02

  椎凪 : とある資産家の御当主様。数ある会社を取りまとめてるグループの経営者の1人。右京の知り合い。
   耀 : 右京の腹違いの妹。草g家に狙われていてずっと逃げ回っている。椎凪に捕まって監禁!






ぴくん……!

ベッドの上に投げ出されたオレの手がピクリとなった…

「……あ…」

最初と違ってそんな声がオレの口から零れた……

『 夫婦ならする事… 』

そう言って彼がオレをベッドに押し倒した。
彼の手と…舌が…オレの身体をずっと触り続けてる…
それが…今まで感じた事のない感覚で…こんなの初めてで…

身体が…溶けそう……


「気持ちいいか…」

そっと…囁かれた…

「……う…ん……」

オレはずっと目を瞑ってる……

今日…初めて会った人なのに……
力尽くで…オレの事…抱いた人なのに…なんでこんなにこの人に感じるんだろう…


でも…この人は道具としてだけど…オレの事が必要だって言った…
オレの事…絶対守ってくれるって……


身体がホワンと変な感覚で…辛いとかじゃない……でも何か我慢出来なくて…
彼の頭をギュッと抱きしめてた…
だから彼がオレの膝の後ろに手を掛けてオレの足を広げたのにも気が付かなかった…

「……うっ!…は…ぁ……」

彼が…ゆっくりとオレに入って来て…身体が大きく仰け反った…
その時…またこの人に抱かれたんだと改めて気付かされた……


「痛くなかっただろ?」
とっても近い所で彼の声がした。
「……う…ん…痛く…ない…」
オレはまだ目を瞑ったまま…何で痛くなかったのか分からなかったけど…
ちょっとだけ頷いた。

「なら今度は 『イカせて』 やる。」
「…え?…何?」
今…なんて?

ギ  シ  ッ  !!!

「……うっ!……ああっ!!!」

彼が急に体勢を変えてオレの足を抱え上げて強引に…深くオレに入って来た。
苦しい体勢で息も詰まる。

「やだ…こんなの…いやっ!!!」

さっきまであんなに優しくしてくれてたのに…急に激しくオレを攻める。
彼に身体を押し上げられる度に…ベッドに身体が沈む…
苦しくて彼を押し戻したけど…ビクともしない…

「……ハァ…ハァ…や…」
「すぐ良くなる。」
オレの頭の上で彼の声がする。
「うそ…だ…ンッ…ン……」
もう話すのも苦しい…また涙が込み上げてくる…



オレの身体の下で…オレが今まで相手にしてきた女とはまるで違う…
まだ幼さが残る 『ガキ』 と呼べる様な奴がオレに攻められて…涙を溢してる…

自分でもこんなガキ相手に何してんだと…そんな考えが頭を過ぎるが
とにかく何度も抱いて…オレに服従させるためだから仕方ない。

でも…こいつを見てると何故だか無性に攻めたくなる……
泣かせて…乱れさせて…オレだけの女にしていく…

そんな事を思いながら喘ぐような息を繰り返してる口を強引に塞いで…
躊躇してる舌にオレの舌を思いっきり絡ませて…
ディープなキスをプレゼントしてやった。


「……はぁ…はぁ…」

やっと放してもらって…動けないままベッド上で喘いでた…
『イク』 って事がどんな事か…たっぷりと身体に憶え込まされた…
だから…余計に動けなくて…

「これから毎晩抱いてやる。バテんなよ…」

顎を掴まれて後ろを向かされた…彼が後ろからオレを覗き込んでる。

「毎…晩…?」
思わず聞き返した。
「ああ…」
「毎晩なんて…無理……身体…もたない……」
オレは半ベソでそう返事をした。
「何言ってんだよ?そんな事無いだろ?今だってちゃんと出来てただろ。」
「……あ…」
彼が後ろからオレを抱きかかえて肩に自分の唇を押し付けた。
そのままオレの肩を舐め始める…くすぐったくて…あったかくて…
思わず声が漏れた。

「始まれば身体が勝手に反応するくせに……だから心配なんてする必要無いだろ…」

「そんな…事…ない…無理だもん……あ…やめ…」

そんな会話をしながら彼の両手がオレの胸を優しく揉み上げていく……
指先の感触が優しくて…くすぐったくて……でも…また始まるの?…かな…
どうしよう…本当にもう…無理……


肩から背中に向かって舌を這わせながらまだ自分が満足して無い事に気が付いた。
いつもならサッサと終わらせてるはずなのに…

そんな事を思いながらそう言えばコイツの夕飯…まだだったと気が付いた。
でももう少し遊んでからにしようと決めて…オレの下にまた仰向けに押し倒した。


散々あの人に抱かれて…身体が動かなくていつの間にかウトウトと眠ったらしい。
目が覚めてフラフラと浴室に歩いて熱いシャワーを浴びた。
身体が言う事を利かない…腰と両方の腿が特に痛くてぎこちない歩き方になる。

「オレ…男の人と……」

今朝はこんな事になるなんて思ってもみなかった…視界に足枷が見える…

「…うっ……」
急に涙が込み上げて堪え切れずに泣いた…


やっとシャワーを浴び終わって部屋に戻るとソファの前のテーブルに夕飯が置いてあった。

「いつの間に…」
和食中心の魚にみそ汁に煮物に…今置かれたのか料理からは湯気が立ってる…
「ふわぁ…美味しそう…」
オレは床に直接ペタリと座るとじっと料理を見つめた。
人に作ってもらったご飯食べるのなんて久しぶりだ。
「い…いただきます。」
オレは何も考えず12時間ぶり以上のご飯を頬張った。



「……寝れなかった……」

もう朝だ…結局昨夜は眠れなかった…
色々な事がありすぎて…色々な事を考えすぎて…ベッドが豪華すぎて……

「夢じゃ…ないんだよね…」
部屋から見渡せるパノラマ写真の様な外の風景を眺めてそう呟いた。

それからしばらくして昨日彼と一緒にいたあの男の人が朝ご飯を持って入って来た。
キチっと背広を着こなして短めの髪にとっても頭の良さそうな顔…

「後で慶彦様がいらっしゃいますのでそれまでに食べ終えておいて下さい。」

昨夜と同じ落ち着いた声だ…
「あの…あの人一体どう言う人なんですか?草gの方とも関わりがあるんですか?」
あの人は昨夜は何も話してくれなかったから…それに聞ける状態じゃなかったし。
「……………」
え?何…冷たい視線で見られてる???
「……あの方は 『椎凪 慶彦』 様とおっしゃいます。
草g家ほど古くはありませんが古くから続く旧家の御当主です。」
「当主?」
「なので草g家の右京様とも昔からお付き合いが御座います。」
「…………」
「 『S・Y・J・グループ』 はご存知ですか?」
「…………」
フルフルと首を振った。

「………… 『椎凪家』 ・ 『屋咲家』 ・ 『城嶋家』 で造られている企業グループです。
共同経営者として3家があらゆる分野に進出していると言う訳です。
慶彦様はその共同経営者の1人で大変お忙しい身でおいでになられる。
ですからあなただけに時間を裂く訳にはいかないのですよ。わかってもらえますか?」

「………!!」
もしかして…オレ…この人に嫌われてる…?
「確かに貴女は草g家と繋がりがある。ですがそれ以外は何も無い。
貴女よりも身分も家柄も教養もある方は沢山おいでになられた。なのに…」

なのに…?何でオレって言いたいのかな?
そんな…オレだっていきなりこんな目に遇ってるっていうのに…

「………」 「………」

2人でしばらく沈黙してしまった。

「……ただ…あの方が決めた事ですので私は従うまでですが……」
「………」
「では…先程申し上げた事…宜しくお願い致します。」
一応頭を下げて出て行った。

「………オレだってどうしていいかわからないのに……」

子供の頃から全ての事に諦めるクセが身についている。
期待しても何一つ願いが叶った事も無いし…手に入った事も無いから。
だから今のこの自分の置かれている状況も…ほとんど諦めてる…

だって誰かが助けに来てくれるなんて事…絶対ないもん……

「…食べようかな…」
こんな時でもお腹は減るんだな…でもオレのただ一つの楽しみは食べる事だから…
昨日から食事はとっても豪華で…今朝も野菜のサンドイッチがたくさんにに
スクランブルエッグにコーンスープにヨーグルトに果物…
ちゃんと別にコーヒーがポットで用意されてる…

「美味しい…」
何だかホッとする…

朝ご飯を食べ終わる頃…本当に彼がやって来た。



「……飯だけはしっかりと食うんだな。」
「…………」
綺麗に平らげた食事のお盆を見てちょっと呆れた様に言われた。
オレは内心ビクビクしてた…だって彼が此処に来る理由は…1つしかないから…

また…抱かれるのかな?
また…あんな風になるまで…攻められるのかな…

「?…何でそんな顔してる?」
言いながらオレが座ってるソファの方に歩いて来る…心臓が…ドキドキ…

「立て。」

「…………」
言われた通りその場で立ち上がった。
「此処に来い。」
呼ばれて…おずおずと歩いて彼の前で止まる。
彼の手が伸びてオレの顎を軽く指先で持ち上げた。
「眠れたか?」
「…………」
フルフルと首を振った。
「意外とタフだな。」
「?」
って顔で彼を見つめた…だって言ってる意味がわからなかったから。

「あんなにオレの相手して寝なくても平気なんだろ?」

「…!!!…ち…違う…!!!」

「まあ飯が食えてるなら心配ないな。」
「!?」

この人今 『心配』 って言葉…使った?心配してくれてるの?オレの事……


「夜また来る。大人しく待ってろ。」

「………!!!…ん…」

そう言って彼がオレにキスをする…オレは一瞬ビクリとなったけど何とか耐えた。

「…ふ………ぁ……ン……」

舌を思いきり絡まされて息が苦しい…こんなキスオレまだ慣れてない…
舌で攻められて立ってられなくて思わず彼の腕に手を伸ばした。
腕に触れた途端身体ごと持ってかれて抱き上げられた。

「!!!」

何?…まさか…うそ……!!そのままベッドに連れてかれた!!

「時間無いから夕べみたいに優しく出来ないからな。」
言いながら浴衣の紐を解いていく…

「…あ…やだ…痛いの…や………あっ!!!ひっ…!!!」

一気に押し上げられて……身体も気持ちもついていけない…

「…ううっ!!……」
押し上げられる勢いに耐えられなくてギユッと彼の肩にしがみついた。
「……ああ……」
それでも大きくのけ反った……



「…大分慣れたか?もう痛くなさそうだし。」
「…………」

何度か押し上げられた後そんな事を言われた…
彼の言った通り痛かったのは一瞬で今はもう身体が彼に反応してる…
やだ…恥ずかしい……まだ…数える程しかしてないはずなのに……

「…うっ…うっ…うぁ!!」

昨夜から…最後は身体の中が弾けて……気が付くと……

彼はいつもいないんだ……




「…え?……」

目が覚めて…ぼーっと天井を見てた…
オレ…何してるの?ここ…何処だっけ…?

「 !!!…あっ!バイトっ!!」

そう叫んで起き上がって…一瞬で全てを理解した。
「…あ…」
裸の身体に浴衣が掛けられてた…


「あ…オレ……ああ…そうだ…やだ…バカだな…バイトだって…フフ…はぁ…」


時計を見たらもうすぐお昼を指す所だった…ああ…オレ眠っちゃったんだ……

そのまま力無くベッドから下りて…ここに来てから何度目かのシャワーを浴びた。






「おい椎凪。 『麗華』 の萌ちゃんがお前に会いたがってたぞ。」
「は?」

ここは椎凪の会社の応接室。
今 『城嶋家』 の息子の1人 『城嶋 芳樹』 が訪問がてら椎凪の所に遊びに来たと言う訳で…
年が近いせいか子供の頃からの幼馴染みでもある。

「お前が相手してやれ。」
「俺でもいいんだけどさぁ…なんか本命はお前ってわかってるとナカナカ…な。」
「なら放っとけばいいだろ。」
「はぁ〜〜あ!相変わらず冷たいねぇ〜お前は。」
「いちいち商売女相手にすんな。お前も相変わらずだ。」
「あのさ。折角幼馴染みが会いにきてやってんのに書類から目離せよ。」
ソファの背凭れに寄りかかりながら呆れた様に話し掛ける。
「お前と違って忙しいんだよ。オレは!」
「剥げるぞ!」
「剥げるか!お前の方が危ないんじゃねーの。」
そう言ってニヤリと笑った。
確かに髪の毛に弾力が無く…細い。

「おまっ!!人が気にしてる事っっ!!か〜〜〜可愛くねぇっっ!!」

「……何しに来たんだよ。ヒマ人。」
「ヒマ人じゃない。一緒にお昼食べようと思ってな。久しぶりだろ?」
「………やっぱヒマ人じゃねーか。」
「違うって!なあ…たまには一緒にメシ食おうぜっ!!し・い・な・ぁ 〜〜〜 ♪ ♪ 」
「変な声出すな!」
「なら夜飲みに行こうぜ。お前の奢りで!」
「何でだよ。行かねーよ。」
「ええ?何で?」
「用事がある。昼なら付き合ってやる。お前の奢りで。」
「用事?用事ってなんだ?仕事関係か?お前にしちゃ珍しいな。
いっつもそう言う事は他の奴に任せてるだろ?」
「仕事じゃない…いいから詮索すんな。行くなら早くしろ。時間がもったいない。」
「……何だよ。怪しいな…なんだ女か?」
「うるさい。違う。」
「じゃあ何だよ?」
「………?…ああ言うのはなんて言うんだ?」
「は?何だよ?聞こえねーよ。椎凪!」
「うるさい。」

突っ込んで聞いて来る芳樹を適当にあしらって早々に会社を後にした。


「……これって…?」

夜遅く彼がオレの部屋に来た。
しかも…オレにとって初めて見る…あるモノも一緒に……

「婚姻届だよ。」
「こ…婚姻届?」
「昨夜話しただろ…もう忘れたのか?」
「あ……」
そうだ…この人オレと結婚するって言ったんだ……
「…ほ…本気だったんだ…」
「!?…当たり前だろ!冗談であんな事言うか。」
「……初めて見た……」
ペラペラの1枚の紙……もう彼の署名と捺印がされてた。
「明日までに書いておけよ。」
「え?…あ…はい……」

ホントに?本当にオレ…書くの?書けるの??

「来い。」
……ビクン!!
突然で…思い切り身体がビクンとなっちゃった…怒られるかな……
「警戒すんな。」
そう言ってソファに座ったままオレの事を待ってる。
「…………」
オレは無意識に浴衣前をギュッと握ってた…
そんなの無駄な抵抗だって…わかってるのに…

「座れ。」
「…………」
言われた通り隣に座った。
「………朝はあの後眠れたか?」
「…!!…は…い…」
「じゃあ少しは体力回復したな。」
「え?」
「膝に来い。」
「………あの…」
「オレの方に向いて座れ。」
「…………」
もうオレはドキドキで…だって…足を少し広げなくちゃいけないから…
自然に浴衣の前が広がって…ちょっとでも動くと見えちゃいそう…
だから必要以上に前が気になって手で必死に押さえてた。
「……あの…」
「ん?」
「……あの…し…下着…穿きたい……」

ここに来てからずっと穿いてない状態で……何でなんだろうとずっと気になってた。

「必要ないだろ?すぐ脱がされるんだから。」

「……え!?」

すごい真面目な顔で言われちゃった。
「え?でも…穿いてないの気になるし……」
「オレの手間が省ける。」
「……………でも……」
そりゃ…時間が惜しいって言うのわかるけど…でも…
「あっ!!」
浴衣の前をいきなり広げられた!!
簡単に肩から浴衣が肌蹴て裸の上半身が露わになった。
「な?要らないだろ?」
「……………」
胸を隠せない様に両腕を二の腕の所で掴まれた。
「…ちゅっ…」
「…はうっ!!!」
彼が…少し屈んでオレの胸を舐め始めた…

「あっ…あっ…ああ!!」

鎖骨から…胸の谷間に…
そのまま両方の胸も…胸の先も…力強く…舐め上げていく……
仰向けの時とは違う感触で…背筋がゾワリと粟立った……

「……や…あ…」

大きく後ろに仰け反った…その背中を彼の腕が支えて…抱き起こされた…
その時…オレの背中に触れた彼の腕は…暖かくで…力強くて……
そう言えば昨夜から…この腕と手に支えられてたな…って…何故だかそんな事を思ってた…

母さんが死んでから……ううん…死ぬ前から…
男の人にこんなに力強く抱きしめられたり…支えられたりした事が無かったから……
こんなに他人と…係わった事なんて…無かったから……
オレは彼の身体に腕を廻して必死にしがみ付いてた。


されてる事は今のオレにはまだ辛くて…嫌な時もあるけど…
この腕と…手の暖かさだけは…いつまでも感じていたいと…

真っ白になっていく頭でそう思った……