03

  椎凪 : とある資産家の御当主様。数ある会社を取りまとめてるグループの経営者の1人。右京の知り合い。
   耀 : 右京の腹違いの妹。草g家に狙われていてずっと逃げ回っている。椎凪に捕まって監禁!






ソファで散々攻め抜いた。
その後ベッドに放り投げて多分もういっぱいいっぱいだろうと思いながらも
『ガキ』と思ってるコイツの身体を貪った。

何故だか飽きない………どんなに抱いても攻めても……飽きない。

今までは一度抱き合えば満足で何度も同じ相手となんて数える程しか無い。
それが何でだ?確かに反応が面白いのは確かだ。
今までの相手はそれなりに慣れてる女ばかりだった。
だからお互いに…相手が何を求めてるかわかってるからか…それなりに燃え上がりはした。

………何が違う?コイツはそいつらとどこが違う?

オレの邪魔ばかりする。すぐバテる。すぐ泣く。
すぐ…そんな顔をする……
何だ?この目は……この顔と目を見てるとこう…構いたくなって…
くちゃくちゃにしたくなって…気がつくといつも本当にクチャクチャにしてた。

「…は…あ…や…」

「!!!」

それにこの声だ…こんな声のどこが他の女と違うのか…同じだよな……
なのに耳の奥に響いて…木霊して…オレを余計その気にさせる…

「…うっ…もう…む…り…」
片手で涙に濡れてる瞼を擦りながら…
もう片方の手は口元を押さえながらそんな事を呟く。

「もう少し付き合え…オレはまだ満足してないんだよ…」

「…あな…たが…ヒック…満足するために…オレ…だか…れてる…の?」

「!!!」

ああ…そうだ…そうだった…そうなんだよな…オレがコイツを抱くのは……

「……ンッ…!!!アッ!」
片脚を彼が自分の肩に担ぎ上げた…
「たかが2日で随分慣れたな。」
「……ハァ…ハァ…そん…な…」
「…頑張れよ。」
「………え…?」

それからコイツの『やめて』って言う声を聞いた気がしたが…
オレはそんな言葉はあえて無視して…もう抵抗しなくなった華奢な身体を…

満足するまで攻め続けた。



「………ん……」
「お……ろ」
「……んん…?」
「…起きろ。」
「……え…?」
まだはっきりと目が覚めなくて…何?

「……ンッ!!!ン!ン!!」

いきなりキスされて舌まで入れられてビックリして目が覚めた!

「なっ…何!?」
「起きろ。」
「え?あ…」
見上げると彼がオレを見下ろしてた。
それに珍しく背広じゃ無い…普通の洋服だ…初めて見た。
「……!!うわっ!!」
やだ…オレ裸だ!浴衣を掴んで浴室に逃げ込んだ。

夕べ…あのまま寝ちやったんだ…
って言うか途中から意識がなくなっちやったんだけど…

「あの…シャワー浴びても…」
浴室の入口から顔だけ出して聞いた。
「急げよ。」
「はい…」


「ビックリした…」
シャワーを浴びながらそんな言葉が零れた。

「何もいきなりキスしなくたって…」

どうしたんだろう…心臓がドキドキしてる?



おっかなびっくりで部屋に戻ると彼がムッとして立っていた。
手には婚姻届け…
「!!」
ギロリと睨まれた。
「?」
「書いてない。」
目の前にピラリと差し出された。
「え?…あ…だって夕べは………」
「朝まで1度も起きなかったのか?」
コクン…と頷いた。
「チッ…仕方ないな。なら今書け。」
そう言ってテーブルの上に婚姻届を置いた。


「………」

昨夜からテーブルの上にはボールペンと印鑑は用意してある。
オレはソファに座って…手に印鑑を持って婚姻届けと睨み合ってる。
何とか名前は書いたけど…印鑑を押す勇気と踏ん切りがつかなくて……
隣には彼が脚と腕を組んで…痛いくらいの視線でオレを見てる…

「……はぁ…」

もうどのくらいこの状態が続いてるんだろう…
でも…オレもずっと心臓がドキドキいってる……その時彼が動いた!

「ったく!!!いいから早く押せよっ!!」

そう言って印鑑を握ってるオレの手ごとがしっ!!っと掴んだ。

「あっ!!」

バ ン ッ ッ !!

狙った様にオレの書いた名前の横の(印)の場所に印鑑が振り下ろされた!!!

「ああっっ!!!」

押された印鑑はあんなに勢い良く押されたにもかかわらず…
ズレる事無く…本当に綺麗に捺印されてた……

「あーーーーーっっ!!」
オレは思わず絶叫!
「何だよっ!!何か文句あるのか?」
彼が思いっきり不機嫌にオレに言う。

「もーひどいっ!!心の準備してたのにっ!!一生に一度かもしれなのにっ!!
自分で押したかったのにーーー!!!」

オレは何も考えず叫んでた。
だって本当にそう思ってたから……

「一生に一度だよっ!!!」

「……え?」

「何があっても離婚はしない。
お前が別れたいって言っても絶対離婚はしないからな。覚悟しとけっ!!!」

珍しく…彼が照れ臭そうな…バツの悪そうな…
そんな素振りでオレから視線を外してそう言った。

「…………」

オレはそんな彼をしばらく見つめてしまった……

「お前と別れたら草gとの繋がりが切れるだろうがっ!!だからだよっ!!」

何だか慌てて付け足す様にオレに向かって話してる。

「え?…あ…うん…」

オレもそうだと思ったけど…?…どうしたんだろ??


「ほら行くぞ。」
急に彼がそんな事を言ってオレをせかす。
「え?」
オレは直ぐに反応出来なくて彼を見上げてた。
「一緒にこれを出しに行くんだよ。それに外に出たいだろ?」
「え…外に…出てもいいの?」
「ああ…少しの間だけどな。」
「うん!ありがとう……」

オレは意外な彼の申し出にニッコリと笑ってた。



「なんか恥ずかしい……」

役所に届けを出してその帰り…彼が洋服を買ってくれるって言うから…
今時の若い女の子が着る服を選びにお店に入った。
今日出かける時に着てた服はオレが男の子として生活する為の服だから
シャツにズボンだったんだけど…彼に『もうちょっと洒落たの選べ!』って言われて…
でも連れて来てくれたお店はオレなんかには買えない様な…とっても金額の高い服のお店…
何着かお店の人が選んでくれて…そのうちの一着を試着して彼に見せてる所なんだけど…

今までこんなヒラヒラした…しかも膝上のスカートなんて着た事無かったから…
試着室のカーテンを掴みながら恥ずかしさに耐えていた…

「それにナンカスースーする……」

スカートの裾を押さえながら訴えた。


「…………」
試着室から出て来たあいつを見た途端…何だかおかしな具合になってきた。
心臓の鼓動がナゼか早く動き出してる…
しかも…あんなガキんちょと思ってたあいつが『可愛い』と思えるなんて…
ガキだぞ…ガキ!!…でも…

「もう脱ぐっ!!」

そう言って試着室に戻ろうとするあいつに…
「待て!」
「…え?」
「そのままでいい。今日はその格好でいろ。」
なんて声を掛けてた。
「 ええっ!? 」

ホントにオレは……どうかしてる。



服を買った後そのままブラブラと街を歩いた。
あいつは愉しそうに…キョロキョロしながら歩いてる。
オープンカフェで休憩してる間に何個か溜まってる電話を掛ける。
そんなオレを横目にすぐ傍の雑貨の店先にあいつがちょろちょろと歩き出したのは分かってた。
ただ話の内容が結構込み入った話になってあいつから視線が逸れた。

「……ああ…だからその件は……」

言いながらチラリと視線をあいつに向けると…

「 !!!…なっ!!」

「えっと…あの…その…」

思いっきり男2人にナンパされてやがったっ!!!

ぐ い っ !!

「 あっ!! 」

速攻傍に寄って後ろからあいつの身体に腕を廻してオレの方に引き寄せた。
相手の男2人に殺気を込めた視線を送るのを忘れない!

「チッ…何だよ…男連れかよ。」

そんな捨て台詞が聞えた。

「ったく!!何やってんだよっ!お前は!!!!」
「別に…オレは…何も……」

確かにこいつは何もしてないと思うが…何だかムシャクシャが収まらず……

「オレの傍から離れんなっ!!」

そう言いつけて話の途中だった電話を続けた。

「……はい…」

あいつはシュンとして…大人しくオレの真正面のイスにチョコンと座った。



「……愉しかったな…」

その日の夜…部屋から夜景を眺めながらそう呟いた。
あの後…しばらく街を歩いて夕飯も外で済ませて帰って来た。
相変わらず戻ると足枷を嵌められたけど…
仕方の無い事と何となく諦めがついてる自分がいた。

婚姻届は何のトラブルも無くあっさりと受理された。
あっけ無いもんなんだな…なんて思った。

オレはふと…入り口のドアを見つめる…
今夜は…彼…来ないのかな……忙しいって言ってたもんな…
昼間オレに付き合ってくれたから…きっと今頃大変なんだ…

オレ……あの人のこと……待ってる…の?

自分でも分からないけど……そうなの?
だって…きっとあの人が来たら…また思いっきり抱かれるのに…
辛いのに…苦しいのに…恥ずかしいのに……嫌…なのに……

嫌…なのかな…オレ…
いつもいつもあんな風にされて…オレ……でも……


バ タ ン !!

「 !!! 」

いきなり入り口のドアが開いた。
「起きてたか。」
「……はい…」

彼が…来た……

ソファに座って目でオレを呼ぶ…オレは黙って隣に座った。

「手を出せ。」
「?」
「いいから…左手出せ。」
言われるまま左手を出した。
彼がオレの左手を掴んで自分の方に引き寄せる…何?

「…あ……」

オレの左手の薬指に…プラチナの指輪が嵌められた。
「今は…オレは事情があって嵌めるわけにはいかないから…しばらくお前だけだ…」
「…え?」
「いつか…もう少し経てばオレも嵌める。」
「…………」

ナゼか…そんな言葉が胸に沁みた…

「今日から…お前は 『椎凪 耀』 だからな。わかったか。」

「……は…い…」

そんな当たり前の事言われたのに…ドキリとした。

「…あ…」

「…ちゅっ…」

彼が…優しくキスしてくれた…
いつもの激しく舌を絡ませるキスじゃない……

「…ん…ン…」

身体に腕を廻されて…抱き寄せられた…
それでも優しいキスを続けてる…一体…どうしたんだろう……

そのまま抱き上げられて…ベッドに連れて行かれた…
静かに2人でベッドに横になる…また激しく抱かれるのかなって覚悟してたけど…

でも…その時の彼は…
オレを抱く時も優しかった…途中から激しくなるなんて事は無くて…

ずっと最後まで…優しくオレを…抱いてくれた…