04





「はぁ〜〜生き返る…」

なぁんて暢気にシャワーを浴びてるあたし。
でもほんの5分前までは身体中から体温と言うものが消失して情けないほど歯がガチガチと
鳴って…アイツにギュッと身体を抱きかかえられてても反抗も出来ない程震え上がっていた。

そんな身体がシャワーの熱で何とか人肌まで戻った頃…
事の重大さにこれからどうしようかと目の前が真っ暗になった…

風邪…ひいたわけじゃないわよね……頭まで痛くなって来たし…


「………」

ガチャリと浴室のドアを開けて顔だけ覘かせた…
来た時は寒くて部屋の中を見る余裕も無くそのまま浴室に飛び込んだから…

見渡すと…ちょっと変わった部屋…

家自体はあの公園から10分ほど歩いた場所の何かのビルの屋上にプレハブでは無いと
思うけど…平屋の一軒家が建っていた。

部屋の広さは結構広い…20畳?ううん…もっとあるかな?
そんな洋間の部屋が区切りも無しに部屋の隅にキッチンやらちょっとしたつい立で寝室があって
チラリとベッドが見えた…

流石に浴室とかトイレとかはちゃんと扉があるけど…
やっぱり普通のマンションとかの部屋とは違う……でも…アイツらしいと言えばアイツらしい部屋…

自由で…散らかってると言うわけでもなく…綺麗と言う訳でもない…


「オラ!コーヒー淹れたから飲めよ。あったまるぞ!」

覘いてたのが分ったのか…あたしに向かって声を掛けて来た。

「……うん…」

あたしは髪の毛を拭きながらちょっとオズオズとアイツの方に歩いて行く…

「ほら。」
「…あ…ありがとう…」
「 ニヤッ ♪ ♪ いい眺め! 」
「ヤラシイ目付きすんなっ!!!」

コーヒーを受け取るあたしの身体を上から下まで舐める様に見てニヤリと笑う。
あたしはコイツのシャツを借りてそれを着てるだけだから…

まあ大きめなシャツで身体の線はハッキリ出てないけど…膝上からは生の足が見えてるし…
シャツの下の裸だから……

だからあたしはもう心臓がドキドキバクバクっ!!
仕方のない選択だったとしても今更後悔だし…身の危険をヒシヒシと感じる!!!
だからコーヒーを受け取るとさっさとコイツから離れてなるべく玄関の近くに居る。

玄関と言ってもドアを開けたらちょっとしたコンクリートの部分があって
仕切りも何も無いんだけど…

「何でそんなトコにいる?寒いだろうが!もっと部屋の真ん中に来い!」
「嫌よっ!!捕まったら逃げれないでしょ!!」
「今は何もしない…安心しろ。」
「信じられない!!」
「風邪ひいても知らねぇぞ。」

そう言ってタバコを取り出して吸う…
そんな姿や仕草が何気に様になってて…悔しいけど確かにカッコいい部類に入る…

なんて事をさっき思った。

見た目は…合格なんだけどね…中身が……



「なんかアンタの部屋に乾燥機付きの洗濯機があるのが不思議で仕方ないわ。」

今あたしの服がその乾燥機で廻ってる…

「じゃあオレが洗濯物干してる姿想像出来るか?」

「え?…………」

言われて想像してみたけど…

「ぶっ!!アハハハ!!やだ…笑える!!!」

想像して笑えた!大爆笑!!!

「そう言う事だよ。」
「確かに…アンタに似合わないわね…くっくっ…」


「コレに包まってソファにでも座ってろ。今度はオレがシャワー浴びて来る。」

「………」

そう言って寝室から毛布を持って来てくれてあたしに放り投げた。
あたしはアイツが浴室に入ってシャワーの音がしたのを確かめて
言われた通り毛布に包まってソファに座る。

「はぁ…やっと座れた…」

ここに来てからずっと立ちっぱなしだったから…ホッとした。
だって…アイツから離れた所にずっと立ってたんだもの……

「あったかい……」

毛布がホカホカあったかかった…
微かに…あいつの匂いが……する…?

「何だかおかしな奴よね……あたしも…か……」

下心のある奴だってわかってるのに…
なんでノコノコついて来ちゃたんだろう……しかも襲ってくれと言わんばかりの格好で……

「だって……仕方なかったじゃ無い……」


そう…仕方…無かったんだよ………
すう〜っと…自分でも意識しないまま…あたしは眠ってしまったらしい…




「……ん?」

さっきよりもあったかい…ヌクヌク…ヌクヌク…スリスリ……スリスリ…って…

一体何に???

「………」

ぼーっとしながら目を明けたら…アイツのベッドの枕にスリスリ???

いつの間に!!!!え?ヤダ…眠ってる間に???

ガバッと跳ね起きて焦って身体を触って確かめたけど…変なトコロは無い…
良かった…何もされてない…


「でも…どうして?」

目隠しになってるつい立てからそっと部屋を覘くと真っ暗な部屋の中でソファにアイツが座ってた…
何してんだろう?電気も点けないで…

でも部屋の中はボンヤリと明るい…


「何…してるの?」

後ろから近付いてちょっと離れた所から声を掛けた。

「起きたか…」
「うん…アンタがベッドまで運んでくれたんでしょ?何で…その…何もしなかったの?」
「寝てる真琴抱いてもつまんねぇし……」
「……ふ〜ん…」
何だか調子が狂うじゃない……
「こっからだと夜景が綺麗に見渡せる…」
「え?」
言われてカーテンを開け放った窓を見ると…
「本当…綺麗…」

ちょっと高めなこのビルの屋上から遠くの街のネオンやらビルの明かりが綺麗に映し出されてる…

「さて…」

「?」

スクッと立ち上がったアイツは上半身はシャツのボタンを外したままで…
下はスウェットのズボンらしき楽な感じのズボンを穿いてた。

クルリとあたしの方を向く…あ…何か嫌な予感…
ちょっといい感じ…なんて思ってたあたしがバカだった!!!

「どうする?やっぱ決着つけてからオレとするか?それともこのままオレとするか?」

「するかするかって…ムード無いわね…」
「なんだ?ムードが欲しかったのか?」
「そんなわけあるはず無いでしょ!!あたしに手を出したら痛い目見るわよ!!」
「と言う事はオレに屈服されたいと言う事だな?」
「誰がアンタなんかに屈服するもんですか!!」
「言っとくが足技使うと見えるからな!」
「!!!!卑怯者っ!!!」
「はあ?親切に教えてやったんだろうが!それからあんまり部屋の中のもの壊すなよ。」
「セコいわねぇ……だったら大人しくあたしを帰しなさいよ!もう服も乾いたでしょ!」
「ああ…でも帰さねぇ…真琴もそのつもりで此処に来たんだろう?」
「違います!!仕方なくですっ!!!アンタの策略にまんまとハメられたから!!!」

「じゃあ今夜納得してオレに抱かれろ!」

「勝つのはあたしだから!!!」


確かに足が使えないのは不利だ…
さっきから繰り出してる手刀はことごとくかわされるか受け止められる…

たまに掠ったりもするけど…確かに強いかも…コイツ…

仕方なく低い位置で蹴りを出すけど…
やっぱり見えちゃうんじゃないかと思って気にしながらだと思う様に決まらない…

ああーーーーー!!!もうっ!!!悔しい!!!

「 !!!! 」

すれ違い様にシャツを掴まれた!

「ちょっ……」

直ぐにもう片方の手も反対側のシャツを掴む…
そのまま思い切り左右のシャツを下に引っ張られた!

布の裂ける音と…ボタンの弾け飛ぶ音がして…
一気にシャツが肩から二の腕の辺りまでひき下ろされる…

だから…殆んど上半身が露わになって…

「あ……」

「オレの勝ち!」

「んっ…!!!」

そう宣言したと同時にキスされて抱き上げられてベッドに放り込まれた!!

「わっ!!!」

ボスッとベッドに埋もれて目がまわって…訳わかんない!!!!

「もう抵抗すんなよ。勝負に負けたのは真琴だからな。」

「………負け…た?あたし…が…?」

「そう…だからオレのモノだ。」

「アンタの…モノ?……あ…」

ビッ!!と残ってたシャツのボタンも引きちぎられて弾けた音がした…

乱暴にシャツが脱がされて…床にシャツが落ちた。
アイツがただ袖を通してただけのシャツを脱いで裸の上半身が見える…

「…あ…ちょっと…まっ…」

やだ…今更………怖い!!

「なんだ?今更怖いとか言うなよ。初めてじゃないだろうが。」

「そ…う…だけど…だって…こんな風に始まるの…初めてで…アンタ乱暴そうで…怖い…」

「……乱暴じゃないか安心しろ…」

「……ホント?」

「ああ…激しいだけだ。」

「え?……ちょっ…それって同じ事じゃ…」

「ごちゃごちゃうるせぇ…もう黙れ!」

「…あ…」


そう言ってアイツがあたしに覆い被さって来て…

あたしはアイツの重さと…肌のあったかさを自分の身体で感じ始めてた…