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「結局朔夜のやった事は裏目に出たって事だね。2人の中を取り持っただけだもの…
だから濯匡機嫌が良かったんだ…」

「え?」

機嫌が良かった?

「そうなの?」

あたしはニッコリと濯匡に振り向いた。

「気のせいだろ…」
「まあ…いいけどね…」

柊夜さんの妹の朔夜さんはあの後和哉さんと帰って行った。
結局あたしと濯匡に謝らずに…まああたしの気持ちは多少収まったけど…
あの和哉って人はまた今度…なんて言ってたけど…

「でも和哉さん何で朔夜さんの言う事簡単に聞いちゃったのかしら…
濯匡の友達なら逆に止めさせそうなのに…」
「和哉はね昔から朔夜ちゃんの事が好きなんだよ。」
正臣さんがあたし達が座るテーブルにコーヒーを置きながらニッコリ微笑んで話してくれた。
「でも未だに付き合って無いんだよね…長い冬だよ…」
「はあ…」
しみじみと言う正臣さんを見ながら視線を濯匡と柊夜さんに移す。

「オレアイツだけはダメなんだよ。」

そんな…お兄様の目の前で…思いきり…

「今まで欲しいと思ったものはほとんど手に入れてたからね…
ちょっと我が儘になってるみたいで…濯匡は高校の時朔夜に付き纏われたからね…
いつも濯匡には申し訳無いと思ってる…今回は真琴さんにもご迷惑掛けてしまって…
本当に申し訳ありません…」

そう言って深々と頭を下げられた。

「あ…いえ…そんな…あたしこそ妹さんの事叩いちゃって…」

つい勢いで…って言うか身体が勝手に…

「いえ…朔夜にはいい薬になったんじゃないかな…あれだけはっきりと断言されて…
これで諦めてくれると良いんだけど…」

「バタバタしてて忘れてたけど濯匡と真琴さんって付き合う事になったんだね ♪ 
やっぱりお似合いだと思ってたんだ。」

正臣さんが一緒のテーブルに座りながらニッコリと笑う。
そう言えばあたし正臣さんには濯匡とは有り得ない的な事を言った様な…

「…………」

柊夜さんは無言…ごめんなさいって感じ…

「何だじゃあもう雅さん絡みの仕事頼めないね。濯匡…」
「ああ…」
「それはちょっと困ったな…」
「?雅さん絡みの仕事って?」
「え?いえ…濯匡には時々『雅』の女の子の息抜きの相手してもらってたので…」
「息抜き?」
「まあ…真琴さんのお耳には入れない方が良い事ですから…」

「柊夜は雅さんの為なら何でもするんだもんねぇ〜」

「え?」

それはびっくり!

「正臣は口が軽いんだから。」

柊夜さんは呆れ顔…




「柊夜さんが雅さんの事をねぇ…意外な繋がり。」
「柊夜の親父の代の時に知り合って…柊夜も長い片思いだ。」
「え!?そうなんだ…」
「だからってアイツに余計な事言うなよ。」
「分かってるわよ…雅さんには余計な事言いません。」

2人で夜道を歩きながらそんな話しをしてる…何だか信じられない光景…


「真琴…」
「ん?」
「何処に帰る?」
「え?」
「自分の部屋に帰るなら送って行く。」
「!!」

え?それは濯匡の部屋でもOKって事…

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

あたしが返事をする前に濯匡の携帯が鳴った。

「……和哉?今から?別に構わないけど…ああわかった。」
「濯匡?」
携帯をしまう濯匡に声を掛けた…だって今…
「和哉さん?」
「ああ…今から話しがあるからオレの所に来る。」
「話し?」
「真琴も一緒にって事だからオレの部屋に決定だな。」
「…………」
「?何だよ?」
「ううん…」

なんか嬉しそうに見えたのは気のせいだったのかな?……って…




「こんばんは…2度目の挨拶だね。」

濯匡の部屋に戻って30分位して彼が訪ねて来た。

「…………」

あたしは無言…だってそんなに簡単に打ち解けられない…

「さっきは皆がいたからね…話せなくて…」
「朔夜は?」

「結構ショック受けてたよ。殴られたのとその殴った相手が濯匡の彼女なんてね。
ダブルパンチだもの。」

「別に殴ったわけじゃ…」

叩いたんですけど…

「まあこれで僕の入り込む余地が出来れば文句無いんだけどね。
濯匡は知ってるけど僕は朔夜の事がずっと好きだ。初めて会った時から…
でも朔夜は最初から濯匡が好きで僕がどんなに愛情表現しても振り向いてくれなかった…
ただ救いは濯匡が朔夜の事を相手にしなかった事…濯匡がうんと言わない限り僕にも望みがある。
だから僕は友達の濯匡は好きだよ………でも朔夜に好かれてる濯匡は嫌いだ。」

「!!」

濯匡の事が嫌いって言い切っちゃったわよ?この人…

「僕は朔夜の頼みなら何でも聞く。だから今回の事も引き受けた。」

「ちょっと!!」

我慢がならずに文句を言いかけた。

「でも和哉…お前真琴には手を出してないだろう?」

「え?」

思わず濯匡の方を振り向いた…どう言う事?

「どうしてそう思う?」

「そうだな…真琴の気持ちとオレの気持ちと自分の気持ちを考えたからか?」

「お見通しか…」

「じゃなきゃダチやめてる。」

「僕は朔夜の言う事は何でも叶えてあげたい。でも…朔夜以外の女の人を抱くのだけはしない。
僕が抱きたいのは朔夜だけだから…でも本当は何か遭った様に見せなきゃいけなかったから
裸とキスマークは仕方なく。」

「見たの?」

「え?」

今度はあたしが詰め寄った。

「あたしの裸よっっ!」

ソコ大事でしょっっ!!

「もちろん。そのくらいの役得が無いとね。」

「!!」

ニッコリ笑うなっ!!このっ!!!


そんな話をして彼はお騒がせしましたとあたしと濯匡に彼女の分と言って
ちゃんと謝って帰って行った。


「……何だか…可哀想な人…なのかな?」
「さあ…本人はあれで満足らしからいいんじゃねーの?」
「これで2人が上手く行けばいいんだけどな…」
「さあね…朔夜は天邪鬼だから…
いくら自分が好きになってもそうそう和哉には言わねーかもな。」
「そうなの?」
「まあ和哉も慣れてるから上手くやるとは思うけど…」

そんな会話をソファで濯匡の淹れたコーヒーを飲みながら話してる。

「濯匡はわかってたの?あの2人が絡んでるって…?」
「朔夜が現れた時点で何となく…何かするつもりかもって言うのはわかってた。
朔夜はオレに何かする時は必ずオレの前に現れる…本人は気付いて無いのかわからんけど…
だから直ぐにバレて柊夜にこっぴどく怒られる。今回も多分今頃怒られてるんじゃないか?」
「…濯匡って本当に色んな事に巻き込まれるわね…って言うか普通の恋愛って無いの?」
「……だから学生の時は普通に付き合ってた相手がいたって言っただろ…」
「何だかそれって信じられない…」

「さて…シャワーでも浴びっかな…一緒に入るぞ。」

「 !!!えっ!?」

いきなりそんな事言われて焦る!

「何で焦んだよ?まずは風呂でしてあとはベッドでだな。」
「…そう言うの堂々と宣言しないでよ…緊張するでしょ…」
「ああ?何で?」
「そう言うもんんでしょ!」



先にあたしが入って後から濯匡が入って来ると後ろからあたしを抱きしめてくれた…
あたしの身体を濯匡の掌が滑る様にして撫でていく…

顔だけ後ろを向いて舌を絡めるキスをして……やぁ〜〜幸せ ♪

「…あ…あ…ア…ン…」

後ろから両手で下から掬い上げる様に胸を持ち上げられて…優しく揉まれ続ける…
それだけで息が弾むあたしの下半身に濯匡の手が伸びてあたしの敏感な部分に触れた…

「はっ…ああ…」

「相変わらずキツイな…真琴のココは…」
「仕方…無い…でしょ…んっ…あたしの…せいじゃ…ないっ……あっあっ…」

クルリと正面を向かされて向かい合いながらも濯匡の指はあたしの中で繊細に動き続けてる…

「濯…匡……あ…」

ぴったりと濯匡に抱きついた…だって…

「…ん…んっ……」

首筋に濯匡の舌が這って…もう片方の手はまたあたしの胸を軽く揉みはじめる…
胸の先に濯匡の指先が埋もれて仰け反った。

「濯…匡…焦らさないで…」

今まで濯匡にそんな事言えなかった…でも…そのくらいおねだりしても良いわよね?

「うっ!!!…んあっ!!!」

少し濯匡の指に慣らされていたせいか…シャワーで身体が濡れてたせいか…
いつもよりスムーズに濯匡を受け入れられた…いつもなら途中でもう1度押し上げられるから…

それが一気に身体の奥まで貫かれたみたいだった…

「…た…くす……あっ…あっ…」

ゆっくりだけど力強く押し上げられて……気持ちいい…

「…やっぱり…濯匡と…ンア…身体の…相性…いい…みたい…」
濯匡と浴室のタイルの挟まれながら途切れ途切れに喋った…
「ん?」

「だって……こんなに…気持ちいいんだもん……」

「……真琴もそんな事言うんだな…」

クスって…微笑まれちゃった…

「もしかして…今…あたしの事…可愛い女だな…って…思った?」

濯匡の間近で…濯匡を真っ直ぐ見つめて聞いた。

「…ああ…思った。」



濯匡はそう言うと…あたしに噛み付く様なキスを息が止まるくらいしてくれて…

何度も何度もあたしを力強く押し上げて…最高の気分にしてくれた…


『 もうオレ以外の男にこの身体見せるなよ……』


って…頭が真っ白になる直前に言うから…

あたしはちゃんと 『はい』 って返事出来たのかどうか…

わからなかった……