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真白の発情期から1ヶ月…ごくごく普通に月日は流れてる…
あの後米澤には変な笑いはされるし…何も無かった!と言い切ったがどうも信じて無い様だ…
だがあまり否定するのも墓穴を掘りそうで適当に誤魔化した。
真白はテレビのおかげかオレの努力か…
話し方もまともになってちゃんと歩ける様になって一般常識も増えた。
まあ多少の天然さが残るが近所なら買い物に出たりもする様になった…凄い進歩だ!
「真白!またチョコこんなに買ったのか?」
「だってーハルキがこの前ダメって言ったからずっと我慢してたんだよー
だからちょっとくらい多くても良いでしょ!」
真白はチョコが好きだ。
前お土産に普通の板チョコを買って帰ったら嵌まったらしい。
「女の子はぁ〜チョコが好きなの ♪ 」
「………」
何を言ってんだか…
「買いに行くのはいいけどバレるなよ。猫耳と尻尾!」
「うん。気をつけてるよ。」
「それと…」
「ん?」
「よその男に声掛けられてもついてったらダメなんだぞ!」
「うん ♪ 」
軽い返事で…本当に大丈夫か?
真白とのこの生活も後…3ヶ月ちょっと……
「ハルキ〜〜おはよう ♪ ちゅっ ♪ ちゅっ ♪ ちゅっ ♪ 」
「ん〜〜〜ちょっ…やめ……」
最近真白は自分からオレにキスをする…
まあ顔にする軽いキスだからそう邪険にしないけど…何なんだかな…この光景…
相変わらず朝起きると裸になってる時はあるが回数は減って来た…
オレがつけた真白の身体の赤い印はもう1つも残ってない……
当たり前だけど…
「どう?真白ちゃんとの生活は?」
会社で休憩中に米澤に声を掛かられた…ホント普通に馴染んでるよな…
しかもちゃんと仕事もこなしてて何気に同僚に受けも良い…
魔女なのに…
「どうって…至って普通に過ごしてるよ…」
「まだ猫のままって事は……やっぱり無理なのかしら…」
「…………」
「って言うわけでも無いのかしら…ね?」
「さあな……でもなんとなく真白は面倒見てるって気分の方が強いから…
もしかしてこのまま…ってのもあり得るかもな……」
オレはタバコの煙を吐き出しながら心此処に非ずみたいに米澤の事は見ないで返事をした…
その答えはまだオレの中にちゃんとしてないから他に言い様がない…
「どうせいなくなっても記憶が無くなるから辛くも無い……か。」
「 !! 」
「まあ人の心の事だから…それはそれで仕方ないわよ。気に病む事じゃないわ。
もともとこっちも強引な事してるのは間違い無いんだから…」
「ホント…強引な事してるよな………なあ」
「ん?」
「猫は…真白はもうあの姿になったから…もしこのまま帰ったら…
もう人間とは恋は出来ないのか?」
「………あの黒猫娘ね…」
「ああ…色々聞いた…」
「だから他の飼い主との接触は避けてるのに……本当よ。でもだから何?」
「は?」
そんな事を切り返されてちょっとビックリした…
「それを知ったからって真白ちゃんを抱く決意でもした?同情は止めた方が良いわよ。
きっと後で後悔するから…だったらこのまま何事も無く彼女を国に帰してくれていいから…
こっちに来てる猫は皆それを覚悟して来てるんだから…そんな所に同情しなくていいわよ。」
「…………」
「そんな事を思うんだったらちゃんと真剣に真白ちゃんの事考えて…まだ時間はあるんだから…」
「…………」
「じゃあ仕事あるから…」
「ああ…」
廊下を歩く米澤の後ろ姿をぼーっと眺めながら言われた言葉を思い直す……
時間……本当にあるんだろうか……
あと……約3ヶ月……
「ふふ〜〜ん ♪ ♪ 」
ハルキに言われたことに気をつけて外に出た。
今まではずっと部屋の中にいて…テレビを見て…
窓から外をながめて…ハルキが帰ってくるのをずっと待ってた…
でもそれでもましろは全然へいき ♪ だってハルキはちゃんとましろのところに
いつも帰ってきてくれるから…ただいまって…帰ってきてくれるから…
でもましろはこの猫の耳とシッポがなくならないとハルキとずっと一緒にいれないらしい…
最初にいろいろ聞いたけどハルキと一緒にいれるのがうれしくて
あんまり聞いてなかったからよくわからないけど…
どうしたらこの耳とシッポ消えるんだろう?
あの人に聞けばわかるかもしれないけどなるべくあっちの人には会いたくない…
だって…無理やりハルキの所から連れて行かれちゃいそうに思うから…
ましろはずっとハルキのそばにいるんだもん…ずっとそばに…
だからはやくこの耳とシッポが消えればいいのになぁ〜〜〜
「あ!」
「 !! 」
外に出たらずっと前にましろに飛びついた猫とバッタリと会っちゃった!
「むう〜〜〜!!」
上から目線で睨んじゃう!だって今はましろの方が大きいもん ♪
「……ニャ!!」
チラリとましろを睨んで行っちゃった…
「へへ〜〜〜んだっ!!ましろ勝った!」
気分楽しくお外をさんぽ ♪
ボウシもかぶってるから耳は見えないし洋服も長いからシッポも見えないもん ♪
外って楽しいな〜〜 ♪
今度またハルキに 「 バイク 」 って言うのに乗せてもらおう。
あれ気持ちいいんだもん ♪
色んな言葉も気持ちもおぼえた…
いつどう使うのか時々わからないけどでも大丈夫だもんね〜〜 ♪
「ん?どしたの?」
小さい小さい女の子が木の上をずっと見てる…
「ん?」
ましろも上を見たらちょっと上の枝になにかふよふよ浮かんでる…あれなに?
「あれ欲しいの?」
うんって頭をコクンってした。
「ん〜〜〜〜!!」
伸びをしたけどあとちょっと届かない…
「もう少しなのにな…よーし…にゃっ!!!」
思いきり飛び上がったら届いた!!
「やったぁ〜〜 ♪ はい!」
枝からとったフワフワするのを細いひもごと渡したら女の子がニッコリ笑ってくれた。
「……っと!」
そう言ってぺこりとするから…ありがとうって言ったのかな?
「よかったね ♪ 」
ましろもニッコリ笑ってあげた。
「百花…」
「ぱぁぱ…」
「 !! 」
ハルキじゃない大きな男の人とこんな近くで会うなんて…ましろは初めてだった…