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「 ほえ?? 」

ボンヤリと目が覚めると……濯匡の部屋のベッドの中だった。
服を着たまま眠ってたみたい…

「……ふぅ〜〜〜よっこらしょ!」

未だにほろ酔い気分のあたしはフラつきながらベッドから降りた。
部屋の中を覗くとまた真っ暗な部屋で濯匡がソファに座って外を眺めてる…

「濯匡?」

呼んでも返事が無い…

「?」

そっと覗きに行くと……ソファで眠ってる……




「はやぁ〜〜〜生き返るぅ〜〜〜 ♪ ♪ 」

勝手にシャワーを浴びてそんな一言が出る。
洗面所ではこれまた勝手に借りた洗濯機の中であたしの洋服一式が回ってる。
これで明日の朝には乾くでしょう ♪


「…ふーサッパリ!」

まだ酔いの残る足取りで風呂上りのまま濯匡の座ってるソファに近付いた。
ちょっと緊張しながら隣に座る……チラリと濯匡を見ると気持ち良さそうに眠ってた…

「…………変な所で紳士的なんだよね……」

濯匡は眠ってるあたしを抱いたりしない…
寝起きのあたしは抱いたけど……

「…………」

遠慮がちに眠ってる濯匡の肩に頭を乗せた…
だって…今夜は何だかそんな気分なんだもん…誰かに頼りたくなっちゃった……

「肩の貸し賃取るぞ。」
「!!起きてたの?」
「今…な…」
「…………」

もそっと身体を起こして視線だけであたしを見た…それだけであたしはドキッとする…

「シャワーと洗濯機とシャツ借りたから……」
「じゃあその貸し賃も上乗せ。ああ…ベッド代もな…」
「何よ!何か急にセコイ!!」
「お前まだ酔ってんのか?目がトロンとなってんぞ?」
「そうよ!酔ってちゃ悪い?いいじゃない!
今日はあんなに素敵なおもてなししてもらったんだもん!」

思い出すだけで未だにドキドキする…
あんなに上品に女性扱いされたのなんて初めてかも…

「お前はしゃいでたもんな…」

「……だって…その方が今日の事…少しは忘れられるかなぁ…って…」

「真琴?」

「あたしだってね…心臓に針金が生えてるわけじゃ無いんですからね!
そりゃちょっとは堪えるわよ…」

「………お前も女だったんだな…」

「そうよっ!!強い男に守って欲しい女の子なのっ!!!!」

「!!」

「……あーもう…酔ってるから変な事口走る……」
あたしは自分でもわけがわかんなくなる……
「お前…ワザとあいつらに捕まっただろ?」
「!!…そんな事…無いもん…」
「ウソつくな!あんな奴らお前にかかったら秒殺だろ?」
「……そんな事無いわよ。いきなりで…どうしようもなかったんだから……」

本当は違うけど…そんな事本人を目の前にしていえる筈も無く……

「オレに助けに来て欲しかったのか?」

「なっ…何言ってんのよっっ!!自惚れないでよ!!あんたとはハッキリさせたじゃない!」
「ふ〜ん…まあ別に構わんけど…そう言うならそう言う事にしといてやる。」
「何よ!それ?」
「でも…これからは絶対捕まんな。」
「!!」
「今回は大事に至らなかったが本当ならあいつ等にヤラれててもおかしくなかったんだからな。」
「………うん…」

そう考えると…あの男の手の感触が蘇る…乱暴に掴まれて…揉まれたんだっけ……

自分でも気が付かないうちにシャツの上から胸に手を当ててた…

…………むぎゅ!!

「 !!!なっ!!! 」

いきなり濯匡があたしの胸を掌で触れて持ち上げながら優しく揉んだ!!??

「オレが忘れさせてやる…」
「ちょっと…」
「あんな奴の手の感触なんてあっという間に忘れさせてやる…」

「濯匡……でもその前にあたしに言う事があるでしょ?」

「は?言う事??何だよ?」

「何だよじゃ無い!!ホテルで言った!!」

「!!…ああ……って言うかお前がやっとオレの女になる最低条件クリアしただけなんだからな。」

「はあ?何それ?」

「じゃあ今夜は止めとくか?」
「…………」

じっと見つめられてしまった……

「……今夜は…したい気分……」

酔ってるせいか…今日の出来事のショックのせいか…濯匡の瞳のせいか…
何でだか正直にそう言った。

「…誰でもいいから…したいのか?」

「…………意地悪…」
「そうか?」
「…今目の前にいるの…あんただけじゃない……」
「……だから?」

「……濯匡と……したい……」

「いいぜ……してやる……」

「威張んないで!」

「たまには素直にオレの言う事聞け。」

「じゃあ………優しく…してよ……」
「ああ……わかった…」

濯匡があたしの腕を引っ張って自分の膝の上に座らせた…
まだ乾いてない髪の毛から…仄かに優しい匂いが漂ってくる……

ああ…シャンプーの匂い?男のクセに……

「ん…」

項を引き寄せられて…ちょっと遠慮がちに濯匡が舌を絡ませるキスをする…
そして…途中から啄ばむ様なキスを繰り返してくれた…

まるで…恋人にするキスみたいに……