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「由貴大丈夫か?」
「…うん…今日はそんなに飲んでないから…」

なんて言ってる由貴の目はトロンとしてて明らかに酔ってて眠そうだ。

「先に風呂入っていいから。」
「…うん…」

眠そうに目を擦ってる…その仕草が……可愛い!

「由貴…」
「ん?」
「ちゅっ ♪ 」

我慢出来なくてエレベーターの中で触れるだけのキスをした。

「もう!誰かに見られちゃう…」

グイッと由貴に身体を押し戻された。

「別に構わない…」
「ん…私が…かま……ンン!」

酔ってるクセに抵抗するな!

「…うっ……ん…」

エレベーターの中で散々由貴の唇を奪った。



「寝るなよ!」
「………うん…」

着替えを持たせて由貴を浴室に放り込む。
放っておくとトロトロ遅くて寝むりかねない…

「なんなら一緒に入ろうか?」
「……エッチ!」
「クスッ…」

意識はちゃんとあるらしい。

「でもあんまり遅いと見に来るからな。」

コクコクと由貴が頷いた。

「そんなに飲んだっけか?」

オレの記憶じゃそれほどでも無いと思うけど…相変わらず由貴はお酒に弱い。
連れ廻したせいか?


それから30分程で由貴が出て来た。
見に行く気満々だったのに…そう言うとソファに座ったてたオレの頭を
由貴が掌でグッと押さえつける…でもあんまり力が入ってない…

「大丈夫か?」
「……うん…大分酔いも醒めてきた…」
「そう…ほら 水。」
「ありがとう…」

オレからペットボトルを受け取ってソファに座る。

「今日はオレが由貴の髪を乾かしてやるよ。」
「ええ?珍しい…本当に今日はどうしたの?」
「たまにはな…」
「ありがとう…」


肩よりちょっと長い髪を指ですくいながら熱風をあてる。
あのパーティの時に染めてた茶色の髪はいつの間にか黒に戻ってた。
眼鏡はしっかり予備を持ってて…でも最近は掛けたり掛けなかったり…仕事中くらいかな?


「こんなもんか?由貴終わったぞ。」

大分乾いた髪を撫でながら由貴に声を掛けたのに返事が無い。

「由貴?」
「……くぅ…」

覗き込んだらしっかり寝てる…

「まったく…」

ソファに寝てる由貴の身体に腕を廻してお姫様抱っこで抱き上げた。

「何度目かな…由貴…」

何だか由貴が酔う度にこうやって抱き上げてる気がする……

「ん……」
「あ…起こした?」
「………」
「?」

何だ?寝ぼけてるのか?ぼーっとしてるし目がまだ寝てる…

「由貴?」
「ジム…なんて…」
「ん?」
「ジムなんて…通わなくて…も…いいのに……」
「!!」

由貴の指先が優しくオレの胸に触れた…

「由貴…」
「だって…太ってないし……腕だって…がっしり…」
「もう少ししぼるの …」
「…そう………あふっ…」

由貴が可愛い欠伸をした…

「いいから…由貴はもう寝な。」
「……ん…」

そう返事をしてコテンとオレの肩に頭を預けた。

「………」


今の会話を…由貴は覚えてるんだろうか…

今オレの身体に指先で触れたのを…覚えていてくれるのか…?


「無理っぽいな…クスッ…」

寝室のベッドに優しく由貴を下ろす。

「…………」

ちょっと指先を引っ掛けてパジャマの衿を広げた。

「ちぇっ…完璧消えてる…」

由貴の鎖骨に付けたキスマークが完璧に消えてた。

「フム……」

オレはベッドに座って寝てる由貴にそっと近付いて…由貴の鎖骨に唇を付けた…

「チュウ……」

「……ァ……」

ちょっと強めに吸うと…由貴の身体がピクンと小さく跳ねた…

「よしっ!!バッチリ!!」


新しく由貴の身体にオレの印を付けた ♪ オレは大満足だったのに…


次の日の朝…キスマークに気付いた由貴にこっぴどく怒られた。