yoshihiko&tooru01

* このお話はBL要素を含んだお話です。苦手な方はご遠慮下さい。
  本編とは全くの別なお話になっていますので本編とは切り離してお読み下さい。 
  椎凪が5歳の時に施設から引き取って亨が育ててます。椎凪は心も身体も亨に愛されてます。 *




「椎凪携帯貸せ。」

休み時間早坂がいきなりオレに声を掛けて来た。
「何でだよ。」
疑いの眼差しで返事をした。
「いいから貸せ!」
「変な事すんなよ。」
「しねーって。良い事だよ。」

ニヤニヤ笑ってやがる…怪しい…
「ほらよ。」
ポンと放り投げられた。
「何だよ?」
「昨日知り合った女子高生のメアド入れといてやった。
お前のも教えてやったから遊んでやれよ。」
そう言ってオレの肩に腕を廻して来る。
「はあ?勝手な事すんなよ!これで何度目だよ。
またアドレス変えなくちゃなんねーじゃねーか…」
早速携帯をいじりだすと横から早坂の手が伸びて来て携帯を 取り上げた。
「おい…」
「もーいい加減にしろよ椎凪!
健全な青少年が女に興味無いなんて不健康そのものだぞ!
しかもダサい奴なら分かっけどその気に なりゃ
そこいらの女なんて誰でもOKする顔してるくせにわっかんねーな!」
腕を組んで首まで振られた。
「興味ねーもんは仕方ないだろ?お前は有りすぎ。 通り越して下心バレバレだぞ。」
「それが普通だ!」
「アホか…それにアイツにバレたら家から叩き出される。」
「あの保護者か?」
「ああ。」
「ウルサそーだもんな…話聞いてっと…てか女嫌いなのか?」
「ウルサそーなんじゃなくて煩いんだ。半端無い位…」
「って事はもしかしてこっち好みって事か?」
親指を立てた。
「さあ?女とは気が合わないらしい。嫌いじゃないとは言ってたけど?」
「フーン…訳わかんねー…」

ホントの事なんて言えるかっての…

「早坂!慶くんを変な事に誘わないでよ!」
「…うげっ」
そう叫んでいきなりカズが後から首に抱き着いて来た。喉が絞まる!
「慶くんには僕がいるから女 なんて要らないの!」
マジで反論してる。
「やかましいカズ!テメェも椎凪が女と遊ぶのに邪魔なんだよ。
来る娘来る娘全部追い返しやがって…」
「当たり前だろっ!誰も僕の慶くんに近付かせるもんか!慶くんは僕のモノなのっ!
女なんかに指一本触らせるもんか!汚らわしいっ!!」
更に抱き着かれて首が 締まる。
「ちょっと…カズ…苦し…」
「慶くんにこんな事出来るのは僕だけなんだからね!!」
「バッカじゃねーの?そんな事俺だって出来んぞ!」
そう言ってカズの上からオレに抱き着いて来た。
「バカ…苦しいって…」
二人の顔がオレの真横にある。
一つは眉を寄せてもう一つはニッカリと笑って… 挟まれてる…どうでもいいが…重い…
「おっ!何してんだよ?俺も混ぜろ。」
「あ!俺も。」
後から入って来た奴らまで抱き着いて来た!
「ふざけんなっ!バ…」
「椎凪ー愛してるゾー」
愛の告白まですんなっ!
「ダメ!慶くんは僕だけがが愛してんのっ!!離れろーーっ!!」
「お前…ら…全…員…どけ…」
死ぬ…
「ヤダーっ!慶くん僕まで邪魔者扱いなのーヒドイっっ〜〜〜!!」
更に首が絞められた…


「あ!ヤベっ椎凪の携帯持ってきちまった。」
学校を出て直ぐに上着の ポケットに入ってた携帯に気が付いた。
ふざけて取り上げたまま返すの忘れてた。
どうしようかと思ったが何だか奴の家に行ってみたくて届ける事にした。

「おう。」
玄関のドアを開けるとにこやかな早坂の笑顔と対面した。
「余計な事するからだ。」
「お前も無い事に気付けよ。」
オレに携帯を渡しながら ため息交じりで言われた。
「オレのせいにすんな。上がってくか?」
「いいのか?」
「カズもいるけど。」
「またいるのか?アイツ!」
「二軒隣りだから…小学校から一緒だし。」
目線だけ横を向いた。
15階建てのマンションの7階だ。
「フーン…」

「あ!早坂?何しに来たんだよ! また僕と慶くんの仲邪魔しに来たな!」

リビングで対面するなりいきなり戦闘体制突入だ。
「カズ…いい加減にしろよ。」
学校での首絞めを怒られた ばかりだ。
「ちえっ…」
仕方なくソファに身体を戻した。
「保護者様は?」
「仕事。まだ帰って来ないよ。」
「早坂なんか亨ちゃんに叩き出され ちゃえばいいんだ。」
「亨ちゃん?」
「保護者様の事。カズはそう呼んでんの。」
「なあカズ。『亨ちゃん』ってどんな奴なんだ?」
俺は会った事が無い。
「亨ちゃん?悪魔みたいな奴だよ。意地悪で底意地悪くて…人を見下して…サドだし…
僕と慶くんの仲を邪魔してばっかでさ…
亨ちゃんなんか…馬に蹴られて 死んじゃえばいいんだぁーーー!!!」
カズが何処かに向かって吠えた。
その瞬間… が し っ !! っとカズの頭が掴まれた。



 「!!!」
 「カズが死にな…
 邪魔なのはカズだよ。」
 リビングが一瞬で凍り付いた。
 いつの間に…?
 「イデデデ…ギャアー
 頭が割れちゃうっ!!」
 「人んちのリビングで
 喚くんじゃないよ。」
 もがくカズをもろともせず
 頭を鷲掴んだまま
 ギシギシと力を込めてる。




「で?誰?」
何度も謝させられた後カズはやっと許して貰った。
それから初めて家に来た早坂に視線を向けての一言だ。
「同じクラスの早坂。」
「は…初めてまして…」
何だか緊張してるらしい…妙にぎこちない?
「いらっしゃい。」
「どうしたんだよ?やけに早いじゃん。」
普段より3時間も早い。
「必要なもの取りに来ただけ。今日遅くなるから。」
「わかった。」
「…!?」
早坂がボーッと亨を見つめてる。
「何か?」
ニッコリと亨が早坂に微笑んだ。
「いえっ…」
何だ?顔真っ赤だぞ?
「じゃあごゆっくり。」
そう言うと玄関に向かう保護者事亨ちゃんを 椎凪が見送りに席を立った。
そんな二人をカズとリビングで見送った。





















「初めて来る子だね。」
「ああ…オレに女の子斡旋するんだ…めげない奴でさ。」
クスリと笑った。
「なんだ…男でも出入り禁止かな?」
言いながら亨の手がオレの頬に触れる。
「本気じゃないよ…オレをからかってるだけだから…」
亨の顔が近付いて来る…
「居るとは思わなかったから…会えて嬉しかった…」
「大袈裟だな…ん…」

軽いキスなのにしっかりと舌を絡ませた。

「じゃあね…慶。なるべく早く帰るよ。」
「ああ…」
ドアが閉まる 瞬間までお互い微笑んでた。

「あの人俺の事なんか言ってたか?」
「大丈夫だよ。男には寛大なんだ。」
「そう!亨ちゃん女の子には厳しいから!
小学校の時なんかクラスの女の子と一緒に宿題するだけなのに
亨ちゃんの監視下の元でやらされたんだ。
女の子に難しい問題出して泣かせたんだから…
慶くんと 笑い合っただけなのに。
大人げ無い。なのに塾の講師なんて嘘みたいだよね。」
「そこまですんのか?お前愛されてんだな…
ってか溺愛?血繋がってないんだろ?」
「カズ余計な事言うな!」
面倒くさい事になんだろ…既に早坂は疑いの眼差し100パーセントだ…
「亨は勉強には厳しいんだよ。」
的外れの答えで 誤魔化した。
「でも…」
「ん?」
早坂が夢心地みたいな目で呟いた。
「男なのに綺麗な顔してたな…」
「は?」
「何?早坂亨ちゃんに一目惚れ? うっそー?マジ?どんなセンスしてんの?」
「カズ…」
思いの外慌て捲ってる…マジか?


「……ん……あっ…」

もうすぐ日付が変わる頃…オレと亨は一つのベッドで肌を重ね合う…
初めては14の誕生日だった…
それまでに散々慣らされてたからなんの抵抗も不安も 無く亨を受け入れてた。
きっと亨にとっては計算ずくの事だったんだろう。
五歳で引き取られてから毎日『愛してる』って言われ続けてたから。

オレ達は愛して合ってるんだろうか…オレは亨を愛してるのか?


「…ハァ…ハァ…」
散々抱かれまくってやっと離してもらえた…
動けないオレの手を 亨がそっと上から握りしめた…そんな亨をじっと見上げた。
「何?」
「何はこっちだ…なんか今日は抱き方がエグかった…何怒ってる?」
「怒って無いよ… ただ…」
「ただ?」
「慶はクラスメイトに愛されてんだなぁって…」
「何で愛されてるなんだよ。普通好かれてるだろ?」
「直感。慶は男に好かれる タイプだから。」
「勘繰り過ぎだよ……なあ…」
「ん?」
「オレとこうしたかったからオレの事引き取ったのか?」
見上げて…じっと亨を見てた。
「夜の相手させる為にか?」
「………」
亨の目がちょっとだけ大きくなった気がした…
ゴ ン !!

「ごほっ!…なっ…!!」
亨がいきなりオレの 胸の上でがくりと頭を下ろした。
当然亨の頭で胸を強打された。
「今のは効いた…」
俯いたまま頭を上げない。
「愛してるのに…初めて会った時から 愛してるのに…」
「初めてって…ごほっ…オレ五歳だったろ?」
「そう…だからさ…」
「?」
「五歳のくせに25歳の僕をときめかせたんだよ… 僕の中の1番だよ…
だから一緒に居たくて苦労して慶の事引き取って…
大きくなるまで待って…やっと愛し合える様になったのに…
夜の相手させる為なんて… 僕の愛情足りなかったのか?」
「…オレは亨の事…愛してんのかな?
今まで育ててくれて学校も通わせてくれて毎日一緒にいて…
それが当たり前でさ… それって愛してるって事なのか?」
「僕の事愛してない?」
「わかんねー…」
「そう?…」
あ…スゲー落ち込んでる。
「でも…さ…」
「ん?」

 「オレ他の奴と付き合うなんて
 想像出来ないし…亨が他の奴と
 付き合ったり…結婚なんて
 想像もしたくないって思う。
 もし結婚なんてしたら亨も相手の奴も
 許さないって分かる…だから…
 オレ以外の奴…
 好きになんかなるなよ…亨。
 オレの事だけ好きでいろ。
 ちゃんと最後まで責任取って
 オレの面倒みろよな。分かったか?」



驚いた顔してた亨が嬉しそうに笑った…

「分かってるよ。ちゃんと最後まで面倒みるし…慶彦以外好きになんてならないよ…」
「ホントだな?」
「本当だよ。」
「これって愛してるって事なのか?」
「十分そうだと思うけど?」
「…もう無理だぞ…」
体勢を変えてオレを抱きかかえた亨に
先にクギを刺したが聞いてもらえないらしい。
腿をしっかり抱えて やる気満々なのがわかる…
「その気にさせたの慶なんだから責任取って。」
「明日学校あんだぞ…」
「慶なら平気だろ?」
「朝メシ豪華版で。」
「いいよ…お安い御用だよ。」
諦めたのか慶彦も僕の首に腕を廻した。


僕の事を『亨』って呼べるのも…僕に命令出来るのも…
慶彦だけ…お前だけなんだよ…

それがどんな意味を持つか…わかってないんだから…