな…

「オレの子供だから?」

だから強いって言いたいの???

「もっ…さっきから…その理由ばっか…り……ひゃっ!!!ああ!!しい……な……」


しいながいきなりオレの上で…大きく動き出した。



でも…あれから一体何時間経ってるんだろう…
身体は大丈夫なのかな…なんてそんな心配もあっという間に考えられなくなった。

右京さんの所ではちょっと歩いただけでもフラフラとしてたのに
今は歩く以上の運動をしてると思うのに…身体中が火照って…ジッとしてられなくて…

しいなを受け入れながら身体が汗ばむほど動き続けてる…

そう…わかってた…
どうして身体に力が入らないのか…それはしいなにもう会えないと思ったから…

だから身体に力が入らなくて…気力も無くて…

でも今はしいなが目の前にいて…オレの傍にいて…オレをこんなにも必要としてくれてる…



「……うっ!…あっあっあっ!!!」


耀が珍しくオレを呼ぶから…本当は加減しようと思ってたのにいつもと同じ様に耀を抱いてる…

契約をしていない相手と交わるのは確か初めてだ…

もう2度と…こんな事は無いと思ってた…もう2度と耀に触れる事は無いだろうと…


だからもう…絶対耀を離さない…絶対誰にも渡さない……絶対…



「あっあっあっ!!!ああっ!!しいなっ!!」


オレに押し上げられて…攻められて…耀が乱れて……大きく仰け反って…

いつもと同じ…今までと同じ…


ただ…違うのは…耀が飼い主じゃ無いって事と……今この場に…もう1人…いるって事だ。






「……はぁ…はぁ…」

「大丈夫か?耀…」

「………うん」
「な?子供大丈夫だったろ?」

しいながにっこりと笑ってオレを見下ろしてる…もう何でそんなに得意気なの…?

「…今回は…たまたまだったかもしれない…だろ…もう…少しは加減して…よ…それにさ…」
「ん?」
「なんか…聞かれてる様な気がして…恥ずかしい…」
「ああ?誰に?」
「……お腹の…赤ちゃんに…」
「まあこれも教育だろ?」
「早すぎ!!もう…Hな子になったらどうしよう…」

しいなみたいに……オレはブツブツと今から心配…

「心配性だな…耀は。」
「だって…………ねえ…しいな…」
「ん?」

「どうしてオレの事…迎えに来てくれたの?」

「は?」

「どうして?お腹に赤ちゃんがいるから…その責任?」
「………」
「もう飼い主じゃ無いのに…どうして?」


「…………耀と…一緒に……いたかったからだよ…」


しいながとんでもなくテレた顔してオレから顔を逸らしてそう言った。


「しいな…」
「耀のいない生活が嫌だったからだ。」
「どうして?」
「どうしてって………」
「どうして?しいな?」

「…………」

しいなが言いにくそうなのはわかってた…
でもオレはワザとしいなに問い続ける…だってしいなに言って欲しいから。

「しいな?」

「よ……耀の事が……す……」

「…………」

オレは催促したい気持ちをグッと抑える…だってもう少しだもん。


「……好きだからだ……」


もの凄い何か大きなモノを飲み込んだ様な言い方だったけど…
そんな言い方でもオレは嬉しい!!


「ありがとう。しいな…オレもしいなの事が好きだよ。」

「!!本当か?半獣としてじゃなくてか??」

「うん…半獣としてじゃないよ…『しいな』って人が好き。」

「………耀…」

「しいな…」
「ん?」
「オレ達これからどうなるんだろう…もうしいなの事はオレ飼えないいんだろ?
飼い主じゃ無いのに一緒にいるにはどうしたらいいの?」
「……今までそんな事した事無いからな…どうなるのか…
でもオレはもう誰にも飼われる事は無いから…」
「真鍋教授が納得するかな?」
「まあ…ちょっと難しいが…なる様になんだろ…オレが耀から離れなければいいんだから…」
「右京さんも意味ありげだったよね?」
「ああ…でもあんまり当てにしない方がいい…」
「……そうかな…」

右京さんはオレを失望させる様な事は今までした事が無いんだけど…

きゅるるるるる〜〜〜〜 !!

「あっ!」
「ん?」
「やだ…お腹鳴った…」
「何だ?腹減ってたのか?向こうでちゃんと食べて無かったのかよ?」
「何か…あんまり食べれなくて……」

色々考えて食べる気がしなかったんだよな…

「じゃあ何か作ってやる。」
「本当?」
「?…何だよ?そんなに喜ぶ事か?」
「だって…」

「………耀…」

「しいな?」

しいなが急にオレをぎゅっと抱きしめた。

「耀……」

「…………」

今度はオレの身体に自分の身体を摺り寄せてくる…
しいなの身体が密着して…あったかくて気持ちがいい……

この温もりが…心地良い…


「耀……」


オレは何度も何度も耀の名前を呼ぶ…

帰って来た…オレの腕の中に耀が…帰って来た…

それがこんなにも嬉しい事だなんて…

今までの飼い主では思った事が無い…


           だから…もう…絶対耀を離したりしない……







「これって…」

「あっ!!寝室で待ってろって言っただろっ!!!」


しいなが食事を持って来るから寝室で待ってろなんて言うから…
おかしいと思って来てみたら……

「なんなの?コレ??」

リビングが滅茶苦茶だった!!
床から壁から…壊れまくってる!!!

「しいなっ!!!これ一体どうしたの!!!」
「……仕方ないだろ…ムカついてたんだから…あの時は…」
「もしかして…あの時のままなの?あ…!!」

本当だ…窓ガラスにヒビが入ったまま…ってでもあの時はそれだけだった様な…

「!?」

耀が急にオレと腕を組んで手まで握る…?

「あの時は…もう此処には戻って来れないと思ってたよ…」

「耀…」

「だって…しいなあんなに怒ってたし…オレの言う事全然信じてくれなかったし…」

「!!!」

オレはそれを言われると…胸の真ん中がギュン!!と痛くなる。

「…仕方ないだろ?オレの子供なんてあり得ない事だと思ってたんだから…」
「そう…仕方なかったんだよ…だって今まで誰もいないんだもん。」
「……耀…」
「ん?」

「悪かった……」

しいながしゅんとなって小さな声でそう言った…耳もシッポも項垂れてる…

「…耀が浮気したって決め付けて…ヒドイ事言ったし…ヒドイ事もした…」

「しいな…」

「許して…くれるのか?そんなオレを…?
本当なら一番耀の事信じてやらなきゃいけなかったのに…」

「だから仕方ない事だったんだよ…
半獣が誕生して今まで誰1人として人間との間で子供なんて出来なかったんだから…」


本当はとってもショックだったけど…これ以上しいなを責めるのは可哀想で…

信じられなかったのはオレよりも半獣のしいなの方が当然と言えば当然だもん。

それに今はしいなとこうやって…一緒にいれるから…

飼い主だからじゃなくて…オレの事が好きだから一緒にいたいって…言ってくれたから…



「耀…」
「ん?あ…」

しいなが優しくチュッてしてくれた…なんだかとっても照れる…

「?何でそんなに赤くなる?」
「…だって…何だか照れる…」
「照れる?なんで?」
「……だから…わかんないよ!!」

本当はしいながオレの事好きでいてくれるからなんだけど…上手く言えないから黙っとく。

「変な奴。」

「変じゃ無いもん…でもこの部屋どうするの?」
「明日修理させる…それとも別な場所に移るか?」
「え?引っ越すの?」
「どうせすぐ1人増えるだろ?」
「そうだけど…」
何だか勿体無い…
「何だよ?何か文句……!!!」
「!!」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

しいなの…携帯が鳴った…

「……オレだ…」

誰だろ?

『僕…随分好き勝手やってるみたいだね?しいな…』
「……ああ…オレはオレのやりたい様にする…」
『僕の躾間違ってたかな…反抗期にしては随分歳が行き過ぎてる…』
「亨離れだ…」

真鍋教授…

『まあいい…とにかく1度こっちにおいで。話がある。』
「断る!どうせロクなもんじゃ無い。」
「あ…」
しいなが携帯で話しながらオレを抱き寄せた。

「オレはもう他の誰にも飼われるつもりは無い!オレは耀と2人で…腹の子供と3人で暮らす。」

『だからその事で話もあるんだよ。わかってないの?望月君のお腹の中には
とても貴重な赤ん坊がいるって事なんだよ。望月君の言ってる事が本当ならね。』

「……オレと…耀の子供だぞ…お前達のモノじゃ無い。」

「…しいな…」

そうか…この子って…真鍋教授達には貴重な研究材料なんだ…

何だかそう考えたらとっても怖くなって…しいなにしがみついた。


『大丈夫…警戒しなくていい。草g家から色々言われたんだよ…』

「草g家から?」
「 !!!右京さん?」



オレとしいなはお互い顔を見合わせてしまった。

右京さんが…何かしてくれたんだ……